ぽんこっぅ

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12/27/2024, 12:20:43 PM

寒い外は雪が降っていていつでも雪遊びし放題だ。
タンスを開けて手ぶくろと耳あてとニット帽とマフラーを出す。暖かいジャケットはクローゼットに吊るさがっていたはずだ。
お腹の辺りにカイロを貼り付け、ふんわりセーターを着て先程取り出した物を巻き付け被りはめていく。

足首までしっかり防寒できる靴を履き外に飛び出す。
しっかりとした雪の感触を楽しみながら公園を目指し滑らないようにゆっくり歩いて行く。
公園の方からは賑やかな声がこちらまで聞こえてきている。
大勢遊んでいるのだろう。

公園に着いたらお友達がもう雪合戦を始めていた。
大きな声で挨拶しながら自分も雪合戦に参加する。
敵も味方もないバトルロワイヤル形式の雪合戦だ。近くからも遠くからも雪玉が襲ってくる。
こちらも近くの友達遠くの友達問わず投げ返す。

時間も忘れ、寒さも忘れ、疲れも忘れてたっぷり遊び、腹減りだけは忘れず帰ろうとなった時に手の冷たさが一気に襲ってきた。
手ぶくろがいつの間にか無くなっている。雪玉を作る時に外れたのか、雪玉と一緒に投げてしまったのか、見渡してもそれらしき物は見当たらない。
ポケットに手を突っ込み、カイロの熱で温める。
家に帰ったらお金貰って手ぶくろを買いに行こう。
(手ぶくろ)

手ぶくろを買いにのオマージュ、手ぶくろを買いに行く理由。

12/26/2024, 12:15:45 PM

いつ見ても美しい。初めてみてからもう数十年たっただろうか?自分の祖父の代からあるものだ。
ドワーフ達が拵えたガラスの棺、その中で眠る姫。
時間を遮断するドワーフの業により、棺が開かない限り中のものはその姿を永遠に変えずそこに在り続ける。
もしも開いてしまったら、その止まった時間を補う為に中のものは一気に変化し老化・風化する。
この美しさを外に出す事は出来ない。触る事も叶わない。

棺をそっと撫でる。少しでも近くに寄りたい。
顔を棺に近付ける。少しでも近くで見たい。

棺に付いた汚れを見つけ、これでは台無しだと急いで袖を使って拭き取る。
ピシッ………
小さな音がした。
棺にヒビが入っている。まずい。

ヒビはそこから一気に拡がり棺が割れていく。
ガラスの欠片が落ち棺が開いた事を知らしめる。
寝ている姫の時間が一気に進む。
止める間も無く白骨化していく。
変わっていく。変わらないはずのものが変わってしまう。
どうしようもなくその場に立ちすくむ事しかもう出来ない。
(変わらないものはない)

白雪姫のオマージュ、物語ダーク化により目覚めることなく物語が終わる。

12/25/2024, 12:48:08 PM

今日はもう仕事も終えて仲間たちの集まる酒場に向かった。
駐車場には見慣れた仲間たちが大勢たむろしている。
全員もれなく疲れ切った表情でタバコを吸ったり喋ったりしている。
駐車場に停めて安全を確認してその輪に入る。
自分も懐からタバコを取り出し火をつける。

ちょうど吸い終える頃に最後の一人が駐車場に入ってきた。
揃って酒場に入る。今日は貸切だ。飲み放題だ。
タバコだけは外に出て吸わないといけないが。

赤い服に髭面でちょっと太った面々は好きな酒を頼み、ローストチキンにかぶりつき、どんなプレゼントを届けたかを報告し合い、年に一度の大仕事を称え合う。
駐車場に繋がれたトナカイ達にも豪華なご飯が振る舞われ、次のクリスマスまでの休暇の初日を過ごす。
(クリスマスの過ごし方)

サンタクロース達の仕事納めの様子。お酒飲んだ後のソリの運転はお控えください。

12/24/2024, 12:56:36 PM

いきなり突然に目覚めてしまった。
部屋の中は暗く静かだ。
少し身体を起こし周りを見る。
小人達が各自布団にくるまって寝ている。
部屋の飾り付けが変わっている事に気づき近くにあったカレンダーを見る。12月24日に印が付いている。クリスマスイブだ。
私が眠りについたのはまだ暑い夏だったはず。
だいぶ時期が変わっている。
本当は王子様が来てから起きるはずだが、どうしたものか。

静かに考えていると誰かが部屋に入ってきた。
赤い服、髭を蓄えた顔、大きな袋。
サンタクロースだとひと目でわかる格好だ。
サンタクロースはまだ私に気付いていないようで小人達にプレゼントを置いていく。
そして私の元へ来てようやく私が起きている事に気付いたようだ。
戸惑い声で何のプレゼントがいいかな?と聞かれた。
私はもう一度寝る為に、シナリオ通り王子様を待つ為に毒りんごを欲した。
イブの夜にまた私は眠りについた。
(イブの夜)

白雪姫のオマージュ、起きちゃったら王子様来ないからまた毒りんご食う姫の根性凄。

12/23/2024, 12:49:30 PM

掟はひとつ、見つかってはいけない。

そう教え込まれ、何度も何度も仕事を遂行して来た。何度も何度も成功していた。
が、今日今までの成功もスコアも終わってしまった。
プレゼントを置きに忍び込んでベッドの横の靴下に入れた所までは良かった。部屋から出る際にその親と鉢合わせた。見つかってしまった。

親の方も驚いて腰を抜かしている。手にはプレゼント用の箱が抱えられている。この親もプレゼントを置きに来た所だったのだ。

人差し指を立て口に当て、シーっと全世界共通であろう仕草をし、親の横を通り静かに玄関から出ていく。
外に出て、ふぅと一息ついてソリを飛ばす。
チラッと窓から見えた今プレゼントを届けた子の部屋に親もプレゼントを置いている。あの子は2つのプレゼントを見て喜ぶだろう。

見つかってしまった事の始末書を書かなくてはなぁ。
(プレゼント)

サンタクロースの皆様、プレゼント設置ミッション時は親の動きにも注意しましょう。

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