ぺんぎん

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4/13/2023, 12:58:52 PM

すぅき、とちいさく呟いた。舌っ足らずに潜むように溢れたその言葉ひとつで、身体の縁からみるみる温まっていくような気がした。口のまわりが妙にこそばゆくなる、得もいわれぬ喜びが、ホットケーキのクリーム色のカンバスにできるぽつぽつ穴のようにふつと湧き上がった。とろりと甘く爽やかなその言葉ひとつを噛み締めて膝を抱えてうっとりと眠った。

4/12/2023, 10:31:00 PM

きみが誰のために泣いているのか、何がどうして痛く泣いているのか、脳足りんのわたしではまるで分からなかった、でもわたしも分からないなりにきみの肩の上下と一緒に泣いた、どこもかしこも痛くなかったけど、軽々しくきみと繋がれたなんて思っていた、なんにも知らないくせに、あのとき溢れたものすべては何よりも美しかったとそんな味の無い信仰に救われようとしていた

4/8/2023, 10:48:54 AM

気まぐれの雨に濡れた道路にてろりと溶け込んだ夕暮れはとても魅力的で甘そうだった、風に体を揺さぶられて、ひらと飛び立った花びらはもっとわたしの道たちをデコレーションしていく、うんときれいだ、そのすぐそばに君がいるならなお

4/7/2023, 3:53:55 AM

どんなに酷くなぶられたとして否定されたとしてわたしはあなたを好きでいるだろう、という、恋の芽が若いときにできたその不確かに存在する自信はなんとも宗教的だった、春の嵐が花びらをぱしと叩くようにどこか魅力的で衝動的だった

4/5/2023, 1:29:56 PM

なにを差し引いても変わらない、わたしを惹き付ける運命的な愛情を欲していた、それは薄桃のさくらを掬いとって押し花にするまでの些細な喜びと同じようにありふれたもので
とにかく、たくさんの理由ができて飾られて語られてはじめて価値を見いだせるような愛は、わたしを救ってはくれなかった、

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