【bye bye…】13
「…」
どうしてここの住人は自己主張が激しいのか。
?「「デイジーは包まし屋さんなんだから!」」
パ「「「パンジーはカラフル!」」」
?「「「菫は清楚…」」」
?「「「向日葵は見てると元気になるわ!」」」
?「「「華やかさと言ったらダリアよね」」」
ローズ「お止めなさいお前達。はしたないわ。…高貴で気品溢れる薔薇の前では誰しもひれ伏すもの」
花達「「「は!?」」」
ローズ「…あら、何か言いたそうね?」
「…もう行っても良いかしら?」
正直花の小競り合いに時間を割くのは少々割に合わない。
どうでもいい。
まだ言い合を続ける花達に背を向ける。
と。
「ん?」
トントンと何かに背中をつつかれた。
?「私(わたくし)の姉妹達が五月蝿くてごめんなさいね。私は白百合。ここのフラワーガーデンの統率者です。」
「…」
思わず息を飲んだ。その花は純白に身を包みそれでいてその花が歩く度とても甘い香りが辺りに拡がっていた。
白百合「また是非いらしてください。その時はきっとあの子達ももう少しレディーらしい振る舞いも出来てると思うから」
「あ…」
まただ。また胸の辺りがチクりと痛んだ。
どうしてこの言葉を聞くと胸が締め付けられるように痛むんだろう。
私は何か大事なことを忘れてる?
そう思うけれどそれ以上何かを感じることはなく私はフラワーガーデンを後にした。
【君と見た景色】
春、桜咲き誇るあの丘で僕は君と出逢った。
高校に入学したての僕達はまだ大人になりき
れないあどけない顔をしていたね。
振り返った君。
頭上からははらはらと桜の花びらが降ってい
た。そこに立つ君はまるで桜の精のようだっ
た。
夏、夏服を身に纏(まと)った君。
額から流れる汗が妙に大人びていて放課後一
緒に勉強した日はそれどこではなくドキドキ
と胸の鼓動が煩(うるさ)かった。
秋、青々しかった緑の葉達も、朱。黄色。オレン
ジと彩りを飾り、春とは違った紅葉、いちょ
うが辺りに溢れた。
君の横顔はもうすっかり大人の女性に見えた
た。もう友達ではいられない。
冬、最後の季節。受験。僕達は別々の進路に進む
。君とはもう毎日一緒には過ごせない。寂し
さが僕の心を暗くさせる。
もう言ってしまおうか?
この言葉に出来ない愛おしさを君に。
そして、再び季節は巡る。
君をこの手にぎゅっと抱いて、また新しい季節を過ごす。
【手を繋いで】
ベッドに眠る妻の横顔は昔出逢った頃のままに綺麗だった。
思えば毎日寂しい想いをさせていたのだろう。
それでも私の前ではいつだって明るく元気な笑顔を絶さなかった。
私に気負いをさせないために。
そんな私は毎日仕事ばかりで家庭を振り返る事はなかった。
家事も子育ても妻に任せっきりで。
一緒に過ごしたのさえ手で数えるくらいだ。
だけどこんな私の傍にこの歳になるまでずっと寄り添っていてくれた。
それなのに。
あの日の君との約束を私は忘れて君は独り天国へと旅立った。
「本当に私はダメな夫でしかなかったな。」
私はそっともう目を醒ますことのない妻の手をそっと握った。
「年を取っても僕と手を繋いでいて欲しい」
私が君に送った、最初で最後のプロポーズ。
君ははにかみながら目に涙を浮かべていたね。
「近いうち私も君のところへ逝くだろう。その時、もう一度君に言うよ。その時は」
僕とまた手を繋いでくれますか?
【どこ?】12
「おかしい…」
双子と別れてかれこれ長いこと歩いているのに全然目的の場所に辿り着けない!
て言うか、
「どこよ、ここ!?」
何だか雲行き怪しく、私は沢山の花や草木に囲まれていた。
普段なら可愛いと思える色とりどりの花もこうして巨大化されると恐怖を覚える。
?「うふふふっ」
「だ、誰ッ!?」
?「そんなに怯えないで?大丈夫よ、ここはフラワーガーデン」
「フラワーガーデン…?」
?「そう。私(わたくし)はローズ。気高きバラよ」
「薔薇…?」
ローズ「そう。あなたの名前は?」
「私の名前は…」
あれ?どうしたのかしら、自分の名前を言おうとすると頭の中に白いもやがかかって…。
?「「「あのね、あのね!私たちはパンジー!」」」
「!?」
自分の思考に思案していると、足元で元気な声が響いた。
【大好き】
先生が好き
大好き