ひなまつり
私は女の子なのに子供の頃から女の子らしい遊びが苦手だった。
人形はどんな物も怖くて嫌いだった。
ままごとや可愛い物を集めたり…なんてこともしなかった。
そもそも貧乏だったから、無意識に遠ざけて生きていたのかもしれない。
あれは低学年の頃だろうか?
知り合いの家でひな祭りをするので遊びに行くことになり…私は十二段飾りの前で写真を撮ってもらったらしい。
覚えてないけど写真の中の自分は無表情だった。
時が過ぎ、自分の娘に買ってあげる余裕はなかった。
娘は欲しかったのだろうか?
欲しいと言われるのがこわくて聞かなかったのかもしれない。
そんな自分が今頃になって突然、無性に、お雛様が欲しくなり…衝動買いをした。
自分の好きなうさぎが三人官女…その後ろに上品で高貴な二人が穏やかな笑みを浮かべて並んでいる。
自分のために、自分のためだけに買い求めたおひなさま🎎
本当は自分も娘も欲しかったのだろう…
1月の終わり頃毎年恒例で飾るおひなさま
桜が咲いたのを二人に見せてから仕舞うのでおひなさまはしばらく私達と一緒に暮らしている。
時折話しかけるけど、全て私の気持ちをお見通しの様な、包み込む様な優しい眼差しがそこにはある。
私が死ぬまでこうして一緒に生きていこうと思う。
もしかしたら、私の死後娘が後を引き継ぐかもしれない。
私と同じ様にずっとこうしたかったと言いながら…
誰よりも
今朝怒りそうな感じで目が覚めた。
起きる直前に、亡くなった母が、背中を丸め一人でしょぼしょぼとテーブルでご飯を食べていた。
その姿を横から見て、何で一人で食べてるの?声をかけてくれればいいじゃない、「一緒に食べよう」って
怒りがムクムクと溢れてきた。
そして目が覚めた。
そう…私達はコミ障なのだろう。
本音を言うことはない。お互いに相手が傷つく言動しか出来ないのだ。
私も母も孤独に生きていた。
人は孤独が当たり前の生き物なのに
上手く付き合えずハリネズミのジレンマのごとく。
突然息子の顔が浮かぶ。
すれ違い、誤解、苦情、諦め、冷酷さ…それが全て私のせいかも知れないけど。
私も彼もハリネズミなのだ。
近づいただけで傷つく。
しかしホントは一人ひとり心から相手の事を心配して愛しているのだ。
誰よりも…誰よりも…
10年後の私から届いた手紙
10年前私は忙しくしていた。
否、本当は時間は沢山あった。
気持ちがせわしなく落ち着きがなかった。
10年後年を取り少し心穏やかに生きているんだろうか?
今夢中のアレヤコレヤは続けているんだろうか?
10年前の自分に伝えたい事はある。
今、後悔している事、気をつけて欲しいこと…
でも結局堂々巡り…
そう…今だに後悔ばかり、反省する事ばかりの生き方。
未来の自分がそんな自分を卒業している事。
色んなことを諦めて、人と比べず、人を大切に出来る人になっていて。
そんな自分が今の私に何を伝えるだろう。
もう自分を責めることはない未来の自分がいてほしい。
生きていてそのままの自分で良いんだよ。日々大切に生きていれば、それだけで…それが人生さ…と。
1000年先も
今から1000年前は平安時代…
生活スタイルや恋愛の仕方も違っていた
しかし源氏物語や枕草子を読むと共感する事が多い事に驚く
愛すること、傷つくこと、自然に慰められ、孤独に生きていた事など今と変わらない事に
今、出会った貴方とも1000年前にも出会っていたかも知れない
そしてお互いに課題や宿題を心の奥に抱えながら再会の時を待っていたのかも
初めて会った時の間懐かしさ、愛おしさは言葉に出来ないほど、胸の奥で熱く哀しく…
また私達は全てを明らかにせず、胸の奥に秘めたまま別れてしまった
そんな運命なのだろうか…
1000年先に再び出会ったら今度こそ分かり合いたい
何も言わなくても分かり合えそうな気がするのは私だけだろうか
それだからこそ言葉にしよう
はっきり伝えよう
そして貴方の心の奥のひだを重ねさせて…
君と一緒に
いつまでも君と一緒に生きていきたかった…嘘じゃない。
全て捨ててもいいと、あの時は本当にそう思ったの。
心から愛していると信じ合えていたはず…
使い古しの言葉ばかり…今思えば恋愛のアマチュアだったね、私達。
貴方は心から愛してくれた。
でも、いざ私が頼ると他人のふりをしたの…貴方。
私の方こそ、本当は人を心から信じたことがない。
ぶっ壊れた人間なのに、普通のフリした。
こんな私だけど、少しは残っているよ。
貴方の背中のくぼみ
貴方の温かい手
貴方の真っ直ぐな眼差し
私を呼ぶ声
私の中に生き続けている。
君と一緒に永遠に…