虹のはじまりを探して
雨上がりの夕方、久しぶりに虹が鮮やかなアーチが山の麓から、空高く伸びている…
七色の光の束を辿れば、きっと幸せになれそうな気がする…
そんな事を想いながら、虹のはじまりを目指し始める…でも、近づく程に、また移動して、段々と薄れてゆく…
儚い夢のように、少しづつ空に溶けてゆく虹を、でも、もう少しだけ、追いかけてゆきたい…
オアシス
この真夏の大地は、カラカラに乾いていて、逃げ水が点在している…広々した田舎なのに、日陰になりそうな大きな木も見当たらない…
広がる田んぼには、青々とそよぐ稲が波打つけれど、強い陽射しと、熱風で、目の前の景色が、揺らいでいる…
せめて、木陰でも見つかれば…
涙の跡
目が覚めると、枕が濡れていた…
寝ている間に見た夢に、あなたがいたから…ずっと前に、突然目の前から居なくなったあなたと、あの頃のように、寄り添って、笑い合っている夢…優しく微笑むあなたと、二度と離れたくないって思いながら、ギュッと抱き合っていたのに…目が覚めると、何時もと変わらない朝の風景…
それが一層、悲しくなって…
半袖
眩しい季節に、日焼けを気にして、長袖でいた君が、とうとう半袖になって…白い腕が、半袖から伸びる姿が、夏の陽射しよりも眩しい…
毎年、暑さの記録が更新されて、君も、抗えなくなって、君の半袖への衣替えが早くなってきている…僕は、そんな君の半袖姿に、何時もドキドキしながら、夏の到来を感じる…
もしも過去へと行けるなら
時間を遡る事が出来るなら…勿論、あの時のあの場所に行ってみたい…
ずっと、きみのことが気になっていて…最初は、ただの友達って思っていたのに、一緒にいる時間が増えてくると、段々友達のままでいるのが、何となく物足りない気がしてきて…
きみが、他の誰かと話しているだけで、不安な気持ちになっていた…いつの間にか、きみの一番になりたいって、思うようになって…
そして、あの日、きみに想いを伝えたって決めて、一緒の帰り道、なかなか言い出せ無くて、そしたら、きみが、好きなひとがいるんだって、いきなり言われて…
それからの事は、殆ど覚えていなくて、上の空で…
だから、今なら多分、ちゃんと想いを、告げられると思うから…