うも

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「すれ違う瞳」

退勤ラッシュの時間帯。
大勢の人が、信号が青になるのを今か今かと待ちわびている。私もそのうちの一人としてまだ夜は肌寒いなあ、なんて思いながらぼうっと交差点の前に立っていた。

帰ったら明日の資料の確認しなきゃと意識を他に飛ばしているうちに信号が変わった。
周りにいた人たちが歩き出し、私もつられて足を動かす。

誰かとぶつかってもおかしくない程の人混みの中を、たくさんの人とすれ違いながら歩く。


ふと視界の端に、見覚えのある人影が見えた。
間違いない、彼だ。

交差点を渡りきり振り返る。
フラッシュバックする当時の記憶をひとつひとつ片しながらぼんやり彼の背中を見つめる。


風のうわさで結婚したと聞いた。

指輪、してたのかな。人が多すぎてよく見えなかった。


しばらく立ち止まっていたが、彼が見えなくなりまた自分の家へ向かって歩き出した。


気分は意外にも晴れやかだった。


わたし、成長したな。懐かしいとか思えちゃった。

今日はいいお酒を飲もう。
過去を乗り越えた祝杯をあげるんだ。







5/4/2025, 11:45:53 AM