君に会いたいのは嘘じゃない。
君の顔を見たくないのも、嘘じゃない。
君の香水の匂いや、似ている髪型を見るたびに、君のことが脳裏に浮かぶんだ。
でもさ、酷い別れ方をしたから、君の顔を見れないんだよ。
いきなり連絡がつかなくなったと思えば、山奥で服を着ていない冷たくなった君が発見されたらしい。
嫌だ。嫌だ。嘘だろ?嘘だ。違う。違う!
お願いだ。一度でいいから、笑って、ポトフでも一緒に作ろう?
また、君の濡れた髪を乾かしてもいいだろ?
ねぇ、会いたいよ。
どしうて、勉強しなきゃいけないの?
___将来のためだよ。
どうして、先輩に敬語を使わなきゃいけないの?
___目上の人だからだよ。
どうして、あの子は嫌われているの?
___あの子が嫌な事をしたからだよ。
どうして、自分の体を傷つけちゃいけないの?
___…傷ついてほしくないからだよ。
嘘つき。
全てはこの社会で上手に生き残るための術でしかない。
勉強をすれば社会的優位に立てる。先輩を敬えば可愛がられる。あの子と関わったら次は私。人の心配をして良い子ちゃんを演じる。
ねぇ、どうして、アナタはそんなに醜いの?
___。
……そっか。
貴方は私の傷に気付かないでいい。
私の涙に気付かなくていい。
ただ私の隣で、笑いながら手を繋いでくれたらいい。
ただ「寒いね」って赤い鼻を見て笑い合えばいい。
あの日と同じように、降り積もる雪を見て子供のようにはしゃいでて?
そしたら、貴方の服についた香水と消臭剤の匂いも、部屋にある身に覚えのないリップも、変に乱れてるベットシーツにも、気付かないであげるから。
だから、どうか…ずっとこのままで___。
大人は楽しいらしい。
やりたい事何でもできて、考え方も変わるから、何でも楽しく思えるらしい。
じゃあ、大人っていつからだろう?
20歳の僕は、まだ人生が楽しいものだと思えない。
「楽しい」そう感じれたら、大人なのだろうか?
でもそれは、子供のまま大人になった人が言える言葉ではないのだろうか?
子供でいられなくなった人が、大人になっていく。
無理矢理、大人という種類に分類される。
子供のまま大人になった人は、人生が成功している。
子供にも大人にもなれるから。
…まぁ、まだ20歳の僕には分からない話だ。
今日みたいな雪明かりの夜、君にプロポーズしたね。
触れて仕舞えば雪のように溶けてしまいそうな儚さを纏った君の、手を握れなかった事を許して欲しい。
でも君は幸せそうに笑っていた。まるでスポットライトに当てられたように、君は雪の日に現れた女神だったよ。
でも、そんな女神は僕と君の天使を地に舞い降りさせた時、天界へ帰って行った。
今、天使は僕の手をギュッと握って雪を楽しそうに踏み締めている。
君によく似た、輝く笑顔を浮かべながら。
絶対に守ってみせるよ。僕の女神がくれた贈り物を。