たくちー

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11/3/2025, 7:39:54 PM

 死体となり一層凹んだ頬肉を、魂だけの存在となって見下ろす。俯いて泣いている母に、言葉を空気に乗せることができないからアイコンタクトを送った。だが気づいてもらえなかった。手を伸ばす。この手を掴んで。お願いだから一人にしないで。この場所は寒すぎる。

身体が炎に包まれる。
"ああ、温かい。火葬で良かった"

死んだら身体は冷たくなるけど心は暖かな場所、祖母のいる場所に行けるといいなと願ってる。いつか母もやってくるだろう。その時は昔みたいに一緒に女子会しようね。



題『行かないでと、願ったのに』

11/2/2025, 7:38:56 PM

 寝袋に包まれてキャンプをしたいという密かに秘めた想いがアウトドアショップへと足を運ばせる。だが熊の影響か品揃えが悪く2人用のものしか売っていない。ふとトレッキングツアーのパンフレットが目に入る。そんな選択肢もあるのか。つくづく知識不足な初心者の妄想でしかなかったなと感じる。どの程度の費用がかかり、重量はどの程度になるのだろうか。少しづつ現実とのシンクロ率を上げていく。秘密の標本には悲しいくらい現実的なデータが蓄えられていく。夢を叶える為というよりもタスクをこなす為のもの。夢見る子供が現実に飲み込まれてしまったようだ。サンタさんが口元に指をたてて声を上げないようにジェスチャーしている姿が、家族の仮装であることを知ってしまったように。
 夢から覚めて、現実の道のりは面倒だと感じてしまい、義務感による初志貫徹を目指すだけの作業になってしまった。それでも挑戦すれば何かしらの経験は得られるため、やがて動きだすだろう。
それが数年後にならないように"秘密の標本"というタイトルでメモ帳、というよりTo doリストに記しておく。

[必要なもの]
・寝袋
・トレッキングの知識




題『秘密の標本』

11/1/2025, 7:14:06 PM

 壊れた給湯ポットは1時間経っても沸騰を知らせるタイマーを鳴らさなかった。床下暖房は自分では弄らない。あまりに早く動かすと電気代が勿体無いと苦情がくる。他の人が起きてくるまで4時間程待たなければならない。風呂もそうだ。早すぎると文句を言われる。また入浴剤を極端に嫌う人がいるため、最後の皮脂汚れだらけのお湯に入ることになる。
それでも、その程度なら大したことはない。凍える朝、土砂降りの中でジョギングすることも嫌だが続けられる。マグロみたいに動き続けている内は平気だが、動きを止められると途端に精神的な苦しみに支配される。僕の場合、誰かが視界にいると活動停止してエラから空気を取り込めないような苦しみに苛まされる。それに対しておざなりな対応をされると更に苦しくなる。

僕にとって凍える朝は、辛さでいうならランク外だ。



題『凍える朝』

10/31/2025, 7:11:52 PM

 私が憧れるのは脚光を浴びるスターではない。また縁の下の力持ちでもない。例え戦犯と言われようと自分の芯を曲げない生き方だ。人生はオートセーブの初見殺しだらけなので、大抵の人はどこかで躓く。その時、失敗するリスクがあったとしても自らの芯に沿った行動であれば受け入れることができる。しかし周りの意見を一切聴かない頑固者とも違う。しなやかな柳のような心を持ちたい。光と影の間を自由に揺れる柔軟な生き方は猫のように自由奔放だ。



題『光と影』

10/30/2025, 7:36:47 PM

[脳内に浮かぶ意味のない羅列]
 何か、瞬間的な共感、同類、仲間、同じ苦しみ、深い仲間意識、だよね、普通が嫌い、自分を否定しないのは自分自身、空気が張り詰めない、快適さ、金、食、職、触、嫌いなのは否定、精神を削る音、この程度ならできるという予想、過去の積み重ね、人生の意味とは、生きるとは、寝る前に満足できたか、最高の一日を更新したか、ベストスコアか、常に前に、前へ、プロでさえ背中を押され続ける。一方通行の1車線で立ち止まることは許されない。何かに背中を押され続けて生きている。どこまで?墓場まで。揺籠から墓場まで。そのHをバーディで通過してもダブルボギーで無駄になる。ゴルフでも麻雀でも、そして人生でも最終スコアが良ければよい。終わりよければ全て良しだ。つまりは最終話が気に入らなければ全て無駄。だから無かったことにする。忘れる。幸せな過去の映像を苦しみ抜いた過去に上書きする。人生のバックパックに何を詰めるか、厳選して、完全な理解の上に、配置する。強烈な拘り。納得のいく美しい形。だが、人と関わるとそれが否定される。自分が最強だと思っていたものが平凡な、平均的なモノだったと思い知らされる。井の中の蛙大海を知らず。視野狭窄な子供時代は楽しかった、クラスの中で何かで一番になれることが多かったからだ。例えば対戦ゲーム、足の速さ、テストの点数。井の中の蛙であることを知らない初心者の頃が最も楽しい。そして自分が平凡であると気づいた時、人生はただの消化試合になる。残り時間5分で10点差を覆すことはできない。それでも希望を持ち続けることはできない。バベルの塔に終わりはなく出過ぎた杭は打たれる。そして、



題『そして、』

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