NoName

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9/16/2023, 10:06:59 AM

君からのLINE
待っていた
ずっと待ってたんだ

なのに

もう遅いんだ
スマホを手に取る
光が、今は眩しい
昔はこれをよく見てた
よくそんなことしてたな
「っくしゅん!」
寒い。
そりゃそうだろう、
一月なんだから。

でも
もうそんなこと
別にどうだっていい

「どうしたんだよ?最近全然連絡ないじゃんかー。
 親友として非常に心配だぞー。連絡よこせよ」

こんなの、ただの社交辞令としか思えない
前だったら素直に喜んでいただろうが
嬉しくないわけじゃない、けど

もう遅いんだよ

『ごめんね。遅いんだよ。
 もっとはやく欲しかった』

こんな不吉な文に合わない
明るい画面
睨みつけながら、
またも不吉な文に合わないスタンプ

ごめん〜!!

こんな文面だ

まぁ、明るい方がいいだろう
君からボイスメッセージが送られてきた
迷いなくタップする
君の声が再生される

、、、、、そっか。

椅子から降りて、
厚い上着を羽織って出る。
だって、タンクトップ一枚だから。
下にカッターが落ちていた。
危ないなぁ

電気を消す
彼の元に向かう
LINEのせいで、予定が狂ったじゃないか

9/9/2023, 8:29:45 AM

貴方の近くにいると、胸の鼓動が高鳴るの
何かの病気かしら
貴方と話していると、胸の鼓動が高鳴るの
どうしてなのかしら
貴方と食事していると胸の鼓動が高鳴るの
心配になっちゃう
貴方に触れられると、胸の鼓動が高鳴るの
一体どうしちゃったのかしら

貴方といると、おかしいの
ちょっぴり怖いけど、
貴方のことは好き

また鼓動が高鳴るの
いつもより
大きく

あなた
どうして
鼓動が高鳴る

鼓動がとまる

あなた

どうして笑ってるの

9/1/2023, 9:52:12 AM

不完全な僕
周りの人達を見ると、いつも思う。
僕って、何でこんなこともできないんだろう。
みんなは一歩、それ以上、凄い人は数十歩、数百歩先に居るの。
それなのに、「どうして?」って。
友達と遊ぶ約束をした時、直前まで緊張して、本当に大丈夫かなって何度も何度も自分に問いかけてる時、いつも思う。
みんな、強いなぁって。
夜、布団で一人泣く時、いつも思う。
みんな、こんなことしてないだろうなって。

思うたび、どんどんどんどん、ずっと、みんなとの距離が、溝が、深くなっていくの。
そして、また思う。
何で、こんなこともできないんだろう。
みんなは強いな。

他の人たちのことは知らない。
でも、
発表があったことを忘れる、
嫌なことをだるいの一言で済ませられる、
自分の気持ちをはっきりと表すことができる、
遊びの約束を当日にできる、
僕よりもずっとずっと心の強いみんなは、
こんなことはしていないと思う。

ずっと、
昔のことを引きずって、
何度も枕を、布団を、抱き枕を濡らして、
全部よく分からなくなって、
口癖が、家にいても「帰りたい」で、
そんな自分も、強い周りも、みんな嫌いで、
他に居るのかな?こんな人は。

でも、こうやって自分ばっかり被害者みたいにする僕のことも、本当に嫌だ。
みんなだるいし、嫌だし、辛いし、眠いし、帰りたいし、、、、、

きっと、自分に甘過ぎるのが悪いんだと思う。

心も、考えも、体も、不完全。
恐ろしいくらいに未熟。
もう、

つかれたなぁ

ぜんぶだるい、きえろ、なくなれっていっているひとがいると、じぶんもそうおもうのに、それをひていするじぶんもいる。
なにがしたいのかな?
でも、これはいえる。
あんしんして、こんな僕でも生きてるんだから、
こんなに不完全でも生きれるんだから。
まだ、人生捨てたもんじゃないよ。
って。

8/24/2023, 9:19:07 AM

君は無邪気な笑顔を纏って
裸足のまま、一人で駆けていく。
夕陽の綺麗な、海へ。
なぜか君を失ってしまいそうな気がして、
手を伸ばしたけれど、
君には届かなかった。
手が宙を切って、
寂しく自分の方に戻ってきた時、
君は変わらない無邪気な笑顔でこちらをみていた。
「どうしたの?」とでも言う様に。
途中の砂浜で足を止めていた。
君の方に小走りで近付く。
今度こそ、しっかりと君の手をとる。
君の手は、少し肌寒い風とは違って暖かかった。
今度こそ、歩き出した。
二人で。
海へ

8/23/2023, 7:46:38 AM

裏返し
彼女はとても優しい人だった。
いつもリバーシブルになっている洋服を着ていて、
表がブラウン、裏はわからなかった。
チャックの付いている丈の長いパーカーだったが、雪の日も風の吹く日も雨の日も晴れの日も春夏秋冬、チャックを全部閉めて着ていたためだ。
暑くないのかと聞いたが、彼女の巧みな話術の前では何も出来なかった。
とても、優しい人だった。
少し紅く染めた頬、色の抜けた暗めの茶髪、人懐っこい笑顔、切長な細い瞳。彼女の全てが好きだった。そばにいると、とても暖かくて、優しい気持ちになれる。

ある日、街で彼女を見かけた。
声をかけようと思ったが、いつものおっとりとした足取りとは違う、一刻も早くここを立ち去りたいとでもいうような、とても速い動きについて行けなかった。なんとか追いつくと、そこに彼女はいなかった。
とても薄暗い路地裏で、彼女の雰囲気とも合わない。
 代わりに、濃い赤の、すこし色褪せた丈の長いパーカーを着ている女性がいた。背丈やパーカーの長さ、髪色などが同じだったため、声をかけようかとも思ったが、やめた。なぜか?
それは、明らかにその女性が、彼女ではなかったから。
彼女もその女性も美しい切れ長な目をしていたが、その瞳に映しているものが、全くと言っていいほど違った。
いつもの彼女は瞳に、たくさんの光と、希望と、美しいこの世界を映している。
だが、目の前の女性は、瞳に何も映していなかった。
正確には、何も映したく無い、そんなようなことが伝わる何処までも深い闇があった。
世界を憎んでいる様な、全てを諦めている様な、、、、
この女性の瞳に映る世界は、暗く、淀んでいた。
ここの路地裏が薄暗いからなのか、彼女が心に何かを抱えているせいなのか、定かではなかった。
そんな事を考えながらその場に立ち尽くしていると、女性は隣をするりと抜けて、自信を持った、確かな足取りでこの場を後にした。

横を通る際、微かに、いつも彼女からする匂いがした。香水でも、柔軟剤でも無い不思議な匂い。
信じたく無いけど、「彼女だ」と体が言っていた。
呆然としていると、不意に体から力が抜けて膝から崩れ落ちた。下に水溜りがあって服が汚れてしまったのに気づくのは、今じゃなくていい。
着ていた上着を無造作に脱ぐ。
裏返しにして、着た。
リバーシブル用の服でないため、処理し忘れの糸や不自然な色合いなどが目立つが、しっくりきた。
彼女は服を裏返して着る時、いつもこの様な気持ちになるのだろうか。
たちあがると、その近くに倒れている人がいることにようやく気づいた。その周辺に紅い水たまりがあって、それで服が汚れたことにも。

服を裏返して着ると、こんなに気持ちが変わるものなのか。ふと、何時か気になってスマホを確かめると、目を疑った。見たことのない様な怪しい光と、闇を映していた。
初めてよく見てみた瞳には、つまらない、
本当につまらないクソみたいな世界が映っていた。
でも、彼女の瞳のなかにみた世界と同じだった。
こころから、微笑んだ。
スマホに映る自分は、どうみても微笑んだというような優しい笑いはしていなかったけど。

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