足り過ぎた贅肉

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山で熊を従え、斧と丸太を抱えて自宅の小屋へ戻る。
日々の幸せな日課だ。熊の散歩のついでの薪作りは生活の為でもある。

ある日、自宅に戻ると見た事のない人物が小屋の前で待っていた。
熊を見て一瞬怯んだ様に見えるその人物は、「その力と熊を従える技を都で使わないか?武士の名と屋敷と金を与える条件付きだ」と言ってきた。
その言葉に一時の迷いなく断りを返す。
「何故だ、それ程の力を持ってして今より快適な幸せな日々を送れるのだぞ!!」と更に迫ってくる。
丸太を地面に置き、斧を構える。
ゴウッ!!と振り下ろす。
一振で4つに割れた丸太を見ながら硬直している人物に声を返す。
「今が1番幸せな日々だ。お前の幸せを当てはめるな。丸太の様になりたくなければ去れ」
その人物は、腰が抜けたのか、這うように帰って行った。
それを追おうとする熊の背を撫でながら、自分の幸せを心の中で再度思うのだった。
(幸せとは)

金太郎のオマージュ、都に出て武士・坂田金時にならない代わりに今が十分幸せなバージョン。

1/4/2025, 12:27:30 PM