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2/9/2026, 11:18:20 AM

#花束

―――

想いの丈を表せと言うならば
何本でも足りる事がないからさ

どうか、三本の薔薇で許しておくれ

2/8/2026, 11:49:59 AM

#スマイル

―――

彼奴の笑顔が好きだった

よく言えば澄まし顔
悪く言えば、死んだ魚の目のような。

そんな彼奴が、甘味を前にした時だけは
ふわっと、花を綻ばせるのだ

最初は、物珍しさからだった...のだと思う
けれど何時しか、そんな彼奴の顔が見たくて
紙袋を提げ、彼奴の元へ足を向けるようになった。

甘いものが得意でない事が重なって、同じ様な物を渡す事が多いのに。
普段の態度が嘘のように、素直に礼を言われ驚いたのは最近の事の様に思い出せる。


「んーっ!」と、聞き慣れた声に思考が戻された
目の前には、フォークを片手に花を咲かせる彼奴

知らない味じゃないのに
本当、美味しそうに食べるものだな

それを見る為に甘味を渡す自分を棚に上げながら、湯気立つ珈琲を口にした。


2/7/2026, 10:28:48 AM

#どこにも書けないこと

―――




空白





眼前に広がるそれに、ほっと息が漏れた
嗚呼、まただ、と

『まずは、気持ちを文字に起こしてみてください』

そう言われたのは、何時だっただろう

言う分には単純で
僕にとっては最も難しい事

確かに、心の燻りは感じるのに
どうやったって、どうしたって
それを表す、適切な言葉が分からない

だから、未だそれは空白のまま

...それを見る度に、底から焦りが込み上げる


本当は、自分の勘違いなのではと
ただの逃げの言い訳で
世間で言われるような状態じゃ、ないのでは――


グシャッと、空白にシワが寄った
脳を侵食せんとする考えを、揉み消すように


...今日もまた、白が黒で埋まる事はなかった

2/6/2026, 11:03:58 AM

#時計の針

ホーッ、ホーッと、フクロウの声が遠くに聞こえる。

飾り付けられた部屋
一つの写真には、淡く差し込む光が反射していた

ふと顔を上げれば、代わり映えのない風景の中で、それだけが色を持っている様な気がした。

彼はおもむろに、それを自分の元へと引き寄せた。

時を刻む音を、ただ淡々と響かせるそれ。

手元に目を向けると、可愛らしい植物に飾られた予定表
書かれた数字が、それを囲むインクが
随分と色褪せている

...彼はそれらをひとしきり眺めると、後ろに着いていたネジを、グルりと回した

12を指していた長針が、6へと戻っていく。

そうして手元から元の位置に戻すと。

この部屋にはまた、同じ時間が流れ始めた



2/5/2026, 11:08:32 AM

#溢れる気持ち

―――

例え沸騰する鍋に、蓋をしても
沸き立つ音は消えずに
その内、蓋すら押しのけてしまう

...心もそんなもんなら良い
そう思ったのは、何時だったか。

伝えたい二文字は言えない癖に
よく回る口を何度憎んだだろう

...今も、目線の先には彼奴が居る

一歩踏み出せば届くのに
何百歩も離れていると感じる自分は
なんと哀れな事だろう

...嗚呼、
焦がれた匂いが彼奴に届いたなら
それと一緒に
溢れ出そうな音が聞こえてくれたなら

そんな事を想いながら
向けられない笑顔から視線を逸らした




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