やさしさって何ですか?
「頑張って」って言ったら「もう頑張ってる」
「頑張ったね」って言ったら「何が分かるの?」
励まそうとしてもダメ、共感しようとしてもダメ。
全部が偽善と見られてしまう。
決めつける前に、少しくらいこっちを見てくれませんか?
声を掛けても、そばに居ても、全部突っぱねられてしまうじゃないですか。
だから分からないんです。
やさしさって何ですか。助けるって何ですか。
偽善って何ですか。真善って何ですか。
やさしさなんて、私には分かりません。
だから、私じゃない誰かに求めてください。
私のやさしさなんて、要らないんでしょうから。
四季折々の風。
季節が変わるごとに感じる風は違う。
春のやわらかで暖かい風。夏の暑くも爽やかな風。
秋の少しずつ涼やかになっていく風。冬の冷たくて肺が凍りそうな風。
全部大好きだ。
少し早い時間に登校して、ゆっくりと自転車を漕ぎながら感じる風。霧の深いこの街。
すぅ、と息を吸い込めば肺になじみ、身体を任せれば肌に馴染む。
まるで、自分の孤独を埋めるように。
足りない部分を補ってくれる。どこにでも現れる相棒。誰にでも寄り添う、優しい奴。
でもさ、時には俺にだけ寄り添ってくれる風が欲しくなる。
まぁ、そんな奴、俺にはいないんだけど。
「私の、将来の、夢は、」
そこで見るのをやめた。
私が幼い頃の授業参観のビデオ。自分の将来の夢を作文にして発表する。
きっと、あの頃の私はソレになれると信じていた。
だけど現実は甘くない。
私は深夜まで働いて、朝早くに出勤するただの社畜だ。
あの頃の私に合わせる顔がない。やりたい事があった筈なのに、今じゃ忘れてしまった。
今からでもやり直せたらなぁ。もっとしっかり生きれてたらなぁ。
そんな夢みたいな事、あるわけない。
そう、この世界は夢じゃない。
努力すれば報われる?馬鹿みたい。綺麗事だけじゃ生きていけない。でも、汚い事に染まっても生きていけない。
夢じゃない現実。息苦しいね。
でも生きるしかないんだよ?頑張ってね。
生きる事に向いていない私より
もう、自分がやりたいことすら分からなくなった。
夢があるんだ。明確な目標。私のゴール。
「小説家になりたい」それだけ。この夢を掴むために頑張ってたんだ。
試しに短い物語を作ってネットにあげた。評判が良くって、もっと書いた。でも、ある日書けなくなった。
昨日までは書けていたはずの文章。なぜか筆が走らない。
それからはもう落ちていく一方。止めようと思えば思うほど自分は何も書けなくなった。
それからだ。自分の夢がわからなくなったのは。
やめたい。でも諦めたくない。どうにかしたい。何もしたくない。
まるで、心の羅針盤が狂ったみたいに。羅針盤が狂ってしまえば、進むことなんてできなかった。
真っ暗。そんな中で取り残されている。
ほら、今だって羅針盤の針は北を指してくれない。
あぁ、いつまでここで彷徨っていればいいんだろう。
もう、何もわからなくなってしまった。
君と私だけの夕日が差し込む教室。
委員会の仕事で一緒になっただけ。君は伸びをしながら私に笑いかける。あぁ、好きだなぁ。
殆ど関わりのない私にも優しく話しかけてくれる。
そんな君が愛おしくて、大好きでたまらない。
「好き」って言いたい。言えたらどれだけ楽だろう。でもなぁ、君は太陽で私は雑草。到底釣り合う訳がない。
あ、仕事が終わっちゃった。早いよ。もう少しだけ…なんて贅沢だよね。
荷物をまとめて君に「またね」と手を振った。君と一緒にいたい。でもね、君といると私が惨めで仕方ない。
本当は、好きって言ってみたい。意気地なしの私には無理だけど。
だから好きを「またね」で隠すんだ。
明日もきっと。