静かな情熱
あなたを見ると、心がざわつく…何時も、感情が読めないと言われるのに、あなたの気配を感じると、もう落ち着いていられない… あなたの仕草や、無意識に耳に触る癖、気長なのにせっかちな足音…
無関心を装い乍ら、何時も気にしている、あなたの全てに…でも、誰にも知られたくない自分だけの秘密…あなたに知って欲しくて、でも知られるのが怖くて…クールな装いで、何時でもあなただけ、想っている…
遠くの声
誰かが呼んでる、わたしの名前…でもその声には聞き覚えが無くて…それなのに凄く愛おしい声色…
何処から聞こえてくるのか見渡してもわからない…
でも、優しくて、ぎゅっと心を包んでくれるから…その声のひとに、会いたい…心の中の何かが、その遠い声に惹かれているから…
春恋
春になると、何となく新しい出逢いがあるような気がする…毎年、そう稀い乍、桜の並木に通っていた…
でも、そんな奇跡には関わる事なく、今年も春を迎えた…薄紅色の花びらが、ちらほら出始めて、やがて春の景色を凌駕し始めたのに、矢張り特別な出逢いもなく、寂寥に浸り始めた…
やがて、春風にさくらが散り始めて、諦め掛けた時、あなたに出逢えた…桜の花びらが舞い落ちるこの道で、長い黒髪を靡かせるあなたに、ひと目で恋した…
艷やかな黒髪と薄紅色の春の舞、桜のトンネルから覗く、柔らかな陽射しの青空…
物憂げで儚い瞳のあなたを見つけた時、運命だと直感して…あなたに、この淡く儚い想いを、この桜並木から桜花がなくなる前に、伝えたい…
未来図
未来なんて、あるんだろうか…幼い頃は、色々な未来を思い描いていたのに、何時からかそんな事もなくなり…
其れが、あなたと出逢えてから、あなたとの未来を、想う様になった…初めて感じる、この気持ちを、ずっと先まで、続いて欲しいって稀う…欲張りだって、儚い夢だって分かっているけれど…
あなたとの未来図、きっと叶えたい…
ひとひら
時折吹く春風に、桜の花びらが散っていく…ふわりと舞う姿に、思わず、手を伸ばした…その手のひらに、ひとひらだけ舞い降りてきた…薄紅色を帯びた花びらは、美しく儚げで、握り締めるのは、躊躇われた…
この桜を、あのひとと一緒に見てみたかった…今も浮かぶ、あのひとの笑顔も、何処か儚げで…