空蝉

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7/1/2024, 11:24:21 AM


窓越しに見えるのは、
沢山のプリントを両手で抱えた彼女。
職員室にでも行くのだろう。
絹のような髪が風で揺れている。

「先生、」

思わず窓を開けてそう口にした。
彼女は振り返らない。当たり前だ。
ここは4階の教室。
声が、届くわけない。
この気持ちが、届くわけない。





6/29/2024, 1:29:39 PM

『 入道雲 』


暑かった。とにかく暑かった。
梅雨が明けたばかりだというのに蝉は鬱陶しい程
鳴いていて、アスファルトには影の下まで辿り着けなか
った悲しいミミズ達がそこかしこに転がっていた。
空にはでっかい入道雲。
雨降ってくるんかなー。と呑気に思いながら、
ふと思ったことをあいつに言った。

「なぁ、俺達夏はもういいが、会わなくて。」

「なんでさ。これからなのに。」

「いや、夏だからさ。」

「あーまぁそうか。」

「うん、じゃ。」

ほら、あっさり了承する。あいつはそういう奴だ。
夏だからという言葉に明確な理由が俺にはあるが、
普通は意味がわからないだろう。夏だからなんだよ。

俺達は週の半分は会うような仲だった。
いや、ただ沢山会うだけの、それだけの仲だった。
俺達の絆は堅い様で、あまりに脆かった。
俺達の関係は綺麗なようで汚く、色褪せていた。
俺達の心は黒く、そして小さかった。

今でも入道雲を見ると、
その姿とは似ても似つかないあの頃の2人を思い出す。





6/28/2024, 3:17:41 PM



二度と戻らない君

消えてくれない思い出

あれから3度目の夏



6/27/2024, 5:36:17 PM



小さい頃からずっと見ていた夢があった。
一日中お祭り騒ぎで何処からも祭囃子や太鼓の音が
聞こえてきて人がいっぱいいて、とにかく楽しかったし
幸せだった。大好きな夢だった。
最近はあの夢をまるっきり見なくなってしまったせいか
無性にあの夢のあの場所に行きたい。
昔のことでもうはっきりと覚えてはいないが、
少なくともここではないどこか。


6/26/2024, 2:03:06 PM


最後になると分かっていれば
尤もらしい別れを告げたのに
「また明日」なんて馬鹿みたいに
言うことは無かった
あの日、無邪気に遊ぶ君の
いつもより少し寂し気な顔に
僕は気づけなかった
人間とは愚かなもので
明日は当たり前にあると
当たり前に思っている
僕も思ってたんだ
次もあの子に会える。と
そんな思いとは裏腹に
君はいなくなった
幼すぎた僕を置いて


君と最後に会った日


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