Episode.36 特別な存在
みなさんこんばんは。
本日は月明かりがとても美しいですね。
ついつい見蕩れてしまって、時間があっという間に過ぎ去ってしまいます。
僕は毎日、誰かにとっての特別な存在でありたいと願い続けています。
おそらく物心ついた頃には既に、特別な存在について考えていました。
僕が依存体質なせいでしょうか、心に思い留めるもの、誰かにも同じように求めてしまいます。
しかし苦手な人にとって、自分が特別だと思われても興味関心は湧きません。
僕がなりたいのはきっとこうです。
"僕にとって特別な存在である人が、僕のことを特別な存在だと思って欲しい。"
簡潔に表せば、両思いでありたいと言うわけです。
では特別な存在になるにはどうすればよいのか?
こう聞かれた時、僕は上手く答えられる自信がありません。
とにかく目立つ行動をして興味を引く。
自分の外見を磨き、美しさで心を惹かせる。
トークスキルや優しさで相手の心を掴む。
方法はきっと数え切れない程あるでしょう。
ですがこれらは全て、"特別でありたい"から頑張るだけのものであって、"特別であれる"訳ではありません。
人間は十人十色とよく言いますが、だからこそ毎日悩まされ、時に幸せに溢れ、波のある人生が出来上がるのでしょうね。
僕はきっと幸せな人生を送っています。
毎日差し込む朝日で目覚め、食事をとったり外出したり、そして月明かりに見守られね眠りに落ちる。
時々思うようにいかずとも、当たり前のように過ごせているんです。
それなのに、悩むことの方が多いのだと、僕は不幸なのだと簡単に思い込んでしまいます。
僕がそう考え込む理由は、他人からの評価を気にしすぎるせいだと自己分析しています。
どうすれば好印象であれるのか、好きだと思われるのか、役に立てているのだろうか、生きていてよいのか。
とにかく僕の全てを認め、愛してくれる人が傍に来てくれる為にはどうしたらよいのか。
そう考える時間の方が多く、少しでも努力しようだなんて思う時間が削れて消えていくんです。
僕を特別だと思ってくれる人が、来てくれることだけを望んでいるのです。
僕は生憎性格が悪いので、最低限のマナーやモラルを守り、法律に従った上でなら好きな相手を此方側に引き摺り込んでもよいと思っています。
「特別な存在」の対象や基準なんて、人によって違うのですから。
日本語に慣れていないせいか、拙い文章になってしまいますね。
しかし、こういった自分の世界観や思いを綴るのはとてもよいですね。
気持ちの整理ができ、感情のコントロールが以前と比べ上手くいくような気がします。
何より、こうしてみなさんの心に少しでも寄り添えているのだと考えると、どこかが満たされた気持ちになります、不思議なものですね。
このアプリは、僕にとっての特別な存在なのかもしれませんね。
夜はもう遅いですから、眠りにつくこととします。
みなさんもお身体を大切になさってください。
おやすみなさい、よい夢を。
目覚めたみなさん、おはようございます。
また、こんにちは。
今日という日が、みなさんにとってかけがえのないものになりますように。
Episode.35 バカみたい
「学校じゃ、好きなことして生きなさいって教わったん
に、俺らマージで今何してんだろなあ?」
「ほんっとだわ、好きなことで生きてくってバカ難しく
ねえか?」
「バカむずいよなー、特に俺らなんて金発生しないんだ
からさ、この世界じゃどうも生きらんねえわな」
「考えても無駄だろこんなん!なれんもんはなれん!今
日こそ定時に帰ったるからなーあのくそイカレ男め」
「お前ひでー言いようだな、定時に帰れたら宅飲みしよ
うぜ」
「おーおー任しとけよ!」
嫌々生きる為に働いてんのがバカみたいだ。
本当なら、今頃約束を果たしているはずだったのに。
俺らがあの日約束したことは、この小さくて大きな地球じゃ叶いっこないもんだった。
それは_____
「2年1組、陽崎英都と」
「月野雄都です」
「「僕達が発表するのは、将来の夢です!」」
"ぼくたちのしょう来のゆめは、ヒーローになることで
す。ヒーローはみんなのことを守るすごくかっこいい人
です。
ぼくたちがヒーローになりたいと思ったのは、テレビで
やってた「イザナミ☆スター ライト」を見たからです。
ヒーローのライトは、町の人がたすけて!と言うとすぐ
にとんできてこうげきしてみんなを守ります。
それで人をたすけるところがカッコイイと思いました。
なのでぼくたちは、大人になった時にみんなを守れるカ
ッコイイヒーローになろうと約束しました。
まだ分からないけれど、こまったらたすけてくれる先生
やパパとママも、みんなぼくたちにとってヒーローみた
いでカッコイイです。
ぼくたちの名まえは、2人で英雄になります。
英雄は英ごにするとヒーローです。
だから1人じゃなくて、2人でヒーローになります。
絶対にヒーローになります。"
「来世はヒーローなれっかな、英都…」
「んなのあたりめーだろうが、雄都」
だけど、2人でいんならこんな人生もアリだ。
Episode.34 二人ぼっち
毎日同じ思考の繰り返し。
頭が痛い、気持ち悪い、気怠い、泣きそう。
苦しい、分かっている、何も出来ない、落ちこぼれ。
そんな感情で埋め尽くされた俺の全てを受け入れてくれた親友。
「俺マジでお前だけいたらいいや、お前が1番だよ」
共依存していることを顕にするように、唐突に。
そんな期待させるような発言を軽々しく口にしていいものなのだろうか。
抱いてはいけない愛情と期待、そして優越感に浸っている。
「なあ、好きだよ」
あまり口に出さない感情だが、あいつの前では素直に言いたくなってしまう。
きっとこれも俺が悪い。
それでも、あいつは全部受け入れて応えてくれる。
「俺もすきだよ」
あいつはきっと俺の気持ちになんか気付かない。
気付かせてはいけない。
俺の目には、お前以外なんか誰も見えていないこと。
でもあいつの目には、俺以外にも沢山見えていること。
せっかく俺に懐いてお互い信じ合えたのに、それを裏切るような行為は絶対に許されない。
それでもあいつは、俺の醜く汚れきった感情を知っても許してくれるのだろうか。
毎晩眠る前。
「好き、おやすみ」
「おやすみ、いい夢見ろよ」
何度伝えたとて変わらない愛情が段々と穢れていく。
あいつが無条件に与えてくれる優しさが、俺の腐りきった心を救いながらグサグサと刺してくる。
目を閉じて夢に沈む前、俺はいつもこう思う。
世界に俺とあいつが二人ぼっちだったら、あいつは俺を抱き締めてくれたのだろうか。
違う、きっと二人ぼっちでも。
お互いがドロドロに沈んでいくだけなんだ。
Episode.33 夢が醒める前に
__目の前の人に溺れてしまいたくなる…
そんな生活を、また望んでいる。
夢が醒める前に、今度こそ君と幸せになる。
「…っねえ!私、病気で虐めてくるものから逃げてるの、助けて」
目の前から走ってきた少女は、少々息切れさせながら汗ばむ手で僕の腕を掴んだ。
僕に縋り付く人は何故か、決まって少女であった。
しかし彼女から漂う雰囲気に、きっと興奮していた。
「ねえってば、お願いよ、助けて!」
これが、僕の夢の始まりだった。
「おはよう、やっと起きたんだ」
「…だ、れ?」
連れ帰った少女が掠れた声で問う。
「ここは今日から君と僕が住む部屋だよ。
"病気で虐めてくるものから逃げて来た、助けて"って
君がしつこく縋ってくるもんだからさ…僕は綺麗なも
のには目がなくてね」
「…あ」
その後、彼女の生い立ちを全て話させた。
彼女を見ていると、過去の女を思い出してしまう。
僕は生まれた時から母の存在しか知らなかった。
父は母の妊娠が発覚後、すぐに女を作って逃げたと聞かされた。
そんな状況でも、母は僕に優しく接してくれた。
しかし、母の愛は異常であると周りから沢山言われた。
そんな事は無いと思いたかったが、確かに母は僕に対しての束縛が激しかった。
きっと、父に出来なかったものを僕に当て付けているのだろう。
そんな浅はかな考えを潰したのは、僕が20歳の時。
疲れきった僕がソファで寝ている時、母が僕の体に跨り迫ってきた。
はっきり言って気持ち悪かった、はずなのに___
盛んであったからだろうか、僕はあの日興奮していた。
それからら言うまでもなく、迫られては応えていた。
2ヶ月ほどそんな関係が続いた後、母はとんでもない大金を僕に預けて出て行ってしまった。
禁じられた行為への興奮が鳴り止まなかった僕は、母が出て行ってすぐに女を作って家に呼んだ。
初めて母以外の女と言葉を交わしたのがその時だった。
口数は少ないが、とても綺麗な女だった。
今度こそ居なくならないように、大切にしないと__
"お金はいくらでもあるし好きなだけ与える、だから僕の
言うことを聞いてくれ"と頼み込んだ。
女は既婚で子持ちだったが、働きに出てると言って誤魔化せばいいと教え込んだ。
20分程で、女は微笑みながら頷いた。
なのに、あの女が僕の癪に障ることをしたのが悪い。
僕の分の料理を運んでいた女は、手を滑らせて料理を床にぶちまけた。
汚い物が嫌いだとあれほど言っていたのに。
でも僕は優しいから怒鳴りつけたりはしない。
ぶちまけた料理を手で掴み、女に全て食べさせる。
苦しそうな声を上げていたが、それに踠く姿はあまりにも綺麗で恍惚としたのを覚えている。
あの日、僕はその女に溺れたのだろう。
1年後、僕の望む女になったと思い始めた頃に、女は3日後に家族のもとで自殺すると話してきた。
女はこんなにも面倒なものなのか、ならばもういらない。
女は出て行く時、こんな言葉を放っていた。
"私の子はアリシアよ、私にそっくりな見た目の子。
もし街で会ったらよろしくね。"
溺れていた僕自身を掬い出し、心の奥に閉じ込めた。
また溺れたいだなんて、思ってはいけないのだ。
「母が死んだのが、いちばん苦しかった。
私に宛てた遺書には"綺麗なものが好きな男に唆され
た、狂わされた"って書いて、て…」
泣きながら話す彼女を僕は知っている。
___ああ、アリシア…とても綺麗だよ。
今度こそ僕と幸せになろう、アリシア。
「よしよし、君は泣いてる姿まで綺麗なんだね」
琥珀色の瞳から零れる涙でさえ、宝石のように綺麗だ。
それなのに、同じ過ちを繰り返すのが女だった。
「っぅおえっ…っは、う…」
「…は?ちょっと、何してんの?
え?なんで吐いた?気持ち悪いんだよ」
「あ……っ」
汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い。
なんなんだ此奴ら、揃いも揃って穢らわしい。
せっかく僕が用意した綺麗なベットに吐瀉物をぶちまけやがって。
僕だって優しくしたいのに、全部お前らが悪いんだ。
「はあ…、ほら口開けろよ。
態々僕の綺麗な手を汚してまで食わせてやるんだか
ら、ちゃんと全部飲み込んでね」
ぶちまけられたものを手で掴み、女に全て食べさせる。
優しくなんてない、乱暴で束縛的な男だと?
違う、僕はなっていない女の躾をしてやってるんだ。
「…ははっ、その顔もいいね。
感じてるの?凄く綺麗だよアリシア。
これからはずぅーっとここで一緒だよ」
ああ駄目だ、そんなに踠き苦しむ顔を見せつけるな。
押し込めていた僕が、溺れたがる僕が出てきてしまう。
やめろ、やめろやめろやめろ____
大丈夫、これは夢だ。
こんな偶然がある訳が無いだろう。
女は綺麗で守りたくなる程にか弱いものなのだから。
これが夢なら都合がいい。
夢が醒める前に、アリシアと幸せに溺れていたい。
Episode.32 胸が高鳴る
ドクンドクンドクンドクンドクン。
ああ、私は前にも同じように恍惚としたことがあった。
グチャグチャと音を立てて迫ってくるものに、私はきっと興奮していた。
目が覚めてすぐ、朧げながら辺りを見渡すが、見えるものはベッド、テーブル、そしてイスが2つ。
天井には2m程の正方形の窓があった。
壁にドアが2つあるが、1つはまるで開かずの扉のように南京錠と鎖が掛けられていた。
「おはよう、やっと起きたんだ」
ふと横を見ると、同じベッドに寝転がっている男が話しかけてきた。
「…だ、れ?」
返事のつもりで声を出したが、掠れてうまく話せない。
「ここは今日から君と僕が住む部屋だよ。
"病気で虐めてくるものから逃げて来た、助けて"って
君がしつこく縋ってくるもんだからさ…僕は綺麗なも
のには目がなくてね」
「……あ」
そうだ、何故だか忘れていた。
「きっと辛いことがあったんだろう?
なら僕に全部話してごらん、受け止めてあげるよ」
それから私は、言われるがままに心の内を明かした。
私は生まれてから2年後、突如として難病を患っていると告げられた。
まだ幼く何も出来ない私には、その時告げられたことに対して何も感じていなかった。
それから10年後、母がキッチンで自殺した。
ダイニングテーブルに置かれていた遺書には、疲れたから命を絶ったことと、私に対しての謝罪が書かれていた。
"アリシア、男には気をつけるのよ。
内緒にしていてごめんなさい。"
この時はきっと、まだ幸せだったのだ。
さらに6年後、父の対応が急変した。
母が自殺してから別の女で寂しさを埋めるように、夜遊びや女を家に連れ込むことを繰り返していた。
父は昔から乱暴で、すぐ私に手を出していたのに今は何もされない。
むしろ女に嫉妬を覚え、毎晩殴られる妄想をしていた。
深夜、眠ろうと自室のベッドに潜り込んですぐ、父親が下着を脱いだ姿で部屋に入ってきた。
あまりにも突然の出来事に、私は逃げることも声を出すことも出来ず、ただ興奮気味な父を見つめることしか出来なかった。
父は私の体を弄りながら、自分の下半身にも手を伸ばしていた。
グチャグチャと音を立てて迫ってくるものに、私はきっと興奮していた。
やっと父が私のところへ戻ってきてくれた。
痛い事はしてこないが、今までとは違い"女"として見てくれていることにとても興奮していた。
その日の夜明け、私は逃げるように家から飛び出していた。
そしてその時に、通りかかった男に縋るように助けを求めたのだろう。
みんなのような、昔のような家庭のままでいたかった。
そんな思いがあるにも関わらず、手を染めてしまった。
その日の事は死ぬまで忘れない。
「辛かったね、君は凄く偉いよ…ほら、おいで」
「…っあぐ、ふ…ぅ…ごめん…な、さぃ…」
「よしよし、君は泣いてる姿まで綺麗なんだね」
何故泣いているのかは分からない。
泣いてる姿が綺麗だなんて、全く意味が分からない。
それでもただ、何も知らないこの男の暖かさに救われた気持ちでいた。
「っぅおえっ…っは、う…」
「…は?ちょっと、何してんの?
え?なんで吐いた?気持ち悪いんだよ」
「あ……っ」
ドクンドクンドクンドクンドクン。
ああ、私は前にも同じように恍惚としたことがあった。
「はあ…、ほら口開けろよ。
態々僕の綺麗な手を汚してまで食わせてやるんだか
ら、ちゃんと全部飲み込んでね」
グチャグチャと音を立てて迫ってくるものに、私はきっと興奮していた。
みっともない女なのだろうか、乱暴にされることに興奮を覚えるだなんて。
ああ、胸の高鳴りが止まらない。
「…ははっ、その顔もいいね。
感じてるの?凄く綺麗だよアリシア。
これからはずぅーっとここで一緒だよ」
名前なんて教えていないのに。
男の名前も知らないのに。
その快感に、私はまだ溺れていたい。