夜の風景ってキラキラしてる。
夜更かしに一々わくわくするほど子供ではない筈だが
例え、毎晩夜が更けるまで夜景を見たとしても
決して飽きることは無いだろう。
そんな些末なことを考えながら、
ベランダで煙草をふかしていい感じに黄昏てみる。
けれど大人になりきれない僕は、
なんだか寂しくて泣きそうになる。
ここで夜景を見るといつも形容し難い感情を抱く。
僕はもういい歳をした「大人」というものだと思うけど
この感情の名前を知らない。
兎に角色んな感情が混在しているんだ。
寂しさや悲しさや切なさとか、
これが俗に言う寂寞とか、焦燥っていうものなのかな、
と疲れきった頭で考える。
いくら考えたって、 大して頭も柔らかくない
歳だけとったおっさんに分かるはずもないが。
ただ分かるのは、
このまま夜にいたい、
朝が来て欲しくない、 ということだけ。
殆ど夢に入りかけている頭で、今夜も星に願う。
夜景
夜明け前
嫌でも耳に入る明け方の新聞配達のバイクの音
重い頭に反して妙に軽い体で仕方なく起き上がる
何故か飲めない薬と消えない目の下のくま
24個残して棚の奥底に消えた30日分の睡眠導入剤
明らかに不足しているセロトニンとお金
また朝日が憂鬱と共に明日を連れてくる
半年ぶりの散歩
高架下に漂う煙と煙草の匂い
あいつから貰うセッタ
ライターはガス切れ
仕方なく口元から奪う火種
クラクラする14ミリのタール
少し肌寒い帰り道
拭えない喪失感
とほんの少しの寂寞
夏が終わる
開けないLINE
僕は弱いからいっつも逃げてばっかで
知りたくない、何も知りたくないから
君の最後の言葉からも逃げて
そうやってあの日からもう2年の月日が経った
この先も一生開くことの出来ない君のLINE
それなのにもう届かない君からのメッセージを
僕は何故か待ってる
貴女の香り
僕ではない誰かの残り香
何も告げないで