時を告げる
小説家になりたいと初めて自分の中で強い目標ができた小学5年生のあの日。
あの日からずっと迷って迷って迷りまくってきたけど、結局親には言えない。
お姉ちゃんは「本当になりたいと思ってるなら言えるはずでしょ?」そう言うけど、言えない。
だって怖いから。反対されるのが。お前には無理だって。現実見なさいって言われるのが。
怖い。
今、私は小さいやつだけど、小説を書いて選ばれたら今までよりは多くの人に見てもらえる企画にエントリーしようと小説を書いている。
それで結果が出たらちゃんとやって言いたい。
あの日、小説家になりたいと思った日から何も成長してないって前は思ったけど、一歩踏み出してみる。
上手くいくか、選ばれるかはわからない。
でも、とりあえず今はいい小説かけるように頑張ろう。
「書く週間」という素敵でありがたいアプリで私の小説を見てくれる人もいるんだから。
せめて、今を精一杯頑張る。
昨日の自分を越えられるように。
些細なことでも
「些細なことでも人に何かしてもらったらありがとうといいなさい。」
私は小さい頃から早く母にそう言われてきた。
だから私は人から
物を渡された時
お土産をもらった時
送ってもらった時
代わりに何かしてもらった時 など、
色々な時に
「ありがとう」
とただ一言感謝の言葉を伝えるのだ。
今見てくれている人、はそんなこと当たり前だろ?って思ってますか?
でもね、どんな些細なことであっても
物を渡されても「ありがとう」の 一言も言わない人だっているんだよ。
ただそれだけのことだろうが。
その一言を言わないだけだろうが。
って思う人もいるだろうけど、
私は小さい頃から
何かしてもらった時は「ありがとう」と伝えるように心がけているし、言っている。
だからどんな些細なことでもお礼を言う。
それが少しずつ自分の心を素直にしてくれるかもしれないよ?
不完全な私
私は恋が分からない。どんな感情が恋なのか。
一緒にいて楽しければ、安心出来れば恋になるのか。
相手を好きという気持ちになるのか。
分からない。
言葉はいらない、ただ・・・・
「言葉はいらない、ただ私を愛してるかどうか知りたいだけなの!」
ついに言ってしまった。
お母さんは目を開いて固まっている。
お母さんは再婚してから変わってしまった。
4年前お父さんが亡くなってしまって悲しみながらも2人で頑張ってきた。
それなのにそれから2年、お母さんは再婚する男性を連れてきた。
別にそれは良かったんだ。お母さんは幸せになるなら。
でも、それからはお義父さんとばかりいるようになって私のことは後回し。空気のように扱われる。
だけど今日限界になって寂しさが限度を越えて言ってしまった。
別に愛してるとか、私の大切な娘なのとか特別な言葉はいらない。
ただ、前みたいに学校に行く時は"行ってらっしゃい。"
とか、前みたいにつまらないことで笑い合いたかった。
私を頭の片隅にでも置いといてほしかった。
お母さんが必死なのも分かってたから私だって必死に我慢してた。
でも、お母さん。
もう私のこといらないんじゃない?
お義父さんだけそばにいれば嬉しい?
それどころか娘との思い出なんて忘れてしまった?
前のお母さんに戻ってよ。
そんな言葉は言えるわけなかった。
「ごめんね。私邪魔だよね。ごめんね。高校卒業したらすぐ出て行く「何言ってんの!そんなわけない!」
私の言葉を遮ったお母さんは怒ったような悲しいようなそんな顔をしていた。
なんでそんな顔するの・・・・・?
「ごめんね、綾。綾のこと大事な娘だと思ってる。
ただ精一杯だった。優さん(お義父さん)のこと支えなきゃって妻として側にいなきゃってなったらいつの間にか綾との時間がなくなっていた。
お父さんが亡くなってから2人で支え合っていこうって笑って楽しく生きようって約束したのに。
母親失格よね。ごめんなさい。」
お母さん・・・・・
分かってたよ。お母さんが必死なこと頑張ってること。
でもね、
「お母さん。毎日私との時間を作ってほしいなんてわがままいわないよ。だけど、特別な言葉なんてなくても一緒にいる時間がなくても、ただ私のことを思ってくれてるだけで十分なのっ。
私はお母さんが幸せじゃなきゃ嫌だから!
だからさ?私との時間少なくてもいいから私のことも頭の片隅に置いといてほしいな。少しでも前みたいに笑う時間があったら私はそれで満足!」
頬から涙がつたる。
それはお母さんも同じだった。
「ありがとう綾。こんな、私を母親と言ってくれるならもう一度、チャンスが欲しい。」
「もちろんだよ。お母さん。」
私達はお互いの真っ赤になった目を見て笑い合った。
完
突然の君の訪問
家には私1人だった。両親は仕事だ。
私は病気で高校にも入学式以来行けていなかった。
なぜ、こんなに私の体は弱いのだろう。
なぜこんなに私だけ苦しい思いをしなければならないのだろう。
1人静まり返っている部屋で考える私にはマイナスで暗いことしか考えられない。
もういっそ死んだ方が楽なのではないか。
そんなバカなことを考えた時
ピーポーンポーンパーンポーン
チャイムがなった。
誰だろうかと腰を上げる。
玄関の扉を開けて待っていたのは1人の高校生ぐらいの男子だった。
「あの・・・・・・・どちらさまでしょうか?」
「あぁ、覚えてない?入学式の時に少し話した夏夜。
お見舞いにきた!外暑すぎるからさ、家に入れてくれ
ない?」
なんてずうずうしい人なんだろうか。
そう思いながらも彼の屈託のない笑顔に何も言えずに中に入れてしまった。
2人分のお茶を入れてイスに座ると
「ねぇ、ねぇ!君はさ、毎日何してるの?
毎日、暇?」
いきなりしすぎる彼の質問に気押されながらも
「うん。暇。」
短く答えると
「そうだよな!じゃあ、俺毎日くるな?」
毎日・・・・・・・
本当に遠慮を知らない子だと思った。
でも、キツくて会えない日もあると思う。と伝えるとそれでも来て帰ると言った。
それから言われた通り毎日毎日彼は家に訪れた。
来て、ほとんど一方的に喋って帰っていく。
その繰り返しだ。
私的にはそれがすごく楽だった。
気を遣わないでいいし、黙っておいても彼が喋ってくれるから喋らなくても相槌を打つだけで時間があっという間に過ぎていく。
ある日
ピタリといつも来ていたはずの彼が来なくなった。
今日だけかと思いそんなに気にしなかったけれど来ない日が何日も続いた。
おかしいと思いたまに様子を見に来てくれる高校の先生に聞いた。
「あの・・・・・・・・・・・
夏夜という子なんですけど元気ですか?」
それを聞くと先生は悲しい顔をして言った。
「夏夜は数日前に亡くなってしまった。
実は夏夜は重い病気で、医師からはずっと前から余命宣告をされていた。」
頭が真っ白になる。
亡くなった?夏夜が?
信じられない。
私が固まっていると先生は悲しい顔のままある物を渡してきた。
「夏夜は自分が死んだ後、お前が夏夜のことを口にだしたら渡して欲しいって手紙を預かっていた。」
そう言って先生は去って言った。
手紙を開くとそこには一枚
の真っ白な紙に
"笑って生きろ''
そう書かれていた。
自分の目から温かいモノがでるのを感じた。
彼がどんな思いでこう書いたのかは分からない。
どんな思いで毎日私と会っていたのかは分からない。
けれど彼は私と同じように戦っていた。
彼は笑っていた。
彼は楽しそうに毎日を話していた。
辛いことは話さずに楽しいことしか話さなかった。
残された私のできることは
彼の心からのメッセージに答えることだ。
彼の分まで楽しく笑って生きることだ。
あの時の、君の突然の訪問のおかげで私は前を向いて生きられそうだ。
ありがとう。
空を見て心の中でつぶやいたら
見張ってるからな!
頑張れよ!
そう声が聞こえた。
完
読んでくれてありがとうございました。