嵐が来ようとも
『嵐の前の静けさ』とはよく言ったものだ。
実際に私はかなり憤慨しているが、それでも頭は至って冷静な感じだった。
まるで、時が経てば猛烈な雨風が吹き曝すように、
現状の私の心はとても穏やかだった。
恋人が浮気をしていた。
そんなよくある話だ。
確定した証拠を掴んだ時は、何故だかスッと冷静になったが、自宅に帰って泣いた。
大泣きした。
その後、むしゃくしゃして、友達に電話をかけた。
今日は決着を付ける時だ。
別れを切り出す。
本当は別れたくない。
でも、浮気をする男は、次も浮気するだろうし、
私もそんな心配をしなくちゃいけなくなる。
『信じる』ということが出来なくなる。
別れを切り出したら、多分私は泣くだろう。
猛烈な雨風が自分に降り注ぐ。
いや、むしろ降り注ぐことを望んでいるのかもしれない。男への気持ちをすっきりと洗い流して欲しい。
振られたり振ったりするたびに、私は『恋』とか『愛』とか出来ないんじゃないかと思うけれど、それでもきっと恋をするのだろう。
例え嵐が来ようとも、私はまた素敵な青空を目指して歩いていくに違いない。
7/29/2024, 12:43:55 PM