青花一華

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5/22/2024, 1:44:09 PM

#また明日
   また「明日」ね、
そう言って、また今日も彼女と別れたけれど。
自分には当たり前にあると信じている明日は、今日の私ではないのに。今日の私は、「今日」死んでしまうのに。

確かに今日の私は昨日の私となんら変わらず、呼吸をし心臓も止まることなく健康そのもので、おはよう世界といった状態ではあるのだけれど。

心は、一体全体どうであろうか。
昨日の自分の思考回路、悩み、アイデア、何もかも今日の私には引き継がれていない、といった経験はないだろうか。
まるで、新しく生まれ変わってしまったかのような、ファンタジー思考過ぎるところは元来の性質で変わらないのだろう、絶望的矛盾を抱えている。
が、しかし。
たとえば、昨日あんなに鬱々と就職活動について前向きに考えていたはずが、あら不思議。
今日になったら、社会のようなゴミの掃き溜めの一部になんかなりたくない、などという中二病もびっくりな黒歴史感情を抱いた振り出し状態の自分にまたもや回帰してしまうのである。

まあ、言いたいことは何かといえば
「また明日」
なんて気軽に言わないでほしいもんだねってことだ。
今日の私にはもう明日は来ないんだから

4/19/2024, 3:24:44 PM

#もしも未来を見れるのなら

惑星をのぞいた。ぼくは、右も左もわからぬような真っ暗闇の中、そこに一層青く輝くそれに強く興味を惹かれたのだった。

   少しずつ惑星に近づくと、ふと、それは青だけではなく緑がポツポツと広がった惑星であると気づいた。生命の水。植物の生い茂る森林。豊かであった。人間が生きるにはあまりにも。豊かになりすぎたのだ、この惑星は。

  そうして、しばらく惑星を眺めていると、暗闇を仄かに照らす神秘的な美しさを放っていた惑星は、いつの間にか茶色く濁り、ゴツゴツとしたクレーターだらけの姿へと変化していった。何回目だろうか、人間は学ばない。ぼくはそう思った。
そして、性懲りもなく寂しいなと、ぼくはそう思った。

  当たり前だが、人間は知らなかったのだろう。あの惑星がどれだけ青く、生き生きと宇宙の無限に存在していたのかを。

  枯れた惑星は、粉々になって宇宙の塵や塵になる。それを拾い集めるのがぼくの仕事だったりする。拾ったりかき集めたりして、世界を1から練り直し生成する。しかし、ぼくは神様なんかじゃない。ここに在るだけなのだ。
  だから、もう二度と同じものなど作れないし、もっといえば何ができるのかすらわからない。高温で水のない荒れた砂の塊ができることもあれば、氷の塊でできた光が存在しない星もある。
   そして、皆一様に生まれたその後はぼくのそばから飛び立って自由に無限へと散らばってしまう。

そんな日々の中で、幸運にもあの惑星に再び巡り会えたこと、それこそがただただ嬉しいことなのになんだか無性に切なくなって。


   ぼくは、あの惑星に近づきパラパラと崩れ去っていくその様子をじっくりと目に焼き付けながら、
    ポツリ、
       ポツリと、
砂のかけらにほんの少しだけ雨を降らした。

6/25/2023, 2:25:02 PM

♯繊細な花


ひどく乱れた、儚く美しいその輪郭を。

私はなぞる。
壊れ物に触れるかのように、そっと指を動かす。
震える手にゆっくりと、ゆっくりと、力を入れて。
上から右へ、徐々に左下へと、円を結ぶためになぞる。

そうすれば、きっとこの花は枯れないような気がするのだ。
円で結ばれたこの花だけは、私が真っ黒なキャンバスから切り取って、持ち帰ってもいいような気がするのだ。
そして、それができるのはこの世界に独りだけの私だけ。自惚れなんかじゃない、窓越しでも爛々と私の孤独を照らし出すこの花は、私が摘み取るために咲いてるんじゃないかって。ふとそう思った自分がいるだけだ。
外の世界は、何時だって私を置いてけぼりする。
今日だって外の世界は、あの花を捕まえようともせず、ただぽけっと見上げて夏の思い出作りで終わろうとしている人間がわんさかいる。
私だって。
そこに行きたいのに。


再び、真っ暗な孤独から唯一無二の花が浮かび上がる。
今度こそ。私は指を伸ばしてあのいちばん大きな花をなぞろうとした。
しかし。生憎私には、時間が足りないから。だから、それはいつもなぞり終える前に、散ってしまう。




夜空に浮かび上がる大輪の花は私に捕まえてほしくないみたいだ。

6/22/2023, 3:45:00 PM

♯日常

ひどく日差しが照り付ける7月某日。皆が寝静まり、泣く子も黙る丑三つ時。目を閉じて。意識を研ぎ澄まし、耳をすませば、聞こてくる。
「○○。○○ってば!働け、ニート!あの回し車で走るハムスターのように!!」
彼は言った。私をニートだと。視界を開けると、私の顔の前5cmほどの位置に、半透明の和服美青年(個人差あり)が眉を釣り上げて睨んでいた。てやんでい、一体全体なんで私が、こんな得体の知れない空中浮遊美青年に働けなんて言われなきゃならんのだ。あぁ、私の愛ハム「キャベツ太郎」と人間社会を一応生きながらえている神(私)を比べられるだなんて。ひどいヤツもいるもんだ。彼は、半透明の体を泳ぐようにくるりと一回転させて、私の右耳に顔を寄せ語りかけてくる。
「○○。君がいないと僕の力は元に戻らない。今日だってこんなに力が足りないんだ。見て。」
そう言って、彼は私の頬に口付けるとポンッと大きな破裂音が聞こえ、彼の姿は白煙で見えなくなってしまった。そして、煙の中から現れたのは、あらまあ。可愛らしい、「お狐様」ではありませんか。かわいいの権化、しかしこのお狐様は普通の狐とはいろいろ違う。まず、全身真っ白のポメラニアンのような毛並みをしていて丸っこい。毛玉族であろう、そのフォルムはキャベツ太郎と並ぶほど愛らしくて撫でる手を止められない。お狐様は、小型犬サイズのぬいぐるみのような軽さなので、抱き心地もバツグン。よき眠りの友になるのである!
「こら!!○○!僕を抱き枕にしないで!仕事しろニート!」
痛たたたた、顔面パンチヤメテ下さい。一応美少女を生業としてやらせてもろてる私の取り柄奪わないでいただきたい(自称)。お狐様は、光沢感のある毛並みをふぁさふぁさとなびかせながら、しっぽをフリフリしている。なんだかんだ撫でると喜ぶんだよ、このワンコ。だがしかし、そろそろ癒しの時間はおしまいにして、真面目なお仕事の時間だろう。カーテンの隙間から差し込む窓の外の光が、赤黒く私の部屋を照らしている。私は、お狐様の頭をいい子いい子しながら、仕事の話の続きを促した。
こんな私の平和な「日常」は、いつの間にか「奇跡」に等しいものになっていたのだと。あの日の私は知る由もなかった。

6/1/2023, 4:19:07 PM

しんどい、メモ帳と書いてまちがえました。
見なかったことにシテクダサイ。

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