青い風
…ちゃん?
見知らぬ人から声を掛けられた。
名前を言われ直ぐ思い出したけど、
顔が出てこない。
何十年ぶり…小学生の時の事覚えていてくれた。
エピソード付きで…。
私にはまるっきり身に覚えがなく、
親しかった記憶もない。
でも可愛くて良い子だということだけはしっかり覚えていた。
少し疲れ気味な表情だが、裏表のない親しげな彼女の話に久々に興奮していた。
お互い全く関わりのない見知らぬ人生の折り返しで、偶然再会した。
人と関わらないように生きているのに何故か嬉しくて。
苦労したのだなと、そして今も大変そうな毎日が伺い知れる事を知り、
思わずライン交換していた。
いつでも話聞くからと…
あぁどうか傲慢になりませんように、彼女を傷つけませんように。
まっさらの子供の頃に戻ってやり直しが出来るなら、後悔だらけの人生だけど少しでも誰かと温かい付き合いが出来ますように。
笑顔で別れた跡に青い風が吹いていた。
7/4/2025, 3:07:54 PM