白い吐息
朝夕、外を歩くと、吐息が白く漂う…手も悴んで顔も痛くなる…
師走になって、一気に寒さが増して来て、何となく、忙しく感じて来た…
子供の頃は、白い吐息を、ゴジラの火焔に見立てて、友達とワイワイ言いながら、深呼吸をして吐き出していた…
それが大人になり、冷たい空気を吸う事が、辛くなってきた…
行き交う人々の吐息を見ながら、そんなどうでもいい事を思い出しながら、冷たい風に吹かれている…
消えない灯り
向かうのは、あの灯り…手探りでしか進めないこの道…
立ち止まって、ゆっくり確認したいけれど、先の見えない中で、ゆっくりもしていられない…
でも、あの遠くに見える、揺らぐ灯りが、唯一の道標だから…そこを目指して、取敢えず歩いている…
滑ったり、転んだり、迷ったり、疲れて休んだり…でも、あの灯りを信じて、半歩でも進むしかない…あの灯りがある場所は、どんなところなのか分からないけれど…
きらめく街並み
11月も後半になると、あちこちでちらほら、電飾が現れ始める…
またあの季節がくる…街は、華やかな装いになり、行き交う人々も、寒いねって言いながら、何処か楽しそうな声で、語り合っている…
今年もまた、独りぼっちの夜を過ごすんだろうな…幸せそうなカップルを横目に、コンビニで買ったショートケーキと、ちょぴりアルコールの入った飲み物と、チキンを頬張り乍ら、ポチポチスマホの画面を見ているのだろう…
本当は、誰かと一緒に、華やかな街角で、白い息を吐き乍ら、楽しいねって、笑い合いたい…
秘密の手紙
新しいレターセットの封を切って、シャーペン用意して…
あなたの事を想い乍ら、便箋に向かっているけれど…
なんて書いて良いのか、上手く文字に出来ない…心の中には、色々な想いが溢れているのに…
何通も書いて、封筒に入れたのに、結局机の引き出しに入ったまま…
書いても書いても、あなたには、届けられない、そう分かっているけれど、また今夜も、出せない手紙を書いている…
冬の足音
今年の冬は、いきなりやって来た…夏から、短い秋を超えて…
紅葉も、11月後半で始まり、蜻蛉も蝶も、その頃迄飛んでいた…
それが、いきなり、寒くなり、周章てて、長袖を引っ張り出して…秋を感じる前に、冬の到来…
木枯らし吹く道端で、首を竦め乍ら、余り寒くならないように、そっと祈ってみる…