宵風に吹かれたい

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四季折々の風。
季節が変わるごとに感じる風は違う。
春のやわらかで暖かい風。夏の暑くも爽やかな風。
秋の少しずつ涼やかになっていく風。冬の冷たくて肺が凍りそうな風。

全部大好きだ。
少し早い時間に登校して、ゆっくりと自転車を漕ぎながら感じる風。霧の深いこの街。
すぅ、と息を吸い込めば肺になじみ、身体を任せれば肌に馴染む。
まるで、自分の孤独を埋めるように。
足りない部分を補ってくれる。どこにでも現れる相棒。誰にでも寄り添う、優しい奴。

でもさ、時には俺にだけ寄り添ってくれる風が欲しくなる。
まぁ、そんな奴、俺にはいないんだけど。

8/9/2025, 10:57:32 AM