ぽんこっぅ

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1/6/2025, 12:40:08 PM

競走だ競走だと周りに勝手にセッティングされ、何かも分からずスタートラインに立たされて、気が付いたらスタートの号令が発せられ、急げ走れと周りから声が飛び交い、とりあえず走り出したのはいいものの、隣で一緒に走る相手も何が何だか分かっていない様子で、むしろ自分に合わせて歩いている様な状態で。
「ねぇねぇ、なんで僕達走らさせられてるの?」
「こっちも分からないよ。いきなり走れって」
走らされていることはもう始まっているので仕方ない。兎と亀、亀と兎、君と一緒に走ってゴールを目指す。
(君と一緒に)

兎と亀のオマージュ、本人達は何が何だか分かっていない状態で走っているバージョン。

1/5/2025, 12:06:33 PM

今日は風も吹いておらず、穏やかな日差しだ。
冬晴れとはまさに天の助けとも言えよう。
昨日までは吹雪が止まず屋敷の周囲も町全体も積もり積もった雪に覆われて、子供達の雪遊びをする声が響いている。

空を見上げ、昼間でも良く見える月を確認し、縁側に火鉢を用意し暖かい格好をしたら、装置の雪を下ろし準備を整える。
この装置は、日の光に指向性を持たせ月に届ける為の鏡だ。
モールス信号の要領で月に光のメッセージを送る。
しばらくすると月側でも同じ様にチカチカと光が帰ってくる。
その光のメッセージを解読し、また光のメッセージを送る。
冬晴れの遮る物が無い空だからこそのやり取りは日の光が許す限り続くのでした。
(冬晴れ)

かぐや姫のオマージュ、月に居るかぐや姫と地に居る爺婆のモールス信号でのやり取り。

1/4/2025, 12:27:30 PM

山で熊を従え、斧と丸太を抱えて自宅の小屋へ戻る。
日々の幸せな日課だ。熊の散歩のついでの薪作りは生活の為でもある。

ある日、自宅に戻ると見た事のない人物が小屋の前で待っていた。
熊を見て一瞬怯んだ様に見えるその人物は、「その力と熊を従える技を都で使わないか?武士の名と屋敷と金を与える条件付きだ」と言ってきた。
その言葉に一時の迷いなく断りを返す。
「何故だ、それ程の力を持ってして今より快適な幸せな日々を送れるのだぞ!!」と更に迫ってくる。
丸太を地面に置き、斧を構える。
ゴウッ!!と振り下ろす。
一振で4つに割れた丸太を見ながら硬直している人物に声を返す。
「今が1番幸せな日々だ。お前の幸せを当てはめるな。丸太の様になりたくなければ去れ」
その人物は、腰が抜けたのか、這うように帰って行った。
それを追おうとする熊の背を撫でながら、自分の幸せを心の中で再度思うのだった。
(幸せとは)

金太郎のオマージュ、都に出て武士・坂田金時にならない代わりに今が十分幸せなバージョン。

1/3/2025, 12:18:18 PM

その日は日が昇る前から舟を漕いで海に出ていた。
舟の上で日の出を見ながら今日の釣りをする予定なのだ。
ぼんやり光る提灯と白くなってきた空がちょうど同じくらいの明るさになってきて、釣りの釣果もまずまずと言った感じでよく釣れる。
もう少ししたら日の出だろうと1度糸を引き上げ水平線を見る。
一気に明るく暖かい光が照らす。日の出は実に気持ちがいい。

太陽が完全に水平線より出た事を確認すると更に一刻程釣りを行い、舟屋を兼ねる自宅へ向かって舟を漕ぐ。
途中に見える砂浜で数人の子供達が棒を持って走って黒っぽい何かを叩いてはまた走っていくのを繰り返しているのが見えた。また新しい遊びなのだろうか。

明日は砂浜の先の岩場で日の出を見ながら釣りをするのも良いなぁと考えつつ、舟は砂浜へは近付けないのでそのまま素通りして漕いで行くのであった。
(日の出)

浦島太郎のオマージュ、海釣りで砂浜に行かず海亀に会わないバージョン。

1/2/2025, 12:19:51 PM

今年の抱負を書き初めしようと筆と墨と半紙を用意して、何を書くか既に3時間悩んでいる。
去年の書き初めには「鬼退治に行く」と強く書いた記憶がある。
実際のところ、刀の稽古と爺婆の手伝いに追われ鬼退治には行けてない。
かと言って、鬼が悪さをやめているはずも無く被害は拡がっていると聞いた。
刀の稽古は一応、免許皆伝まで終えているが、実戦経験は無いので、この稽古で身に付けた技が鬼に効くかは分からない。そういう事を悩み出すと爺婆を置いて鬼退治に行く事も悩む種となってくる。
それで、既に悩み出して4時間になろうかとしている。
勢いで書くしかないと腹を括り筆を取る。
「今年こそ鬼退治に行けたら行く」
半紙に強く書き上げる。
書道の道具を片付けて、爺婆の所へ行き書いた半紙を掲げる。
爺婆が芸人のようにすっ転んだ。
(今年の抱負)

桃太郎のオマージュ、行けたら行くで行かないバージョン。
作者の抱負は「無事に生きる」

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