パラレル…パラレルは…うーんと、pから探して…あった。平行か。ということはパラレルワールドってよく聞くけど交わる事の無い世界ってことか。
そうやっていつかの私は調べた記憶がある。私にとってのパラレルワールドは2次元とかそういう次元の世界で決して会うことが出来ない架空の世界だと思ってる。それでも画面の向こう側にいるキャラクター達を知らずにはいられないし愛せずにはいられない。オタクって実はとても一途な人ばかりだから、恥ずべきことじゃない。
そんなパラレルワールドにも物語が存在していて、誰かが考えるその世界に入り浸って好きになっていく。私も始まりからずっと追いかけてきたプロジェクトがあった。各々の個性や歌い方、話し方、決めポーズ…どんな事でも覚えてる。一目見たその時からずっと大好きで追いかけ続けてきたから、そんな事は当たり前。それでも始まりがあればやっぱり終わりもあって最近運営の方から完結するっていう報告があった。知った時に、終わりがあるという事を理解した上で好きになったはずだった。それでも今まで築いてきた時間や思い出は想像を遥かに超えた幸せで愛おしいものだった。「終わり」を目前にした今、私には泣くことしか出来ない。まだ終わらないで欲しい。まだ続いて欲しい。ずっとそばにいて欲しい。届かない願いばかりが募って感情なんてドロドロだ。
大きな喪失感を抱えて毎日生きた心地のしない日々を送っている。終わりが来る頃に、私は笑顔で彼らを見送る事はできるのだろうか。何を考えても何をしても涙腺が緩んでまた涙がこぼれ落ちそうになる。
「大丈夫」…それは楽曲制作に携わっている方の一言だった。少しだけ…ほんの少しだけ希望が見えた気がした。きっとおしまいはハッピーエンドだから…きっと。
最後の最後まで大好きでいようと決めた。そして終わりが来ても、その先も死ぬまでずっと大好きでいようと。交わる事のない世界。交わる事の出来ない世界。それでも画面を通して私達は繋がっているから。本当は大丈夫なんて確証はこれっぽっちも無いけれど、私達が築き上げたこの時間は嘘じゃないから。だから最後の日にはきっと一番の愛を伝えるから。
題材「パラレルワールド」
よくあるドラマのセリフのようなワンフレーズ。
「僕と一緒に…」
王子様気取りなの?それとも本気?息をするように嘘をつくあなたの言動はもう聞き飽きた。生きているその瞬間の欲望を満たせるなら、誰でもいい。
そんなこと、顔に書いてるから丸わかりよ。自分の欲望だけに忠実で本能がままに求める馬鹿な人。その野心に燃えた瞳に誰を写しているの?
視線が交じり合うその一瞬を私は逃がさない。こんな地獄にいるんだから、私を連れ出して逃げ出してよ。あなたをこんなにも愛しているのは私だけ。私だけを選んで。
縋るようにただただ求めた。
「僕と一緒にここから……」
あなたはそう言って私の手を取る。慣れない色気じみた服も外に出てしまえば価値なんてない。あなたが私を選んだ。その事実だけが私を自由にしてくれた。
題材「僕と一緒に」
外に出る気も失せるような中途半端な空模様。この世界では自然が偉大で人間は逆らうこと無く適応するように進化してきた。結局のところ、いくら技術を発達させようが世界記録を塗り替えようが、人間はみみっちいままである。
顔を洗って歯を磨いて。それなりの準備はするものの、気分は無論憂鬱である。しかしながら、ペットという存在は常に「ご飯」か「散歩」か「遊ぶ」の概念が消え失せないため、どんな日でも外に出なければならない。読者諸君には、散歩への欲求を下手に誤魔化さず大人しく散歩へ行きたまえ。という事だけは忠告しておこう。何故かって、そうでもしないと部屋のどこかに片足をあげて…ってそれはどうでもいいのだよ。
外へ出ると曇りのくせに背筋が凍るほど気温が低く、脳が活性化されたような気がした。痛いほど眩しい光がなければウザったらしい事は無いけれど、少しだけ寂しいような気はした。
目的地に着くと、ポケットにしまい込んだスマホを取り出して電話をかける。ワンコール。カーテンを開けた君は私を確認すると玄関へ出てくる。
「なんだよ、急に」
「アンタん家の彼女に会いたいってウチのが言うから会いに来た」
「ん、今連れてくるから」
「ううん……」
「袖引っ張んなよ」
「……家、入っていい?」
「お前なぁ、男ん家にのこのこ入ってく馬鹿があるか?」
「アンタだから言ってんでしょ」
「だからって…もう少し危機感持て」
「お邪魔しまーす」
「おいっ!……へぇへぇ、何されても自己責任なー」
「是非私の事、沢山可愛がって下さーい」
「ったく…もうちょくちょく来るなら一緒に住んだ方が俺的には楽なんだけど」
「アンタの自制心が効くようになったら嬉しいんだけどねー」
「……住む?一緒に」
「考えとく笑」
空が曇りなら家に居ればいい。曇り空でもなんだってできるから。天気なんて気にせずにもうずっと幸せに生きたい。
題材「cloudy」
幼稚園のお遊戯会とか小学校の学習発表会とかでそんな言葉を言ったような気もする。綺麗事のような幼稚なような。誰でも良いから迎えに来てよ。王子様でもお姫様でも。蛙でも大歓迎だよ。
雨が降ったら麓で待ってるからさ。傘でも差しに来てくれないか。
題材「虹の架け橋」
AM6:00。君がいつも返信してくれる時間帯に既読すらついていなかった僕のメッセージ。
友達以上恋人未満。世の中にはありふれたどこにでもある関係性で幸せにやってる人も苦しんでる人も多い。僕はどっちかと言うと苦しんでいる方の人間で君に少しでも近づきたいっていう欲が今でも首を絞めている。君が友達以上の関係を築こうとする異性を酷く嫌っている事を知っている。だから君と仲良くなったきっかけが僕からの君の親友への恋愛相談だった事は今でも後悔している。
君は僕の言うことにはいつも笑ってくれるし、僕の相談もよく聞いてくれる。「いつでも連絡して」とか「なんでも聞くよ」とか社交辞令でも僕は馬鹿だから舞い上がる。君の恋愛事情についても知りたくて探ってみたけどタイプは僕とはかけ離れている存在だった。
『髪が短すぎるから、異性としては見られてないよ、きっと』
『私を好きになってくれる人は物好きだよ笑 いてくれたら嬉しいけどね』
君がそうやってメッセージを送るから。髪の長さなんて関係ないし、むしろ君の魅力が溢れて僕にはたまらなく愛しい。僕は君のことが好きなんだけど。気付かないのは君が鈍感だから。僕の想いは日々増していくばかりで君に今すぐにでも伝えたかった。
『髪が短くても可愛いよ』
『君の事を好きな人、少なくとも1人は知ってるよ』
君にアピールをしてみるけど、返ってくるのは「ありがとう」の一言だった。
それから日々が過ぎていって僕はデートに誘った。
『二人でどこか遊びに行きません?』
君に近づきすぎた。気付いていない。それはただの勘違いで君は鈍感なフリをしていただけだった。思えば僕がしていたアピールも君は上手く緩く交わして少しづつ遠くへ突き放していた。最近の返信も冷たくなって返信するのにも時間がかかりすぎていた。
既読のつかない一言。嫌われたかな。ただ単に見てないだけ?僕は今、ものすごく君に会いたい。君に直接伝えたい。ごめん、ずっと前から大好きでした、って。
題材「既読がつかないメッセージ」