もしも未来を見れるなら
『好きです!今日だけでいいので付き合ってください!』
そう言って、今日無理矢理デートをしてもらっている。
相手は最初こそ怪訝な顔をしていたが、私があまりにも真剣な顔をしていたのか、それとも私の鬼気迫る勢いに負けたのか(笑)
ともかく、デートにはこぎつけた。
定番なデートだけど、幸せだ。
駅で待ち合わせをして、映画館に行って、公園で私お手製のお弁当を食べて、最後はカフェで大好きなケーキを食べた。
ケーキは彼がご馳走してくれた。
お弁当のお礼のようで、嬉しかった。
「なんで今日だけなの?」
そう彼は聞いてきた。
私は言おうか言うまいか躊躇ったけど、話してみることにした。
「もしも未来が見れるなら、そしてその未来が明日死ぬと分かっていたら…」
静かにそれでいて淡々と私は話す。
「悔いのないように最後まで生きたいと思ったからです」
彼は「え?」と息を呑んだ気がした。
その後は沈黙が続いた。
おそらく私の意図を汲み取るために思考を凝らしているのだろう。
構わず私は続けた。
「……なんて冗談ですよ。そういう気持ちでいれば、先輩に勇気を持って告白できるかなと思って。文字通り、死ぬ気で」
と乾いた笑いが風と共に走り去る。
私が明日、本当に死ぬのかどうかはそれほど重要なことじゃない。
今、あなたの隣にいることが出来ていることが重要なのだから。
桜散る
桜が咲き誇る中で、
出された答えは『YES』でも『NO』でもなく、
『Pending』だった。
つまりは保留。
「考えさせて欲しい」
いつまでに?
どのくらい待てばいいの?
ちょっとでも勝算はあるの?
それとも私を気遣うための言葉なのかな?
どんなに考えても、あなたの考えが分からない。
でも彼の性格からすれば、真面目に考えてくれているのだろう。
例えその先に出た答えを聞いて、私が枕を濡らすことになったとしても。
桜が咲き誇る中で告白した時期から、
桜が散らんばかりの頃に答えを聞いた。
もうすぐ新緑の季節に移ろいゆく中で、
彼が出した答えは『NO』だった。
そっか。
と、なるべく気丈に振る舞った。
せめて友達として…と伝えるのでも精一杯だった。
多分、これから先、桜散る頃に思い出すのだろう。
この初めての告白を。
そして、時が経てば経つほど、
もしかしたら霞んだ淡いピンクの思い出として、
消化されていくのかもしれない。
夢見る心
『将来の夢はお嫁さん』
それは昔から変わらない。
誰かを愛したいし、愛されたい。
知り合って
友達になって
恋人になって
結婚して
お互いがお互いを大切に思えるような、
そんな人に出会ってしまったの。
ふわとろで甘々な気持ち。
白いウェディングドレスを身に纏って、
あの人と一緒に笑い合う。
まずは私を知ってもらわないとね。
夢見る私の心は、今日もあなたでいっぱいです。
届かぬ想い
『図書館の君』
と私の中で勝手に名付けた想い人の横顔は、
今日も聡明で美しい。
美しいと言っても女性では無い。
男性だけど「イケメン」という安易な言葉では、
形容しがたさな顔立ちだ。
事実、学校での成績は学年トップなのだから。
そんな彼は本が好きなので、図書室によく来る。
「こんにちは」
と声をかけてくれた。
クラスが違うので、彼との唯一の接点は、
図書委員としての私の本の貸し出し作業の時だけだ。
ほんの短い時間だけど、彼が手に取った本を私が手に取る。
それだけで彼と何か共有できた気がしたのだ。
本のタイトルをよく見れば、あまり普段の彼の貸し出し履歴からは、予想が付かない系統の本だった。
恋愛小説とか読むんだ、意外だなぁ…と思っていると、顔に出ていたのか、人に勧められて…という答えが返ってきた。
勧めた人とは誰のことだろう。
本好きなの私としては気になった。
だが、再度タイトルに目を向けると、記憶が蘇ってきた。
今朝の読書習慣で、全く同じ本を読んでいた同じクラスの女子の顔が浮かんだ。
その子は『図書館の君』に惚れている。
そして可愛い。
性格も私に比べたら、守ってあけたくなるような。
神様へ
まずは仕事が決まりますように。
恋人ができますように。
友人と一緒に行く旅行が晴れますように。
推しに会えますように。
あ、一応、健康でいられますように。
ダラダラする癖が直りますように。
でもやっぱりダラダラ少しはしたいです。
趣味に使えるお金が増えますように。
推しのグッズがたくさん欲しいので。