懐かしく思うこと
中学2年の、多分二学期だったと思う…学校の一番西側にあった、木造の教室2つ分の図書室…
一学年下の女の子と、昼休みに、いつも遊んでいた…追いかけっこしたり、お喋りしたり、マジックで落書きしたり…
そんな彼女と、そんな他愛無い日々が、迚も愉しくて永遠に続いて欲しいと願っていた…けれど、程無くして、彼女は、家の都合で、急に遠くへ引っ越しして、それ以来、一度も会わずじまい…
あれから、何十年も経ったけれど、今でも、あの制服姿の彼女を、忘れられずにいる…
もう一つの物語
あれは、風が少しだけ、秋を運んで来た位の頃…
近道をする為に、いつも横切る公園のベンチに、長い髪を揺らし乍ら、俯向き加減のあなたが居た…
何時もは、穏やかに微笑んでいるあなたが、寂しそうに見えた…
そんなあなたが、気になって、声を掛けて…其れから、何となく、言葉を交わす様になり、何時の間にか、心が、あなたで満ちて来ていた…そして、今では、同じ時間を歩み始めて同じ未来を…
そんな、もう一つの未来を、一人で描いている…
暗がりの中で
暗い森の中を、果てない闇の中から抜け出せ無い私…家族と過ごす時間も、友人と過ごす時間も…
子供の頃から、ずっと誰かと一緒に居ても、触れ合って居ても、モノクロの世界に、取り残された感覚だった…勿論、目の前の景色は、多分、自分以外の人と同じ筈なのに…
未来なんて、何処か遠い他人事で、ただ、鬱蒼とした暗い道を、ただ何かに、歩かされる…そんな日々の積み重ね…
紅茶の香り
中学生の時、初めて紅茶を飲んだ…緑茶しか飲んだ事が無くて、少し大人になった気がした…けれど、初めての紅茶は、苦くて、もう飲めないと思っていた…
けれど、あの、初めての香りが、鼻の奥で忘れられなくて…ストレートは諦めて、砂糖を入れて、飲める様になり…
丁度その頃、読んでいた恋愛漫画で、喫茶店が舞台でもっと好きになって…勿論、喫茶店のような美味しい物は買えなくて、安い物だったけれど…
いつか…誰かと…街角の小さな喫茶店で、美味しい紅茶を飲みながら…
そう心に描いて…
愛言葉
中学生の頃、あの歌の歌詞では無いけれど、国語辞典や漢和辞典で、愛、と云う文字を何度も引いていた…まだ、相手もいないのに、まだ見ぬ誰かを想い乍ら…小学生の頃には読んでいなかった恋愛小説を読み漁り、クラスメイトの噂話を聞き、初恋を、思い描いていた…今なら、笑い話にすらならないけれど、あの頃は、毎晩、机に向かい、ラジオから流れる、ラブソングを聴いて…
屹度、何処かで、待っているかも知れない誰かに、想いを寄せていた…