The friends は僕のエゴに粉末状にした乾燥ムカデを振りかけるような日常のスパイス全般だ。その意味では「人間限定」ではなくてカメムシも食用タランチュラも変わらない。フードプロセッサーにかける。同じ見た目でカップラーメンの粉末に混ぜても気づかない。お腹を満たしてくれるならfriendsだよ。
題『friends』
[第1章: 夢想歌。願う未来へと繋がる不確定な未来]
君の歌は封印された古代の兵器を動かす鍵だった。だから王国中枢の部屋に閉じ込められていた。そんな君が可哀想で外の世界を見せてあげたくて、こっそり部屋から連れ出した。君の歌は次期国王を決める争いの中で未来への恐怖に怯えた足枷を外す勇気をくれた。それなのに、君のこと守ってあげれなかった。
君がいなくなって数日後、光の粒子が遥か彼方の大陸から山を削りながら放たれた。目の前が光に包まれる瞬間、君の泣きそうな笑顔が見えた気がした。巨大なクレーターが出来上がり、一つの大国が消滅した。
君が紡いだ歌を忘れない。
題『君が紡ぐ歌』
提灯アンコウはゆらゆらと尾鰭を揺らして霧の中を泳いでいた。光と霧の狭間で、安牌に見せかけて黙テンしている。だがそれは狡猾な罠である。恐怖に抗う為に目先の光に飛び込む獲物は後を絶たない。
光の照らす場所は安全とは限らない。
題『光と霧の狭間で』
速度制限をする砂時計は、バターを混ぜた小麦粉のようにドロドロな砂粒に対して「この先工事中」という電光掲示板を明滅させている。待たされている砂からは苦情を示唆するクラクションが鳴り響く。ガラス容器はホイッスルを吹いて緑色の旗を振っている。
砂時計の音は鳴り止まない。
題『砂時計の音』
天秤座が空から降りてきた。
「君の身の安全と誰かの安眠、どちらが大事だろうか?」天秤は片側に傾いていたが、どちらかは分からなかった。後日、新星が発見され"天秤座を襲う大隈座"として星図表に記録された。寝息をたてる丑三つ時の住宅街にチリンチリンと熊よけの鈴が鳴り響く。
題『消えた星図』