Episode.34 二人ぼっち
毎日同じ思考の繰り返し。
頭が痛い、気持ち悪い、気怠い、泣きそう。
苦しい、分かっている、何も出来ない、落ちこぼれ。
そんな感情で埋め尽くされた俺の全てを受け入れてくれた親友。
「俺マジでお前だけいたらいいや、お前が1番だよ」
共依存していることを顕にするように、唐突に。
そんな期待させるような発言を軽々しく口にしていいものなのだろうか。
抱いてはいけない愛情と期待、そして優越感に浸っている。
「なあ、好きだよ」
あまり口に出さない感情だが、あいつの前では素直に言いたくなってしまう。
きっとこれも俺が悪い。
それでも、あいつは全部受け入れて応えてくれる。
「俺もすきだよ」
あいつはきっと俺の気持ちになんか気付かない。
気付かせてはいけない。
俺の目には、お前以外なんか誰も見えていないこと。
でもあいつの目には、俺以外にも沢山見えていること。
せっかく俺に懐いてお互い信じ合えたのに、それを裏切るような行為は絶対に許されない。
それでもあいつは、俺の醜く汚れきった感情を知っても許してくれるのだろうか。
毎晩眠る前。
「好き、おやすみ」
「おやすみ、いい夢見ろよ」
何度伝えたとて変わらない愛情が段々と穢れていく。
あいつが無条件に与えてくれる優しさが、俺の腐りきった心を救いながらグサグサと刺してくる。
目を閉じて夢に沈む前、俺はいつもこう思う。
世界に俺とあいつが二人ぼっちだったら、あいつは俺を抱き締めてくれたのだろうか。
違う、きっと二人ぼっちでも。
お互いがドロドロに沈んでいくだけなんだ。
3/21/2024, 3:54:20 PM