もしも未来を見れるなら
『好きです!今日だけでいいので付き合ってください!』
そう言って、今日無理矢理デートをしてもらっている。
相手は最初こそ怪訝な顔をしていたが、私があまりにも真剣な顔をしていたのか、それとも私の鬼気迫る勢いに負けたのか(笑)
ともかく、デートにはこぎつけた。
定番なデートだけど、幸せだ。
駅で待ち合わせをして、映画館に行って、公園で私お手製のお弁当を食べて、最後はカフェで大好きなケーキを食べた。
ケーキは彼がご馳走してくれた。
お弁当のお礼のようで、嬉しかった。
「なんで今日だけなの?」
そう彼は聞いてきた。
私は言おうか言うまいか躊躇ったけど、話してみることにした。
「もしも未来が見れるなら、そしてその未来が明日死ぬと分かっていたら…」
静かにそれでいて淡々と私は話す。
「悔いのないように最後まで生きたいと思ったからです」
彼は「え?」と息を呑んだ気がした。
その後は沈黙が続いた。
おそらく私の意図を汲み取るために思考を凝らしているのだろう。
構わず私は続けた。
「……なんて冗談ですよ。そういう気持ちでいれば、先輩に勇気を持って告白できるかなと思って。文字通り、死ぬ気で」
と乾いた笑いが風と共に走り去る。
私が明日、本当に死ぬのかどうかはそれほど重要なことじゃない。
今、あなたの隣にいることが出来ていることが重要なのだから。
4/19/2024, 1:32:41 PM