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8/20/2024, 10:58:46 PM

さよならを言う前にやりたい事はなんだろう。
君と2人で海に出掛けようか、山に出掛けようか。
何でもない会話をしながら買い物をしようか、カフェでお茶でもしようか。
何をするにも2人でやってきたからか君とやらない未来を想像する事が出来ない。
今日もまた別れがやってくる。
今日くらいは言ってもいいかな、まだ一緒に居たいよって。

7/21/2024, 10:37:03 PM

『貴方の欲しい物はなんですか?』

貼り付けられたような笑顔で貴方はそう言った。

『ココには何でもございますよ!富、名声、力、みーんなが喉から手が出るほど欲しいと思っている物ぜーんぶご用意出来ますよ!さぁ、いかがなさいますか?』

機械音のようにペラペラと貴方は喋り続ける、そこには貴方の感情なんて存在しないのだろう。

「なんでも、ですか」
『えぇ!なんでもです!その代わり……タダではないですけどね!』

それなりの対価は頂きますよとそう言われても怯む事は無かった。

『さぁさぁさぁ!早く早く!』

きっと貴方はそう言うよう仕向けられてるんだろう、そうする事が義務なのだろう。
そんな貴方に、僕から言える事なんて1つだけだった。

「貴方に一目惚れしたんです、高望みなんてしません……貴方の、隣に居る権利をください」

……初めて貴方は笑顔を崩しましたね。
やっと人らしい顔をしてくれましたね。

「好きです、貴方の事が」

振られたって良い。
僕はもう満足してしまった。

「……僕の本当の夢は、貴方のその人間らしさを見る事でした、隣に立ちたいって気持ちも嘘では無いけど……満足しました」

貴方の瞳は揺らいでる、自分勝手でごめんなさい。
愛しています、貴方の事を。
どうかその顔を、失いませんように。

彼女の声が僕に届く事はもう2度とありませんでした。

『……何が人間なのでしょう、私も貴方も、人間なんかではないのに、どうしてこんなにも内部が痛いのでしょう』

停止した僕の手を握り彼女は小さく呟いた。

『生まれ変わったら、貴方と共に生きてみたい』

7/21/2024, 8:34:46 AM

「大好きな花の名から付けたのよ」

そう言って小さく笑った私の母は花瓶をひっくり返し、あの頃の面影も残さぬまま消えてしまった。
部屋はぐちゃぐちゃで2人きりで笑って過ごしたその綺麗な記憶を塗り潰すような惨状に溜息を漏らし項垂れる。
大好きだったのならどうしてこんな事をするの。
落ちた花弁を1枚1枚拾って、ふと窓の外を見つめる。
……あぁ、こんな事なら、こんな小さな花瓶の中の存在じゃなくてもっと外で大輪を咲かす花になりたかったな。
ねぇ、お母さん。
お母さん。
こんな事なら、私にこの花の名前を付けないでほしかった。
大好きだったこの花が、今はもう嫌いなんです。

4/13/2024, 6:05:40 PM

灰色の世界、肌を霞める冷たさ。
自分にとってこの世界は氷河期そのもので、あまりにもつまらないものだった。
毎日毎日同じ事を繰り返し続けるのは苦痛でしかなくて。
そんな時視界に入ったその人は眩い光を放っていたような気がした。
自分の中で何かが弾けるような、心拍がドンドン上がっていく感覚についていけなかった。
気付けば君をずっと見つめていた、側に居たいなんて欲は出さないが遠くからでも見れるだけで幸せだった。
君のためならなんだって出来る気がした。
ポカポカと温かな感覚が自分の中で溢れて弾ける。

「アイドル」の君は誰よりも太陽に近い笑顔だった。
君の笑顔は紛れもなく【快晴】そのものだった。

4/6/2024, 10:09:24 PM

その瞳には何が映る?
それは若木の緑か?
それは火花散らす真っ赤な炎か?
闇夜に揺らぐ月の光か?
じりじりと痛む程の陽の熱さか?
その瞳には何が映る?
それは人差し指を握る、小さな小さな手か?
それは大粒の涙を溢す泣き顔か?
怒号を飛ばし涙を浮かべる苦痛の顔か?
朗らかな笑みを浮かべる喜びの顔か?
その瞳には何が映る?

ああ、もう映らない?
ああ、もう映らない

最後に一度だけ、最期だけでもいい
私だけを見てほしかった

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