小音葉

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3/11/2025, 10:35:04 AM

それはいつか、燻る私を焼いた光

まだか弱い残滓を覆う
信じて差し出される掌の熱
吹けば消える幻を描いて
殻を与えて閉じ込めた
あなたは船のようだった

隠す腕を振り解く
何度も顔を露わにさせる
恨めば良い、激情が背を押すならば
今は立ち上がり垂れ流せ
血も涙も越えて、あなたは輝く標となる

長い航海もやがて終わるだろう
色彩を取り戻した空の下
あなたは砂漠の片隅で、紛れる一つの粒となる

私の記憶を載せた船は
遠く遠く、彼方へ旅立つ
刻まれた光を忘れない
あなたのことを、ずっと、ずっと

(星)

3/10/2025, 10:32:11 AM

愛でもいい、恋じゃなくてもいい
蒲公英の丘から飛び降りてみたい

失ってしまえ
突き落とせ
酔って飲み干す涙の味を
爪に食い込む悔いを肴に
舌に焼き付けて、思い知れ

お前は誰だ
飽きて破り捨てる、手垢塗れのフレーズを
空を掻いても毟っても
瑣末なことだ
落ちてみても気持ち悪いだけ
世界は何も変わらない

夢の先が途絶えて久しく
こんな想いを抱えては、ダンデライオンはもう飛べない

(願いが1つ叶うならば)

3/9/2025, 11:43:17 AM

衝撃、
手の甲を叩く軽い反発
屈する硝子は悲鳴を上げて砕けて
喘ぎ苦しむ細い腕
その声は聞こえない

透明が腐る前に掬い上げる
ごめんね、わざとじゃないの、と呟いて
伏せる目は虚空を見つめる
遠くへ
何処か遠くへ
知らず、握り締める

砕ける
割れて落ちる
あんなに大切にしていたのに
転がれば床を汚す血溜まりとなる
もう帰らない
分かっているけれど、強がって吐く息が震えた

(嗚呼)

3/8/2025, 11:46:33 AM

廃れた教会、モザイクを這うアイビー
神も悪魔も去った銀雪にて
隠れた二人は指切りを
痩せた鼠だけが知る誓い

走り書きの涙、橙の水
夜が来るよ、蛇の目に怯える夜が来る

小さな牧師は目を閉じる
手を取る二人に祝福を
離さないで、星を紡いで、いつまでも
きっとまた昇る陽よ、彼らを守り賜え

羽ばたく音を聞き届け
夜はまだ寒いけれど、痛みが胸を刺すけれど
今度は同じ言葉を交わせますように
会いに行くから、聞かせてほしい

案外、苦しみは続かない
眠る鼠は微笑んだ

(秘密の場所)

3/7/2025, 11:05:17 AM

我楽多、数多、記憶の花道
人工の星が照らすブリキの街
空はとっくに落ちたけれど
いつでも明るい我らが故郷さ

錆びたあの子は今日も歌う
遠い昔の歌姫のように
掠れた声で、情熱を誦じる
胸のポンプは冷たいけれど
雄叫び、喝采、雨のように
鉄の皮も羽衣となる

彼らは間違えた
繰り返し、何度も、何度も
彼らに愛された
初めて見た二つの光を忘れない

街外れの暗闇、汚濁の水鏡
調子外れの音階は
無機質の宙、彼方へと走り去る
ワタシは天国にも地獄にも行けないけれど
祈るように、パイプを鳴らすの

(ラララ)

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