幽愁

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1/25/2026, 5:02:17 PM

毎日毎日不安の中で、安全であれるようにと祈りながら過ごして居る

世の中にある絶対や当たり前を、僕は信じていない
ただ其れが確立しないこの世の中でただ唯一保証されている物

どんなに不安な夜も待てば必ず朝が来る、当たり前に日が昇る
この事実だけは崩れない絶対だ

その事実だけは僕を安心させてくれる
その事実だけが僕を生かしてくれるんだ

安心と不安 / 2026.1.26

9/23/2025, 5:42:21 PM

僕等に足りなかったのはきっとそんな言葉だった
其れを言えたら何かが変わっていたんだろうな

「1件の不在着信」

「〜♩、〜♩、〜♩、先輩?何あのメッセージ」
「いつも通知切ってる、なんて言うから通話出てくれないかもって
だから、文字でいれたら気づくかなーって」
「僕が先輩の通話出なかった事なんて無いでしょ?」
「確かにそうだった」

そんないつかの僕の話をしていた
先輩と出会ってから、いつでも1番に駆け付けれるように
通知は切らないようにした、なんて言ってはやらない

あの日彼女を見つけた衝撃は忘れない
いつだって昨日のように覚えている
自分の個性を貫く君が魅力的で、でもそれは君の唯一の抵抗だった
其れが1番の弱さで、彼女の全てだった
そんな魅力に気付いているのはきっと僕だけじゃなくて
それでもいちばん彼女を愛していた、誰よりも愛おしい物と思ってる
だからこそ、君の弱さへ嫉妬し恋人が出来た時には
心からのおめでとうなんて出来なかった
そんな思考回路が彼女の隣に行けなかった全てなんだろう

「1件の新着メッセージ」

「〜♩、久しぶりにそんな事して貰えたな」
「久しぶりのご挨拶はこうじゃないと」
「普通に話すって言う考えは無いの?」
「だって、急に距離あけられた」
「其れは、ごめんねでも」
「今から会えないの?」

いつも何時間とかかる身支度もその日は10分で終わらせた

家の前で煙草を吸いながら座り込む彼女を迎えに行くのが
僕等の待ち合わせ、けどそこに居たのは幸せとは遠い彼女
この1ヶ月で彼女はきっと今迄以上に血と涙を流したんだろう
それが目に見えるそんな彼女は見えると同時に抱き着いてきた

「こんなになっちゃって」
「幸せだった筈なのに、いつの日か泣いてる時間から
救われる一瞬の幸福感でしか無くなってて」
「もう良いよ、大丈夫だからね」

彼女の顔はもう限界そうだった
いつもの公園に行くと彼女は話し出した

彼女とは価値観の違いがひどいらしく、その違いを
暴言と一緒に刺されるという

「何が良くてそんなのと付き合ってる訳?」

「私にはその子しか居ないんだよ」

身体中の体温が上がった

「じゃあ今此処に居る僕は何?」
唯一言えた言葉だった

「私のいちばん特別な人」

涙を流しながらそう笑う彼女に心底惚れていた
だから、抱き締めた抱きしめる事しか出来なかった

別れた後暫くして彼女から連絡が来た

「やっぱり地元が1番だね」

「当たり前だよ、僕と先輩が出逢えた居場所なんだから」

「貴方には生きていて欲しい」

「一緒に生きようね」

そんな会話をして1ヶ月後
彼女から通話がかかってきた

「先輩?こんな朝方にどうしたの」

「何となく声が聞きたくて」

「珍しいね、会う?」

「会うとだめだから」

あの一件から僕は彼女の恋人に嫌われたらしい
だから、そういう事を言ってるんだと思った

「僕の方が幸せに出来るのに、先輩は本当に馬鹿だね」

「そうだね、ずっと分かってたけど見て見ぬふりしてた」

「今からでもきっと遅くないよ、僕じゃ不満?」

「誰よりも特別で、失いたくないからこそ恋人は望みたくなかった
無理だと分かっていても一生を縛り付けておきたくなるから」

「僕がそれを拒否すると思ってるの?ショックだな」

「私の事ならきっと何でも受け入れてくれるって思ってるよ」


「だから、別れてこの選択にした」

「は?何言ってるの」

「これ気持ち、未練たらしくごめんね」

そう言い、1件のメッセージを残し一方的に通話を切られた
地元が1番と語った彼女は別の場所で
出会ってまもない人間と帰らぬ人になった

そこから2年僕は彼女が去ったあの場所に立っていた
彼女の吸っていた煙草に火をつける、揺れる火は
風のせいか僕の視界のせいかもう分からなかった

「あの日僕あの後急いで地元中探し回ってさ
僕なら見つけられるって自信あったんだけど
何処も違くて、それ以上は中学生の僕には何も出来なかった
けど回ってきた訃報を聞いて納得したよ、地元じゃ無かったんだね」

「けど先輩なりの優しさだったんだよね」

あの日通話を切られると同時に入ったメッセージには
各SNSのパスワード等が書かれていた、見ていくと彼女の全てが
載っていた、そんな中で僕の事が書かれている垢があった
そこには僕が抱いていた感情と変わらない事が書いてある
そして1番最新にはこう書いてあった

『これを見てるって事はきっと私が全て終わらせた時なんだね』
『私は貴女が好きだった、私を慕う貴女が可愛くて
横を歩くだけで顔を赤くする貴女が愛おしかった』
『だからこそ私だけのものにしたかった』
『私と同じようにこの世界に生きにくさを感じていて
今迄の人生にコンプレックスを抱えていて、そんな貴女が今でも好き』
『だからこそ、貴女にはこれからも生きていて欲しい』
『きっとこれからある幸せを沢山感じて欲しい』
『けどきっと貴女の事だから私が死んだ後絶望に堕ちる』
『だから最期の私達の居場所を作っておく』
『私のエゴで、綺麗事だけど貴女なら受け入れてくれるはず』

そして最後の1文

『だけどやっぱり、貴女と一緒に死にたかった』


「僕が先輩にいう一緒に生きようは色んな意味が含まれてたんだよ」
「けど僕が其れを言葉にしなかったのは今を生きる先輩を
大事にしたかったからなんだよ」
「僕は先輩が生きていてくれたら良かったんだ、
例え世間から指を刺される人間になろうが、ただ生きていてくれたら」
「そしてそれに答えるように、自分を犠牲にして生きる貴女に
僕が一緒に終わらせようなんておこがましい」
「だけど、貴女がそれを願っていてくれたなら、」
「その一言でこの結末は変えられたのかな」

そんな事を空間に話しかける僕は先輩のSNSを見ていた

先輩が唯一いいねをしている投稿があった

『一緒に生きようね』

僕が投稿した物、先輩のアカウントは非公開だった為
僕側からは誰のいいねか分からなかったのだ

「先輩ってやっぱりずるい」

「僕が先輩の分も幸せになって自慢の後輩として
いつか必ずそっちに行くから、待ってて」

僕は彼女が残してくれた最期の居場所を糧に
居ない彼女と生きる事を決めた

僕と一緒に / 2025.9.24

9/11/2025, 7:23:38 PM

夜になるとどうしようも無い孤独を感じる

こんな夜が何度来ようが、未だに身体は慣れずに悲鳴をあげる
いっそ苦しむぐらいならこの痛みに慣れたい
そんな気持ちさえ感じるようになっていた

居場所だった音楽は唯の雑音に聴こえ
大好きだった小説は唯の文字でしかなくなった

好きな物に、人生の唯一にもう救っては貰えない

死にたい、生きたい、けどもう生きれないの矛盾で
息をする事が本当に限界なんだなと感じる

それでも僕は生きたかった

自分の価値が下がるだけなのに、みっともない傷を見て
又死にたくなるのに、けどそんな事を繰り返してでも生きたいんだ

毎日、毎日不安な日々に安全を祈りながら生きている
不安と疑いでたまらない気持ちの中、唯一の確実が痛みの感覚
又僕は過去の経験から自己肯定が著しく低く
愛される事も不安で幸せになる事も不安で、何も信じる事が出来ない
過去の自分が愛されているように、今の僕との違いが深く潜在意識に
刻まれているお陰で、僕が愛される訳が無い、そんな自身だけは持てた

普段は優しくされていたい、雑な対応をしてくる相手は好ましくない
唯、辛く育った環境だけは脳裏に強く残っていて
人の優しさが難しいと感じる、慣れていない
そんな僕にとって他人からの優しさの解像度は高くなかった

だから幸せがあれば逃げてしまい、同じように堕ちた人間は
無条件で愛おしく思う者だった

けどそんな僕の事は誰も愛してはくれない

腕に走る痛みや伝う感覚にはもう慣れていた
それでもフェンスを掴む手は離せれなかった
脳に酸素が行かなくなる感覚は怖くて仕方がない
生きる事への未練がその気持ちには打ち勝てなかった

生きる意味を自分で作ってあげれたらと何度思った事か
何かに、誰かに、縋る事でしか生きてあげられない自分を
捨ててしまえと何度自分を奮い立たせて来たか

きっと今抱えている余分な物を投げてしまえば
今より生きやすいんだと、分かっている

それでもそれが出来ないのはそれが自分の全てだったから、
そのお陰で超えれたこんな夜があるからだ

そんな僕が欲しい言葉は僕自身しかかけてくれない
いっそ自分がもう1人居たら良かったのに
それならきっと独りじゃなかった、孤独じゃ無かった
二人の世界で、ふたりの普通で生きてれたんだ
一緒に死んであげられたんだ

けど僕は死んではやらない
僕が想うように僕を想ってくれる人に出会える迄は
それに救われて、そこで死ねる迄は
ひとりきりで居ようと思う

ひとりきり / 2025.9.12

3/18/2025, 1:42:53 PM

彼女に対する想いはきっと異常な物だったと思う

もっと純粋にあの瞬間を過ごせてたらどれだけ僕等は救われただろう


僕は彼女に直接好きだと伝えた事が無い

勿論、恥じらいもある、そして憧れ故の出会いだった僕からしたら
それ等を伝えるのはとても勇気の要る事だった

唯、そんな事は建前上の言い訳でしかない

僕の大好きには色々な気持ちが含まれていた
純愛なんてきっと1番遠い存在だ
そんな気持ちを彼女に伝えてしまえば
歯止めが効かなくなる、嫌われたくなかった

それでも関われば関わる程大きくなる気持ちに
僕は苦しめられた、それと同じ様にきっと彼女も傷つけてしまった

その次の年の2月彼女に恋人が出来た、可愛らしさを持つ女の子だった

おめでとうなんて伝えたけれど涙が止まらなかったあの瞬間
僕は自分の醜さを優先し彼女と距離を置いた

地元が1番だねと語った彼女は恋人の地元へ行くようになり
彼女の個性だった見た目はどんどんと恋人の好みに変わった
唯一の後輩だよと僕に言った彼女の隣には僕と同い年の女の子が居た

性別や年齢何もかもが一緒なのに、僕じゃなく
彼女はあの子を選んだ

僕の方が長い付き合いなのに、僕の方が好きなのに
僕の方が君を知ってるのに、僕の方が君と堕ちてあげれたのに

努力を怠ったのに、嘆くだけの自分に嫌気がさし
僕はその日から自分に向き合う事すら辞めてしまった

そこから1ヶ月経った日久しぶりに連絡が来た

1件の新着メッセージ

「久し振りに会いませんか」

視界を揺らしながらした返信に彼女は

「泣かないで笑」、と全てお見通しだった
それだけで生きていて良かったと思えた

久しぶりに会う彼女は別に何も変わらなかった

「連絡全然来なくて寂しかったよ」

「ごめんね、色々とあって」

「知ってるよ、全部知ってるごめんね」

「先輩が生きてくれてるならなんだって良いよ
先輩の気持ちは痛い程分かってる、そんな人が幸せと思えてる今
これ以上の幸せ無いよ、僕も幸せだよ」

「一緒に生きようね」

周りから見たら可笑しな会話だった
それでも僕達にはこの会話が生きてる実感だった

そこから2週間後先輩は恋人と別れた

依存体質だった先輩はその日からどんどんと壊れて行った

外で夜を明かし、血を流しては薬に生きた

連絡をしても返ってこないトーク画面を何日開き続けただろう

そこから数日、4月下旬彼女から電話がかかってきた

急にかけてくる事を、しなかった彼女のその行動に
驚きつつも僕は電話を取った

「もしもし」

返答は何も返ってこない
唯ひとつ分かる事は彼女は通話越しで泣いてるという事

「僕はね先輩に救われたんだよ、家にも学校にも居場所が無い
僕にとって先輩は生きる意味だった、生きたいと思える理由だった」

「だけど僕は先輩を救ってはあげられない、僕が思うような存在に
僕はなってあげられない、どうしたらいいのかな」

「それでも先輩に対する気持ちは誰にも負けないんだよ
例え世間から指を刺される人間になっても僕は先輩を愛し続ける
そんな自信があるんだよ」

「だからね最後の手段で良い、妥協でも良い
もし誰も居てくれなくなったら僕の所においで」

「僕は先輩が生きててくれたら本当にそれで良いんだよ
どんな姿でも唯、生きててくれたらそれで良い 、僕じゃない誰かに
生かされてる先輩でも大好きだよ、ずっと大好きなんだよ」

「愛情なんていつかは色褪せてしまうだから、
憎しみでも良い、どんな感情でも良いからそれで生きれるなら
僕に向けてくれて良いからそれぐらいの覚悟だから」

「寂しくなったら又連絡してよ、死にたくなったら電話かけてよ」

泣きながら伝える僕は凄くみっともなかったと思う

「好き?」、そんな事を聞いてくる彼女がとても愛おしかった

「大好きだよ、好きなんかで纏めれないよ」

「近い内地元帰るから会おうよ、その時又」

「約束だよ」


そこから2週間経って僕の前に居たのは遺骨となった彼女だった

「約束も守らせてくれない先輩と僕は生きないといけないの?」

「地元が1番だねなんて言った癖に最期は違う所なんてひどいよ」

泣いて語る僕に答えるように線香に灯る火は揺れる


その出来事以降僕は生きる意味を失った
彼女の好きな曲を聴いて、彼女の好きな物を食べて
彼女の好きな場所に行って、それでも、彼女は何故か現れない

三回忌の日僕は彼女の最期を迎えた場所に向かった
僕が彼女の生前の歳を上回る年だった

「先輩がくれた唯一の、後輩って言葉にずっと縛られてるんだよ」

「僕は先輩を救えなかったのに、一緒に幸せになる約束
果たせれなかったのに、この先僕だけが幸せと思う瞬間を
僕だけが感じてしまう事、寂しくて生きていけれない」

「だから先輩と同じ日に、唯一の後輩として居られる今
僕も終わらせたくて此処に来たよ」

そんな事を呟きながら僕は8階の夜景を眺めて居た

「このフェンスを越えればもう会えるからさ、
最期に想い出としてこれ一緒に吸おうよ」

最期の想い出にしようと1本残しておいた煙草を
僕は箱から取り出した時だった

「大好きだよ」

不格好な字が煙草に書かれていた

昨日の事のように覚えている、泣き崩れたあの日を忘れはしない

僕が終わらせようとした日に、その1本が残るなんて奇跡
此処には居ない彼女だけどそれでも一緒に生きようって
強く、強く思えた日だった

「次は僕の番だからもう少しだけ待っててよ」

僕の大好きは生涯彼女だけの物だろう

大好き / 2025.3.19

3/14/2025, 5:51:05 PM

僕の名前を呼んでくれてる気がする

煙草を片手に座ってる気がする

ヘッドホンから零れる音が懐かしかった


君との思い出は多い物では無い
だけどそれを抱えて前を向くには余りにも多かった
そしてそれに縋るには、どうしようもなく少なかった

そんな中僕が強く彼女の1部として記憶していたのは煙草だった

体に良くないから、と言い僕に背を向けて
煙草を吸う彼女の背中は僕にとって大きな壁だった
決して触れられない彼女の人生だった

そんな彼女が久し振りに会いたいと言ったあの夜
彼女はどこかいつもと違う、きっとお酒が入っていた

いつもの公園で僕達は横に座った

最近はどう、なんて軽い世間話をして
彼女は煙草に火を付けた
あの瞬間灯された彼女の横顔程綺麗な物はこの世に無いだろう

いつもは背を向けて吸う彼女が今日は気にしず吸い出した
煙草の煙を僕はどうしても好きにはなれなかった
それでも彼女の紫煙は嫌いにもなれなかった

纏われる君に見とれていた時

「煙草興味ある?」

「先輩が吸う煙草はいつも羨ましい」

「可愛い事言うね、けど煙草は吸う物じゃ無いよ」

「先輩に言われても説得力無いね、じゃあ何で吸い続けるの?」

そんな会話をした、彼女の答えは

「自殺行為」

そう言いながら顔を傾け微笑む彼女に僕はきっと心底惚れていた


僕が煙草を吸い出したのはその次の年だった
彼女の命日の日、同じ銘柄に火をつけた
あの日彼女がくれたライターで

「このライターをこんなに早く使うとは思って無かったよ」

もう居ない彼女に僕は話しかける

「写真を見なくたって、会話を見返さなくたって
家を出ればそこら辺に先輩との想い出が転がってるんだ」

「先輩は僕の中で生き続けている、それでも居ない貴方との
生き方も、その覚悟も未だ僕には出来ていない」

「どうして置いていったの?」

到底返事が返ってくる事は無い

でもその瞬間懐かしい匂いがした、彼女の匂いがした

僕の手に挟まる煙草の煙

「先輩は本当に意地悪だね」


僕はあの日懐かしい紫煙に抱かれながら独り、彼女と生きる事を決めた
君を探してこれからも想い出に火を付けようと決めた日だった


君を探して / 2025.3.15

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