『セーター』〜或る男性の日記〜
12月28日 曇→雪
午前中は雪かき。
ストーブの燃料にするために山の木を数本伐採する。
午後は通販で頼んだ厚手のセーターが届いた。
雪のせいで足の踏み場もない北陸の山奥によく来てくれた、と思う。本当にありがたいことだ。
藍色のセーターは、雪が深いこの地方にはピッタリの保温性がある。
雪が降るまえにユニクロで買ったヒートテックとあわせるととても良いのではないだろうか?
追記:今日はとてもよい日だった。
12月29日 晴れ
今日は朝3時に起きた。
ラジオでは山麓にある集落で大幅に冷え込むと言っていたが、あまり冷え込まなかった。
天気というものは、あてにならないものだ。
今日は大学の友達(T)と会う約束をした。
サラリーマンとして、IT系の企業で働いているそうだ。
人生が充実していて、いい人だと思った。
僕が、都会で輝くというのは性に合わないのだと思い知った。
午後、家から2時間30分のスーパーへ買い出しにでかけた。山を降りるとほんのり暖かくなるものだから、セーターとダウンジャケットを着るだけでちょうど良かった。
ダウンジャケットを着ているから、新調したセーターを着ていることは誰も知らない。
それが少し惜しいような気がしたが、なぜだかあまり気にならなかった。
明日は雪が多くつもるという。明日は早起きしなければならない。憂鬱なものだ。
11作目。
(テーマ無視した感がつよい。)
『どうすればいいの?』
あのね、
どうしたらいいかわからないの。
なにをすればいいのかわからないの。
他愛のない話かもしれないけれど、最後まで聞いてくれるとうれしいな。
君が知らない何処か暗い場所で、
君のことを悪く言ってるこえを聞いたんだ。
嘲笑の声もたくさんきいた。
冷たかったよ。
怖かった。
なんだか澱んだ空をみてるようなかんじ。
どうしたらいいの?
そんなこともわからなくなって、
暗い場所から抜け出したくなった。
そんなことを言ったってどうせわかんないよね。
君は知る由もないのだから。
でもね、世の中には、
知っておいたほうがいいことと、
知らなくてもいいことがあるの。
わたしは君を傷つけたくないから、
あえて君には教えないけれど、
でも、もし君が、
私の知らないところで、この手紙を見ているのなら
それは少し嫌。
ごめんね、心配かけて。
でも、もうどうしたらいいかがわかりません。
ねぇ、あたしはどうしたらいいの?
6月29日 M:K
10作目。
『宝物』
あなたの宝物は、なんですか?
なにもない無の世界に
仄かに、ぽぅっと
淡い光が、満ちる。
南京錠のかかったちいさな箱に、
私だけの、小さな宝物が、
ぽつん
と、いる。
ちいさくても、おおきくても
宝物はずっと、変わらないから。
ひとつひとつを、宝物にしながら
生きていきたいものです。
9作目。
『はなればなれ』
はなればなれ。
絡まった糸が
だんだん、
解けていく
みたいに。
ふしぎだね。
あなたの影が
みえなくなっている
ことが。
8作目。
『また会いましょう』
ねぇ、なぜ私を置いていってしまったの?
貴方がいってしまってから、私はもう何をしたらいいか分からないの。
街で貴方によく似た風貌の男のひとが歩いているのを見ると、胸の奥が、きゅっとしぼんでしまって、それから小さな雫が、ぽとり。
なんだか、貴方はもういないのに、もういないはずなのに、まだ世界の何処かに貴方がいるような気がしてならないの。
ずっと、永遠に、貴方がもういなくなってしまった事実が判らないままみたい。
なんだかふわふわと夢の世界にいるよう。
この世は幻想世界なのかしら。
ふふ、馬鹿みたいね。もうあなたはとっくにいなくなっているのに。
なんだか忠犬ハチ公になったみたい。
だけれど、私はハチ公にはなれないわ。
貴方との関係は、そんな深いものではないのだから。悲しいけれどね、仕方が無いの。
あのバーで、貴方は、何一つ変わらない、変な苦笑いを浮かべていたことを不意に思い出してしまったわ。
ワイングラスを傾けて、くいっと一気にいってしまって、いつもならあと2・3杯をお飲みになるのに、
「今日はこれでいい」
なんて訳のわからないことを仰るものだから、私は薄笑いしながら、
「何を仰るの、いつもならもっとお飲みになっているのに」
と申し上げたわね。
そしたら、マスターにお会計を済まして、足早に店を出ていこうとするから、
「ねぇ、今度はいつ会える?」
と貴方の背中に問いかけた、そしたら
「またいつか会えるさ。また会いましょう」
と返してくれたから、ほっとして、それで別れたのが最後だったみたい。
私がこれから先、なんの変哲もない毎日を過ごしていたとしても、それはとてもつまらないことだと思う。
だって私はギャンブラー。
生きているなら、危なっかしいことがしたいもの。
じゃあね、また会えますように。
私はギャンブラー。ちょっと濃い人生が好き。
7作目。