霜月ミヲ

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11/12/2022, 2:08:28 PM

『スリル』

スリルを楽しんだりするのはいいけれど
ほどほどにしてね。

スリルを楽しみすぎて
貴方が私の傍から
いなくなってしまったら

私がどうしたらいいか
わからなくなってしまうから。

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6作目

11/11/2022, 2:27:34 PM

『飛べない翼』


わたくしの住む国に飛べない翼を持つ一羽の鳥がおりました。

黒い線が胸のところに入るのが特徴でありました。

その鳥はひとつの群れの中で過ごしていたのですが、いつも独り、仲間とは別のところで行動していました。

独り寂しく、飛べない翼を眺めては、しょんぼりと悲しみにふけることもございました。


と言いますのも、鳥は自らその状況を望んでいたわけではございません。
鳥は『飛べない翼』を持っていたために仲間から見放され、罵られていたのでした。

その境遇は群れの中でも最下等。最早幽霊に等しいような扱いを受けていた訳です。

そしていつも、ピィピィ、と小鳥のような鳴き声をあげて鳴きますゆえ、群れの仲間たちからは「ピイ」と呼ばれていました。

段々と虐めのようなものになっていくにも関わらず、鳥はいつものように使い物にならない薄汚い翼を眺めては、独り寂しくまた「ピィ」と鳴くのでした。


わたくしも鳥を預かり、翼を治療してみようと懸命になったこともございましたが、どうしても、鳥が飛ぶことはありませんでした。


しかし、ある時を境に、わたくしがその鳥を見ることは無くなりました。鳥の行動していた湿原の管理者に聞いてみましたが、所在は分からずじまいでした。

隣の中田さん(わたくしと同じ、鳥が好きな方です)に聞いてみると、
それらしい鳥が飛んでいくのは見た、夕方の汽車が出た時間だと思う、と仰っておりました。

わたくしにはあの鳥がその後何処に飛んでいったのか、はたまたまだあの湿原にいるのか、そもそも鳥は元々飛べていなかったのか、わたくしには分からないままです。


こないだもう一度湿原へ立ち寄って見たのですが、あの鳥の姿はどこにもありませんでした。
ただ夕方の汽車が駅から発車していき、夕陽が地平線に落ちていき、数羽のからすがぱたぱたと何処かへ飛んでいくだけの風景が、途切れることなく続いていただけでした。

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自信作?5作目。飛べない?ある鳥のお話。ですます調にしてみました。

11/10/2022, 1:39:09 PM

『ススキ』

それは満月が水面に反射してより一層美しく輝いていたある年の十五夜のことであった。
私は、仕事でまとまった休養が取れたので、それを利用して郊外の実家に来ていた。

その年の十五夜は、天気もよく、例年よりも月が良く見える年だったので、私はそれを聞きつけ、独り湖岸を歩きながら、美しい月が出るのを待っていた。
辺りには、穂が黄金色に染まるススキが群生している。

湖岸をしばらく歩いていると、若い女性に声をかけられた。
「こんにちは。月、綺麗ですね。」
女性は恐ろしいほどに綺麗なひとだった。髪がススキの穂と共になびいて、銀色に輝いていた。

「ええ。十五夜ですから。今年はとても綺麗な満月が見れるということで、ちょっと来てみただけなのですが。」

「珍しいですね。最近はここの湖でも人を見なくなりましたから。」
郊外の過疎化が進行し、この湖に来る人も居なくなってしまったのだろう。
昼間だというのに、町の神社にも、商店街にも、人の姿はないなんてことがザラにあるらしい。


「ススキも枯れたら、もう冬です。」
女性は独り言のように、哀しさを纏った声をあげた。
「冬支度、ですね。気が乗りませんが。」

「そうですか?案外いいものですよ。冬と言うものは、自分が一番大事にされるから。」

「はぁ、そうですか。」

「貴方にはわからないですよ、ずっと。」

「それは、どういう訳で?」

突然風が吹き、女性は狐に化かされたように消えた。辺りは、月に照らされ、より美しく映えていた。

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4作目。月の話です。

11/10/2022, 9:00:50 AM

『脳裏』

3月15日 曇り
今日は朝、予定なし。
昼からリモート会議に参加。

今日も頭が痛かった。
誰かにハンマーで軽く叩かれて、それがじわじわと広がって、目がきゅっと引き締まって眉間にじわじわと広がったものが集中して、そしてカツン、とひとつき。
なんだか不思議な痛みがあった。

頭が痛くなった後には、必ず貴方の笑った顔が脳裏をよぎっている。
場所は決まって雲ひとつない花畑。

その殆どが白昼夢のようなもの。たまに現実との区別がつかなくなることだってある。

貴方が私の前に姿を見せなくなってひと月がたった。貴方は今どこで何をしているのだろうか。

そんなことを考えるだけで、貴方の顔が脳裏をよぎるだけで、目が眩んでしまう。


ほんとうに、馬鹿ね。貴方は、何時までも。 

また明日も、貴方の笑顔が脳裏をよぎる。
まるで、「あの時」が無限にループしているみたいに。

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3作目。駄作。日記体にしてみましたが、どうも失敗してしまったようです。

11/8/2022, 1:56:16 PM

『意味がないこと』


意味のないことがないように。

わたしという主人公の
人生という演劇が
意味を成すものになるように。

諦めかけてきたことが
いつかほんとうになるように。


意味のないことがないように。

わたしたちが歩んできた道に、
バツ印がつかないように。

今日を振り返ったとき、
涙を零すことがないように。


明日もまた、
意味のある一日が過ごすことが
できるように。


(ここまで読んでくださった全ての人々に感謝します。ありがとうございました。)

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2作目。詩みたいな文章にしてみました。

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