足り過ぎた贅肉

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1/3/2025, 12:18:18 PM

その日は日が昇る前から舟を漕いで海に出ていた。
舟の上で日の出を見ながら今日の釣りをする予定なのだ。
ぼんやり光る提灯と白くなってきた空がちょうど同じくらいの明るさになってきて、釣りの釣果もまずまずと言った感じでよく釣れる。
もう少ししたら日の出だろうと1度糸を引き上げ水平線を見る。
一気に明るく暖かい光が照らす。日の出は実に気持ちがいい。

太陽が完全に水平線より出た事を確認すると更に一刻程釣りを行い、舟屋を兼ねる自宅へ向かって舟を漕ぐ。
途中に見える砂浜で数人の子供達が棒を持って走って黒っぽい何かを叩いてはまた走っていくのを繰り返しているのが見えた。また新しい遊びなのだろうか。

明日は砂浜の先の岩場で日の出を見ながら釣りをするのも良いなぁと考えつつ、舟は砂浜へは近付けないのでそのまま素通りして漕いで行くのであった。
(日の出)

浦島太郎のオマージュ、海釣りで砂浜に行かず海亀に会わないバージョン。

1/2/2025, 12:19:51 PM

今年の抱負を書き初めしようと筆と墨と半紙を用意して、何を書くか既に3時間悩んでいる。
去年の書き初めには「鬼退治に行く」と強く書いた記憶がある。
実際のところ、刀の稽古と爺婆の手伝いに追われ鬼退治には行けてない。
かと言って、鬼が悪さをやめているはずも無く被害は拡がっていると聞いた。
刀の稽古は一応、免許皆伝まで終えているが、実戦経験は無いので、この稽古で身に付けた技が鬼に効くかは分からない。そういう事を悩み出すと爺婆を置いて鬼退治に行く事も悩む種となってくる。
それで、既に悩み出して4時間になろうかとしている。
勢いで書くしかないと腹を括り筆を取る。
「今年こそ鬼退治に行けたら行く」
半紙に強く書き上げる。
書道の道具を片付けて、爺婆の所へ行き書いた半紙を掲げる。
爺婆が芸人のようにすっ転んだ。
(今年の抱負)

桃太郎のオマージュ、行けたら行くで行かないバージョン。
作者の抱負は「無事に生きる」

1/1/2025, 12:08:10 PM


神様の屋敷に今年の干支の巳が訪ねて来ました。
「神様、新年明けましておめでとうございます。今年は私が干支を受け持ちます。」
「おお、巳や、お前さんは細長いがしなやかな柔軟性を持っておるでな、滑らかな年になるように努めておくれ。」
神様は巳にそう言いました。
巳はその言葉を丁寧に丁寧に書き留めて、深々と頭を下げて答えます。
「然と、然と承りました」
新たな年は無事にここに始まりました。
(新年)

今年も相変わらず、昔話童話のオマージュをメインに書いていきます。よろしくお願いいたします。

12/31/2024, 11:50:20 AM

干支の龍を初めとし、多種多様な物語の登場モノ達が一同に集まりお酒を酌み交わす。
忘年会には遅すぎるが今年最後の日だ。今日しかない。
朝から集まってはいたが、流石にこの時間になってくると散り散りに帰り出す。年の瀬を自分の物語で過ごす為だ。
最後には干支の龍だけが残る。
干支の龍は、大きな大きな声で「良いお年を」と鳴きながら残りの時間を見つつ次へ干支を渡す為に場に向かう。
(良いお年を)

書き手の皆様、読み手の皆様、良いお年をお迎え下さい。

12/30/2024, 12:09:05 PM

龍はその長い体を上に伸ばし、自分が通ってきた道を振り返る。
兎から引き継いだ干支の巡りを次の巳に受け渡す為に1年ずっと飛び続けて来た道は驚く程に曲がりくねり、上に行ったり下に行ったりしている。
大きく歪んだ道が何ヶ所かあるのは、世の中の事柄が反映されているからだ。振り回されるように駆け抜けた道だが、振り回されても途切れる事無く道は続く。
もう少しで巳が待つ道に辿り着く。
余力など残さず走り抜ける。

どうか、色々あったが良い1年だったと皆に言ってもらえるように。
(1年を振り返る)

干支のお話のオマージュ、兎から龍、龍から巳へと移り変わりますが、作者的には満足に足りる1年だったと思います。

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