彼女に対する想いはきっと異常な物だったと思う
もっと純粋にあの瞬間を過ごせてたらどれだけ僕等は救われただろう
僕は彼女に直接好きだと伝えた事が無い
勿論、恥じらいもある、そして憧れ故の出会いだった僕からしたら
それ等を伝えるのはとても勇気の要る事だった
唯、そんな事は建前上の言い訳でしかない
僕の大好きには色々な気持ちが含まれていた
純愛なんてきっと1番遠い存在だ
そんな気持ちを彼女に伝えてしまえば
歯止めが効かなくなる、嫌われたくなかった
それでも関われば関わる程大きくなる気持ちに
僕は苦しめられた、それと同じ様にきっと彼女も傷つけてしまった
その次の年の2月彼女に恋人が出来た、可愛らしさを持つ女の子だった
おめでとうなんて伝えたけれど涙が止まらなかったあの瞬間
僕は自分の醜さを優先し彼女と距離を置いた
地元が1番だねと語った彼女は恋人の地元へ行くようになり
彼女の個性だった見た目はどんどんと恋人の好みに変わった
唯一の後輩だよと僕に言った彼女の隣には僕と同い年の女の子が居た
性別や年齢何もかもが一緒なのに、僕じゃなく
彼女はあの子を選んだ
僕の方が長い付き合いなのに、僕の方が好きなのに
僕の方が君を知ってるのに、僕の方が君と堕ちてあげれたのに
努力を怠ったのに、嘆くだけの自分に嫌気がさし
僕はその日から自分に向き合う事すら辞めてしまった
そこから1ヶ月経った日久しぶりに連絡が来た
1件の新着メッセージ
「久し振りに会いませんか」
視界を揺らしながらした返信に彼女は
「泣かないで笑」、と全てお見通しだった
それだけで生きていて良かったと思えた
久しぶりに会う彼女は別に何も変わらなかった
「連絡全然来なくて寂しかったよ」
「ごめんね、色々とあって」
「知ってるよ、全部知ってるごめんね」
「先輩が生きてくれてるならなんだって良いよ
先輩の気持ちは痛い程分かってる、そんな人が幸せと思えてる今
これ以上の幸せ無いよ、僕も幸せだよ」
「一緒に生きようね」
周りから見たら可笑しな会話だった
それでも僕達にはこの会話が生きてる実感だった
そこから2週間後先輩は恋人と別れた
依存体質だった先輩はその日からどんどんと壊れて行った
外で夜を明かし、血を流しては薬に生きた
連絡をしても返ってこないトーク画面を何日開き続けただろう
そこから数日、4月下旬彼女から電話がかかってきた
急にかけてくる事を、しなかった彼女のその行動に
驚きつつも僕は電話を取った
「もしもし」
返答は何も返ってこない
唯ひとつ分かる事は彼女は通話越しで泣いてるという事
「僕はね先輩に救われたんだよ、家にも学校にも居場所が無い
僕にとって先輩は生きる意味だった、生きたいと思える理由だった」
「だけど僕は先輩を救ってはあげられない、僕が思うような存在に
僕はなってあげられない、どうしたらいいのかな」
「それでも先輩に対する気持ちは誰にも負けないんだよ
例え世間から指を刺される人間になっても僕は先輩を愛し続ける
そんな自信があるんだよ」
「だからね最後の手段で良い、妥協でも良い
もし誰も居てくれなくなったら僕の所においで」
「僕は先輩が生きててくれたら本当にそれで良いんだよ
どんな姿でも唯、生きててくれたらそれで良い 、僕じゃない誰かに
生かされてる先輩でも大好きだよ、ずっと大好きなんだよ」
「愛情なんていつかは色褪せてしまうだから、
憎しみでも良い、どんな感情でも良いからそれで生きれるなら
僕に向けてくれて良いからそれぐらいの覚悟だから」
「寂しくなったら又連絡してよ、死にたくなったら電話かけてよ」
泣きながら伝える僕は凄くみっともなかったと思う
「好き?」、そんな事を聞いてくる彼女がとても愛おしかった
「大好きだよ、好きなんかで纏めれないよ」
「近い内地元帰るから会おうよ、その時又」
「約束だよ」
そこから2週間経って僕の前に居たのは遺骨となった彼女だった
「約束も守らせてくれない先輩と僕は生きないといけないの?」
「地元が1番だねなんて言った癖に最期は違う所なんてひどいよ」
泣いて語る僕に答えるように線香に灯る火は揺れる
その出来事以降僕は生きる意味を失った
彼女の好きな曲を聴いて、彼女の好きな物を食べて
彼女の好きな場所に行って、それでも、彼女は何故か現れない
三回忌の日僕は彼女の最期を迎えた場所に向かった
僕が彼女の生前の歳を上回る年だった
「先輩がくれた唯一の、後輩って言葉にずっと縛られてるんだよ」
「僕は先輩を救えなかったのに、一緒に幸せになる約束
果たせれなかったのに、この先僕だけが幸せと思う瞬間を
僕だけが感じてしまう事、寂しくて生きていけれない」
「だから先輩と同じ日に、唯一の後輩として居られる今
僕も終わらせたくて此処に来たよ」
そんな事を呟きながら僕は8階の夜景を眺めて居た
「このフェンスを越えればもう会えるからさ、
最期に想い出としてこれ一緒に吸おうよ」
最期の想い出にしようと1本残しておいた煙草を
僕は箱から取り出した時だった
「大好きだよ」
不格好な字が煙草に書かれていた
昨日の事のように覚えている、泣き崩れたあの日を忘れはしない
僕が終わらせようとした日に、その1本が残るなんて奇跡
此処には居ない彼女だけどそれでも一緒に生きようって
強く、強く思えた日だった
「次は僕の番だからもう少しだけ待っててよ」
僕の大好きは生涯彼女だけの物だろう
大好き / 2025.3.19
3/18/2025, 1:42:53 PM