ウーレ

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10/29/2023, 12:23:15 PM

絵を描くことが好きです。

その中で一番楽しいのは人物画。

その人に生命を吹き込んで、生活を見ることが好き。

この子は悩み沈む女学生。彼は機械に夢中な探究者。

その人は神さま。人を蔑む癖があるけど、とってもいい人。

いつか彼らが出会えば…小さな物語が生まれるかな。



こうやって自分の世界に人を創る度、出会わせるたび、

______わたしはヒトではなく神となるような、

彼ら彼女らが歩む人生を見ていたくなる。

______存在そのものが『もう一つの物語』へと変わるのだ。
























『もう一つの物語』

10/20/2023, 1:32:16 PM

_____事の発端はいつも私だった。

『オヤツなし』と言われたのは私がお昼寝しなかったから。

ごめんなさい、寝るだけなんて退屈だと思ったの。

______あの子が泣いたのは私の無遠慮な言葉が原因。

『みんなあなたが悪いと言ってるんだよ』

ごめんね、私はひどくて悪いヤツだ。

_______先生の言葉に同意してしまった。

『お前ってそう思ってたんだな』

クラスメイトの呆れたような声が、未だ心にこびりついて離れない。

ごめんなさい、私の、私だけの正義を押し付けた。

『あなたはとても優しくていい子だね』

ありがとうございます? 自分は優しい奴なんかじゃないのに?

いつからか胸の奥に刺した戒めの針は取ったりしない。

_____他人の心を傷つけて自分勝手で、その上数え切れない数多の罪も贖えないというのに!

いつか償えるだろうか。永年に伽藍堂なこの心を誰かのために使えるのなら、罪の一つでも赦されるだろうか?

















































過去に犯した全てを知ってでも愛してくれる人を大事にしよう






























『始まりはいつも』

10/13/2023, 1:03:03 PM

日々は虎のように早く駆け抜けてゆく。

二人の人間がいた。

その速さに戸惑っている内に置いていかれ号哭する人間。

あるいは自らを叱咤し進み続け栄光を勝ち取った人間。

私はどちらに成るのだろうか。大人と子供の狭間で耽っていたとしても、答えは一向に返ってこなかった。

「進路とか知るかよぉ〜…何に成りたいとか…」

前は何になりたかったんだっけ。たしか獣医師だったかな。

家族の一員だった大好きな猫を病で天使に連れていかれてから。

そのとき農業科の高校に入ってみたいとか言ってたなぁ。結局反対されて拗ねた。まだ許してないから。

今、何になりたい…いや、何者に成れるんだろ。

これは後悔かもしれない。……いや、きっとそうだ。

うーん、後悔の悔って梅の字に似てる。種を割ったら小さい豆が出てくるんだよね〜、あれなんだか美味しい。

私が成りたいものに成れないのは、成さなかったからだ。

…私は空から飴を降らすような突拍子な天才な訳でもないのに。

「今努力したら光ってくれるかな、私の鉱石。」

子供のように夢を見たい。

子供の頃に一切の混じり気も無く言った、私の夢。

「……獣医師、っと」

成さなかった辛さと成すための辛さは違うから。

頑張ろうね、私。































私も頑張ります。獣医師さんではありませんが。




















































『子供のように』

10/8/2023, 6:22:08 AM

力を込めれば、心が込もる。

心を込めれば、必ず誰かの心に響く。

その心に響いた音は波紋を呼び、動かなかった心臓に雷を落とすように変わりゆく。

響いたその心が力をまた込めたとき、それに応じ揺り動かされた波紋が誰かの心へ届く。

心配せずとも良い。

世はこうして変わってゆくのだと。




















『力を込めて』


10/6/2023, 11:28:37 AM

心が躍るように高鳴った。

その揺らめく碧い瞳。

楽しそうに舞う黒い髪と、覗くピアスで穴の空いた耳。



日々がスローモーションに見えた。




平日の親友は超真面目。新雪のように白い肌には授業のときだけ赤い眼鏡をかける。本の読み過ぎで少し目が悪い。

『ワタシは完璧な美少女だもんっ』

初めて会ったときから振り回されてきた。

『ねっ、髪切ったの!』

他の友達と話してても、あの子ほどおどけてて可愛い人はいないよねと笑うほどだった。




私のカメラには全ての記憶が眠っている。




『嫌よ…ねぇ、まだ行かないで…もしそれが失敗したらいなくなっちゃうんでしょ?』

狼のようにふわふわな黒髪は雨で濡れ、悲しそうに枝垂れていた。

高校三年生の夏。

青い青い春を、ハサミで切るより無惨に、残酷に、眠りが遮った。


けれどすぐ、魂はあの声を追いたどり着いた。




『あはは、十年後に目覚めるなんて、オーロラ姫のちょうど十分の一の時間じゃない!』

抱きしめながらオーロラ姫と言われると、生きている証であるという実感をさせるようにドキドキする。

『ふっふっふ。こっちはいつでも旅行に行く準備できてるんだからリハビリ頑張るんだぞっ』

ふふ、それなら頑張れるために支えてくれるパートナーを作らないとね。

『あら、パートナーならここにいるじゃない!頼ってよ。君のために頑張ってたんだからさ!』

ねぇわざと言わせたんでしょと親友が笑う。
学生の頃も綺麗だったけれど、今の方がもっともっと綺麗だと思うと、時間の流れを目に見えるように感じた。

ねぇ、聞いて。
 

 ありがとう、ずっと話しかけてくれて。

 ありがとう、側にいてくれて。

 ありがとう、私を愛してくれて。

天のような瞳が瞬いた。

過ぎた日にもっと見れたはずのその瞳には海ができて、きっとそこには想い人がいるのだろう。


「あなたを想うよ。花のような美少女さんへ」























































      


















 











『過ぎた日を想う』

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