日々は虎のように早く駆け抜けてゆく。
二人の人間がいた。
その速さに戸惑っている内に置いていかれ号哭する人間。
あるいは自らを叱咤し進み続け栄光を勝ち取った人間。
私はどちらに成るのだろうか。大人と子供の狭間で耽っていたとしても、答えは一向に返ってこなかった。
「進路とか知るかよぉ〜…何に成りたいとか…」
前は何になりたかったんだっけ。たしか獣医師だったかな。
家族の一員だった大好きな猫を病で天使に連れていかれてから。
そのとき農業科の高校に入ってみたいとか言ってたなぁ。結局反対されて拗ねた。まだ許してないから。
今、何になりたい…いや、何者に成れるんだろ。
これは後悔かもしれない。……いや、きっとそうだ。
うーん、後悔の悔って梅の字に似てる。種を割ったら小さい豆が出てくるんだよね〜、あれなんだか美味しい。
私が成りたいものに成れないのは、成さなかったからだ。
…私は空から飴を降らすような突拍子な天才な訳でもないのに。
「今努力したら光ってくれるかな、私の鉱石。」
子供のように夢を見たい。
子供の頃に一切の混じり気も無く言った、私の夢。
「……獣医師、っと」
成さなかった辛さと成すための辛さは違うから。
頑張ろうね、私。
菅蛾さんも頑張ります。獣医師さんではありませんが(テヘ)
『子供のように』
10/13/2023, 1:03:03 PM