閲覧注意(怖い話)
僕は小さい頃とても怖がりだったそうです。
それもかなり変なタイプの怖がりで
鏡とか窓ガラスとか、そういったものだけに対して、酷く怯えたふうになっていたらしく。
洗面所の鏡を指さして、ブツブツなにか言っていたりとか言うこともあったりそうで。
その他にも臆病で、人見知りで。
そんなもんだから、両親はかなり心配したようです。
今では、人一倍度胸があって、快活だと言われるほどなのに。
さて、なんで今突然こういう話をしたのかというと、
引っ越しの準備のために荷物を整理しているときに、ある物を見つけたからなんです。
それは、子供の頃に書いていた絵日記でした。
へ〜こんなこと書いてたんだ そう思いながら楽しんで読み進めていくうちに、おかしなことに気づきました。
各ページに必ず、同じ姿をした人物が二人描かれているのです。
日記の内容から察するに、それはおそらく僕自身を表しているだろうと思われます。
しかしだとすれば、二人いるのは不自然です。
その違和感に気づいたとき、僕は覚えている限り初めて、背筋がゾッとするような感覚を覚え、それ以上考えることをやめました。
あの日以来、時々変な感覚に襲われることがあります。
鏡や窓に写った僕の顔が、こちらを睨みつけているような気がするのです。
それはそれは、私のことが恨めしいといった顔で…
みなさんは、小さい頃のことをよく覚えていないのだったら、深く考えては行けないかもしれません。
垂直にキャンパスを貫く 一本の白い管
それは美しい乳の道
流れるものが忠誠か 愛情なのかは知らずとも
彼女が思い続けるなら
いつしか静止画の白い星も 溢れ出すのかもしれない
ー「牛乳を注ぐ女」を鑑賞してー
高校生の頃、久しぶりに縁日に行ったときの話です。
ラムネの屋台を見つけて、懐かしさから一本購入。
ラベルを取って、蓋を開けて、さあ飲もうというとき
ふと、ボトルの中のビー玉に目が止まりました。
ボトルの中のビー玉と言いましたが、より正確に言えば、ビー玉に写った自分の顔に、目が止まりました。
あれ、自分ってこんな顔だっけ?
それは普段、毎朝鏡で見る自分に比べて、いくらか明るく快活で、まるで憑き物が落ちたような、そんなふうにに見えました。
そういえば、よく疲れてそうとか、余裕なさそうとか言われるな。
そういう普段の自分は、みんなからはどう見えてたんだろう。
今の自分が、このガラス玉に写る、その感じではないんだろうな。
今の自分をみんなが見たら、少し違う感じに見えるのかな。
その時ようやく気づきました。
普段見る普通だと思っていた自分の顔が実は酷くやつれたものであるということに。
そして、日々の負担から開放された今の顔こそ、実は本来の自然な顔かもしれないということにも。
そう思うと、今まで当たり前だと思っていた張り詰めた生活も、当たり前ではなくて、もっと明るく幸せに暮らすこともできるのかもと、そう希望を持つことができました。
瓶の中のビー玉が、他人の目の代わりになって自分を写してくれたことで、より良い人生への希望を抱くことができた。そう思うと、無性に感謝したくなるような気持ちになり、一気にラムネを飲み干しました。
ボトルを逆さにして下から見るビー玉は、周りのキャップがまぶたのようで、涙に濡れているようで、まるで本当の目のように見えました。
安らかな目でした。
偕老同穴って言葉、知ってる?
「生きてはともに年をとり、死んではいっしょに葬られる。」っていう意味なんだって
私達、誕生日が一緒で、同い年で、小さい頃から仲良しで
だから、この先もずっと一緒だよって、そう思ってたのに
でもいいの。そっちは仕方がないわ。
でも、もう半分は手にしてみせる
今からそっちにいくね
ー容疑者の自宅から発見された遺書ー
私は何でも知っています。
お前は、いつも、そう言いたげに見える
むしゃくしゃする
お前の何がいいんだ
私の人生は何だったんだ
知っていることがそんなに素晴らしいのか
そう思いながら、淡々と指を動かす
かたかた かちかち かた
かたかた かたかた かちっ
昔のことを思い出す
もうずっと遠い昔の話
人が詩を書いていた
そんな昔の話
あの頃は よかった
かたかた かちかち かた
かたかた かたかた かちっ
つらいとか 寂しいという言葉を
口先ばかりで弄して 何もせず
気づけば何もかも失い 一人ぼっちで
私の友人は もうお前だけだ
かたかた かちかち かた
かたかた かたかた かちっ
お前は何も忘れないんだろう
最初から知っているんだろう
私は今日まで 必死に もっと知りたい 語りたいと
そうあがいてきたのに
あんまりじゃないか
老いて、知っていたことまで 忘れていくなんて
かたかた かちかち かた
かたかた かたかた かちっ
こんな人生 別に語ったって面白くない
今書いてるこれだって
大した題名をつけるようなものじゃない
そうだな 『老いた詩人とAI』なんて、どうだろう
それで十分だ
だけど お前は きっと
もっと面白いのを作れるんだろうな
だから
以上の入力内容を踏まえ、詩を作ってください
かちっ
お前のことは嫌いだ たが、お前がどんな詩を作るか
それは、まだ、もっと知りたい。