REINA

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7/29/2024, 12:43:55 PM

嵐が来ようとも


『嵐の前の静けさ』とはよく言ったものだ。
実際に私はかなり憤慨しているが、それでも頭は至って冷静な感じだった。

まるで、時が経てば猛烈な雨風が吹き曝すように、
現状の私の心はとても穏やかだった。

恋人が浮気をしていた。
そんなよくある話だ。

確定した証拠を掴んだ時は、何故だかスッと冷静になったが、自宅に帰って泣いた。
大泣きした。

その後、むしゃくしゃして、友達に電話をかけた。
今日は決着を付ける時だ。

別れを切り出す。
本当は別れたくない。
でも、浮気をする男は、次も浮気するだろうし、
私もそんな心配をしなくちゃいけなくなる。

『信じる』ということが出来なくなる。
別れを切り出したら、多分私は泣くだろう。
猛烈な雨風が自分に降り注ぐ。

いや、むしろ降り注ぐことを望んでいるのかもしれない。男への気持ちをすっきりと洗い流して欲しい。

振られたり振ったりするたびに、私は『恋』とか『愛』とか出来ないんじゃないかと思うけれど、それでもきっと恋をするのだろう。

例え嵐が来ようとも、私はまた素敵な青空を目指して歩いていくに違いない。

7/28/2024, 1:24:43 PM

お祭り



好きな人との『お祭り』の思い出。
あなたは何を思い出しますか?

浴衣姿を褒められたこと。
はぐれないように手を繋いでくれたこと。
一緒に食べた綿飴。
逃しちゃったきんぎょすくい。
射的で取ってもらったぬいぐるみ。
最後に綺麗に散った花火。

私は地元の大学へ進学することが決まった。
あなたは夢のために上京すると言っていた。

告白をしたら何か変わるんだろうか。
そう何度も逡巡しながら、やっぱり勇気は出なかった。
そんな思い出。





数年振りに地元のお祭りに足を運んだ。
あの時と鮮やかな光景は変わっていない。
ただ一つ言えることは『あなたが隣にいない』こと。

あの時、勇気を出していれば変われたのだろうか。
今更、そんなことを考えてもしょうがないのに。

ふと、似た人とすれ違った。
思わず振り返ったけれど、こんな人混みでは『その人』だったかは分からない。

わざわざ確かめてまで、追いかけるような年齢でもなくなった。
花火がパッと上がって、そして散った。

7/27/2024, 12:49:23 PM

神様が舞い降りてきて、こう言った


私には生まれる前の記憶がある。
それは天国にいた時のこと。

私は天使だった。
仕事に関しては完璧な天使。
でも『人間』という人種が理解できず、
私は彼らに対してそっけなかった。

そんな私に神様が舞い降りてきて、こう言った。

人間になって、色々な感情を学びなさいと。

複雑な心を持つ人間。
何でそんな面倒な種族にならないといけないのか。

神様の命令だから仕方ない。
仕事として与えられたのだから、
何を学べるというのかは分からないけれど、
行ってきます。

7/26/2024, 6:24:42 PM

誰かのためになるならば


「今日も…残業……」

フロア内には私しかいない。
今日は先輩から仕事を押し付けられた。

自分が断れない性格というのもあるけれど、
先輩は今日の合コンをすごい張り切っていたらしい。

合コンがうまくいくかは分からないが、
それでも私がこの仕事を請け負うことで、
少しでも誰かのためになるならば…と思ってやっていた。

「もうすぐ終わる……」

と呟く。
終電には余裕で間に合いそうでよかった。

その時、ガチャリと扉が開く音がして人が入ってきた。
その相手は同僚の高梨くんだ。

「なんだ?まだいたの?」
「うん。というか高梨くんもこの時間まで仕事?
お疲れ様です」

7/25/2024, 12:37:58 PM

鳥かご



自分の知っている世界だけに閉じこもっていたら、
それはそれで幸せなのかもしれないけれど、
未知の世界を知ったらもっと幸せになったのかもしれないし、逆に不安になったのかもしれない。

でも、今までの私を変えたくて。
鳥かごから羽ばたく時が、今なのかもしれない。



今日、勇気を持って告白しようと思う。
振られちゃうかもしれない。
それでも好きなことを伝えることができた自分を、
私は尊敬出来ると思うから。

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