【君と見た景色】
春、桜咲き誇るあの丘で僕は君と出逢った。
高校に入学したての僕達はまだ大人になりき
れないあどけない顔をしていたね。
振り返った君。
頭上からははらはらと桜の花びらが降ってい
た。そこに立つ君はまるで桜の精のようだっ
た。
夏、夏服を身に纏(まと)った君。
額から流れる汗が妙に大人びていて放課後一
緒に勉強した日はそれどこではなくドキドキ
と胸の鼓動が煩(うるさ)かった。
秋、青々しかった緑の葉達も、朱。黄色。オレン
ジと彩りを飾り、春とは違った紅葉、いちょ
うが辺りに溢れた。
君の横顔はもうすっかり大人の女性に見えた
た。もう友達ではいられない。
冬、最後の季節。受験。僕達は別々の進路に進む
。君とはもう毎日一緒には過ごせない。寂し
さが僕の心を暗くさせる。
もう言ってしまおうか?
この言葉に出来ない愛おしさを君に。
そして、再び季節は巡る。
君をこの手にぎゅっと抱いて、また新しい季節を過ごす。
3/21/2025, 11:42:11 AM