もしもタイムマシンがあったら
もしもタイムマシンがあったら、どうする?
使う?
正直、過去に戻ってみてやり直したいとかあるかもだけど、現在(いま)の自分を否定してきたみたいで、なんか怖くなる。
今一番欲しいもの
今、一番欲しいもの。
実際に、そうと聞かれると考えてしまう。
私って何を一番欲しているのだろう。
お金?
仕事のスキル?
私だけを好きでいてくれる彼氏?
やっぱり健康?
どれか一つなんて選べない。
私は欲張りだから、全て欲しい。
全て一番欲しい。
それじゃ、ダメかしら?
私の名前
同じベッドで時を過ごす。
私の頭を撫でながら、私の名前を優しく呼ぶ。
この時間がこの上もなく幸せだ。
視線の先には
君の瞳には誰が映っている。
君の心は誰に囚われている。
その視線の先にいる人を見ないで欲しい。
いっそ、見えないようにしてあげようか。
と言ったところでそんな勇気も度胸もない。
ただ、ただ願うばかりで、想いを募らせることしかできない自分だから。
こんな僕じゃ、君は眼中すら無いのかもしれない。
君にとってはほんの些細なことだけど、
あの日君の何気ない一言で救われた。
君のことを見つめるほど、君のことを知っていった。
君が誰に片想いしているのかも。
そんな瞳で、あいつを見つめないで欲しい。
僕の視線の先には、恋に焦がれている君がいる。
私だけ
学校一モテる男の子がいる。
バレンタインともなれば、その子の周りには女子が群がる。
私もそのうちの1人だ。
ただ彼は中学の頃からお返しは全員同じものと決めているらしく、いまだにその習慣は続いているようだった。
特別なの女の子がいない。
それが自分では無いのが淋しいけれど、ほっとする。
まだ誰かの彼氏では無いからだ。
私が他の人よりもチャンスがあると言えば、部活が同じということだ。
彼はバスケが得意で、私も兄の影響でバスケはしていた。ものすごく得意というわけではないので、高校ではマネージャーだ。
だから話す機会も多い。
「遠藤さん」
と呼ばれて振り返る。
いつかは下の名前で呼ばれてみたいなと考えながら、
「今日もお疲れ様」
と他愛無い挨拶をする。
「これから帰るところ?」
「うん、そう」
「一緒に帰ろうよ」
「うん、いいよ」
平静は装っていたけれど『一緒に帰る』というワードに頬が緩みそうになってしまう。
しばらくは部活のことなどを話していたら、あ!と一言呟き、鞄の中をゴソゴソしていた。
「はい、これ。ホワイトデー」
可愛らしい缶の箱。
「遠藤って、こういう缶の箱を集めてるって、聞いたことがあったからさ。結構、お高めの店で買ってきたんだぜ」
「え!?わざわざ、ありがとう」
それは可愛らしい、うさぎや猫などの動物が描かれている缶の箱で、中身はクッキーの詰め合わせのようだった。
他の女の子たちには、これとは違う別なものを、全員にあげていたのに……。
(私だけ、違うプレゼントだ……)
そう気が付くと、何で私だけ?とか、もしかして私のことが…?とか、変な期待で頭の中がグルグルする。
「いつも、マネージャーとしてもお世話になってるからさ」
そう言われて『私だけ特別』という淡い期待は消え去った。それでも『私だけ』のプレゼントだ。
心がじんわりと嬉しい。
「ありがとう」
と噛みしめながら伝える。
彼がにこりと笑う顔を見て、卒業までには自分の想いを伝えたいと思った。