ぽんこっぅ

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12/22/2024, 12:24:24 PM

1軒目2軒目は自慢の特技で吹き飛ばしたが、どうもこの3軒目には通用しないようだと諦めた。
だが、特技で吹き飛ばすのを諦めただけで、全て諦めた訳では無い。特技を潰された恨みもある。絶対に中の奴らを見返してやる。

だが、特技以外に自信は無い。腕力で向かっても特技より弱いだろう。どうするべきか悩み、まずは相手をよく観察して対応するべきだと家の周りをぐるぐる回って突破口を探す。
ひとついい場所があった。煙突には蓋が無い。入ってしまえばこちらのものだ。
屋根に登り煙突へ飛び込む。が、飛び込んでからふと思う。
煙が出ている煙突って事は下は火が点いてるんだよなと。
思った時にはもう手遅れ。
下で沸かされていた湯にドボン!!
熱つつつ!!と叫ぼうとして……叫ぶのをやめた。
熱くない。というか、まだ少しぬるい。
沸かしきって煮えたぎる前に落ちたのだ。どうすればいいか分からなくなり、ゆずの香りのする湯に浸かったまま硬直して奴らを見る。
奴らも驚きと戸惑いの表情で見ている。

「ぉお、オ…オオカミさん、湯加減はどうですか?」
奴らの1人がそう声を発した。その問いで理解する。
「まだちょっとぬるいけど、ゆず湯にするならこのくらいでいいのかもしれない」
そう、ここは風呂場だ。
最初の特技の事やコイツを見返してやろうとしていた事など頭から抜けてしまったオオカミはゆずの香りを堪能して帰って行ったのでした。
(ゆずの香り)

三匹の子豚のオマージュ、ゆず湯は少しぬるめにして、浮かべた終えたゆずは水アカ除去掃除などに使うと良いよ。

12/21/2024, 12:08:41 PM

雲の切れ間から見える大空にいつもの異物が浮かんでいる。
城と台座のような球体を合わせたような異物で、かなり巨大な建造物の集まりだ。
それは雲の動きと同じように少しづつ動いている。風によって流されているといえばいいだろうか。天気によっては何日か近くに在る場合もあるし、早い動きで流れていくこともあるし、何日か見えない時もある。
どうやって浮いているのかは分からないし、アレがなんなのかも知らない。
望遠鏡で覗いていると人だろうか?動いているモノがたまに見える。もっと度の強い望遠鏡が必要だ。
それから、数年に一度程度ではあるが、球体部からいきなり謎の光を遠くに飛ばすのもやめてもらいたいものだ。眩しいんだアレ。
大空に浮かぶ異物は今日も変わらず空に浮かんでいる。
(大空)

天空の城ラピュタのオマージュ、王家崩壊前の話。

12/20/2024, 12:39:25 PM

朝からママは出掛けていて、子供達はお部屋の中で遊んだり寝ていたり。ママが帰ってくるまではドアを開けてはいけません。
リンリンシャンシャンと外からベルの音が聞こえてきました。
ママかな?と子供達がドアの前に集合します。

ドアがコンコンノックされ、声がかかります。
「良い子の子供達や、ちょっと早いがクリスマスプレゼントを配りに来たよ」
プレゼントの言葉につられドアを開けそうになる子を制しつつ、ひとりが答えます。
「ママが帰ってくるまではドアを開けちゃいけないんだ」
「プレゼント要らないのかい?ドアを開けてくれなきゃ渡せないよ」
「ママはこんな声じゃないし、リンリン鳴るベルなんて持ってないから、ママじゃないから開けれないよ」

ドア越しに開けて開けれないの押し問答。
ついには外の人が折れて、またリンリンシャンシャンベルを鳴らしながら帰って行ったようです。

その時、玄関ドアの外が見える窓の所で寝ていた子が起きて言いました。
「赤い服の髭のおじさん、トナカイのソリに乗って飛んでくねぇ、むにゃむにゃ」

それを聞いてみんなドアに駆け寄り外を見ます。
本物のサンタだったようで、だんだん遠くに飛んでいくのを見ながら子供達はドア開ければよかったー!!と叫ぶのでした。
(ベルの音)

7匹の子ヤギのオマージュ、ドア開けたら約束守れなかった良い子じゃないってプレゼントはくれなかったりするかもしれないから開けないで正解。(後日クリスマスにはちゃんと貰える予定)

12/19/2024, 1:00:11 PM

あの子は今頃海を渡っている頃かのう?
お爺さんがぽつりと呟いた。

うちの子は京の都で大きくなれたかの?
また別のお爺さんが呟く。

わしのところは月に帰ってもうたからのう
また1人お爺さんが呟き、空に浮かぶ満月を仰ぎ見る。

お爺さん達はそれぞれに寂しさを隠す様にお酒を交わす。
居酒屋の少し暗い照明に我が子達の姿を思い浮かべしんみりとまた酒を飲む。
お爺さん達の集まりは空が明るくなり出すまで続くのでした。
(寂しさ)

桃太郎、一寸法師、かぐや姫のお爺さん達の飲み会の様子。

12/18/2024, 1:25:43 PM

朝早くから凍える空気を吸い山道を登っていく。
数ヶ月前から話し合って冬は一緒に山へ行こうと決めていた日にまさかの大雪になるとは思っていなかったが仕方ない。
前を歩いていく相方は寒さに強いのか薄着で見ているこっちが余計寒い気がして、だが、声を出すのも辛いほど寒いので放っておく。

しばらく歩き続け、山小屋を見つけた。
ドアが壊れているが雪と風を凌ぐには問題ない。
小屋の中は案外広く、蜘蛛の巣を払い除け汚れた床に座り休憩を取る。

そして気付く。相方の顔が青く震えている。寒いのだ。
お前、何も無理してその格好で来るこたなかったんじゃないか?とようやく声を出す。
(金)と書かれた腹掛けにふんどしと草履雪駄。
出発前に阿呆かと言ってやれば良かった。

本当は山頂まで行く予定だったが無理はできない。
下山するぞと立ち上がる。
凍え死ぬ前に家まで帰る為に緊急的に相方をおんぶする。一緒に戻るんだと来た道を早足に突き進む。

次からは冬は一緒に山へ行こうなんて絶対言わない。温泉に行く方が良いに決まってる。
(冬は一緒に)

金太郎のオマージュ、熊目線。雪山でもあの格好してる金太郎は阿呆だがそれを止めなかった熊も阿呆だった。

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