届かぬ想い
『図書館の君』
と私の中で勝手に名付けた想い人の横顔は、
今日も聡明で美しい。
美しいと言っても女性では無い。
男性だけど「イケメン」という安易な言葉では、
形容しがたさな顔立ちだ。
事実、学校での成績は学年トップなのだから。
そんな彼は本が好きなので、図書室によく来る。
「こんにちは」
と声をかけてくれた。
クラスが違うので、彼との唯一の接点は、
図書委員としての私の本の貸し出し作業の時だけだ。
ほんの短い時間だけど、彼が手に取った本を私が手に取る。
それだけで彼と何か共有できた気がしたのだ。
本のタイトルをよく見れば、あまり普段の彼の貸し出し履歴からは、予想が付かない系統の本だった。
恋愛小説とか読むんだ、意外だなぁ…と思っていると、顔に出ていたのか、人に勧められて…という答えが返ってきた。
勧めた人とは誰のことだろう。
本好きなの私としては気になった。
だが、再度タイトルに目を向けると、記憶が蘇ってきた。
今朝の読書習慣で、全く同じ本を読んでいた同じクラスの女子の顔が浮かんだ。
その子は『図書館の君』に惚れている。
そして可愛い。
性格も私に比べたら、守ってあけたくなるような。
4/15/2024, 1:43:57 PM