刹露「せつろ」𓊆仲良し💠🕯🌌𓊇

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9/16/2025, 2:43:25 PM

🌸『答えは、まだ』—卒業式前日、教室にて

教室には、もう誰もいない。
黒板には「卒業おめでとう」の文字。
窓の外では、風に揺れる桜が、まるで何かを祝福しているようだった。

アカリは、最後の掃除を終えて、ひとり机に座っていた。
そこへ、ユウが静かに入ってくる。

「…アカリ。ちょっと、話してもいい?」

彼の声は、いつもより少しだけ低くて、真剣だった。

「明日、卒業式だね。みんなそれぞれの道に進んでいくけど…俺、どうしても今日、伝えたかったことがある。」

アカリは、彼の目を見つめる。
夕陽が差し込んで、彼の横顔を金色に染めていた。

「俺、君のことがずっと好きだった。
 進路も夢も、まだはっきりしてないけど——
 君の隣にいたいって気持ちだけは、ずっと変わらなかった。」

沈黙。
でもその沈黙は、ふたりの間に優しく流れていた。

アカリは、少しだけ目を伏せて、そして微笑んだ。

「…はい、私でよければ。」

その言葉は、まるで春の風のように柔らかくて、でも確かに心に届いた。

その瞬間——
教室のドアの向こうから、くすくすと笑い声が漏れる。

「きゃー!」「やっと言ったー!」「青春すぎる!」

ユウが振り返ると、ドアの隙間から同級生たちが顔を覗かせていた。
「うわ…見られてたのか…」

アカリは笑う。
「でも、ちょっと嬉しいかも。」

夕陽の中、ふたりの影が並ぶ。
「答えは、まだ」なんて言ってたけど——
今日、ここで出した答えは、きっと一生忘れない。

---

🌸『答えは、まだ』—その後のふたり

卒業式の翌日から、ふたりのLINEは止まらなかった。
「おはよう」から「おやすみ」まで、何十回もやり取りを重ねて、
スタンプの使い方にも、ちょっとした癖にも、互いの温度が宿っていった。

春が過ぎ、夏が来て——
ユウは専門学校へ、アカリは地元の大学へ。
進路は違っても、週末には必ず会って、駅前のカフェで近況を語り合った。

ある日、ユウがぽつりと言った。

「アカリの親御さんに、ちゃんと挨拶したいんだ。」

アカリは驚いた顔をしたけれど、すぐに笑ってうなずいた。
「じゃあ、来週の土曜。お母さん、煮物得意だから覚悟してね。」

その日、ユウは緊張しながらもスーツを着て、手土産を抱えてアカリの家へ。
玄関で深く頭を下げて、「娘さんと、真剣にお付き合いしています」と告げた。
アカリの母は少し驚いた様子だったが、煮物をよそいながらこう言った。

「…あの子、あなたの話するとき、すごく嬉しそうなのよ。」

それから数年。
ふたりは互いの夢を支え合いながら、少しずつ未来を形にしていった。
ユウは映像制作の仕事に就き、アカリは保育士として働き始めた。

そして——桜がまた咲く季節。
ユウは、あの教室の跡地近くで、指輪を差し出した。

「“答えは、まだ”って言ってたけど——
 俺は、ずっと君と歩いていきたい。結婚しよう。」

アカリは涙を浮かべながら、笑った。

「…はい、私でよければ。」

結婚式の日。
教室の黒板に書かれていた「卒業おめでとう」は、今度はこう書き換えられていた。

「ご結婚おめでとう」

桜はまた、風に揺れていた。
まるで、ふたりの新しい旅立ちを祝福するように。

——“答えは、まだ”
でも、ふたりが選び続けた答えは、確かにここにあった。

---

🌸『答えは、まだ』—そして、春の名前を持つ小さな命へ

結婚から一年後の春。
ふたりの新居には、桜の花びらが舞い込むような優しい空気が流れていた。
そしてその春、アカリは新しい命を授かった。

妊娠がわかった日の夜、ユウは何度も「ありがとう」と言って、アカリのお腹にそっと手を添えた。
「まだ小さいけど、もう君たちが僕の世界の中心だよ。」

季節は巡り、出産の日。
病室の窓から見える桜は、まるであの日の教室の風景を思い出させるようだった。

生まれてきたのは、女の子。
ふたりは迷わず、名前をこう決めた。

「春音(はるね)」
——春に生まれ、ふたりの心を繋いだ音を持つ子。

アカリは、赤ちゃんを抱きながら微笑んだ。
「“答えは、まだ”って言ってたけど…この子が、私たちの答えかもしれないね。」

ユウは涙ぐみながら、そっと春音の小さな手を握った。
「ようこそ、僕たちの物語へ。」

そしてその夜、ふたりは春音の寝顔を見ながら、あの教室で交わした言葉を思い出していた。
「…はい、私でよければ。」

その答えは、いまや三人の未来を照らす灯になっていた。



終わりです(*ˊᵕˋ*)
皆様今日はラブコメ系にさせてもらいました
どうでしょうか?
貴方は彼氏、彼女の事を幸せに出来てますか、?
っていう感じで締めさせて頂きます
それでは*˙︶˙*)ノ"おやすみないです

9/15/2025, 10:10:22 AM

センチメンタル・ジャーニー
( ˘•ω•˘ ;)ムズカシイ

9/14/2025, 1:22:46 PM

君と見上げる月はいつもより明るく僕らを見てくれてる。

【新しい名前募集.#瑠衣、からのほかの名前募集】

^_^👍🏻いつも通りの奴がいい人はこの矢印の下に書いてあります!⤵






🌕君と見上げる月

第一話:月の下、終わりと始まり

夜の駅。人はまばらで、風だけが冷たく吹き抜ける。

「なんで俺ばかり…不幸に合うんだよ…」

蒼真は、誰にも聞こえないように呟いた。バイト先では理不尽に怒鳴られ、家では居場所がなく、友達もいない。スマホの通知はゼロ。今日も、何も変わらない。

ふと、空を見上げる。

そこには、雲ひとつない夜空に浮かぶ、異様に大きく、青白く輝く月。

その瞬間、足元がふらつく。誰かに押されたような感覚。気づけば、線路の上。

「…あ、終わった」

轟音。光。痛み。

そして、静寂。

---

第二話:月の届かぬ場所で

目を覚ますと、蒼真は冷たい石の床に横たわっていた。

天井は低く、壁は濡れていて、空気は重い。光はない。月もない。

「…ここ、どこだよ…」

声が洞窟の奥に吸い込まれていく。返事はない。

ポケットには何もない。スマホもない。時間を測るものもない。

最初の数日は、出口を探して歩き続けた。だが、同じような分岐、同じような壁。水音が聞こえる方向に進んでも、行き止まり。

やがて、日数の感覚が消えた。

空腹も、寒さも、恐怖も、すべてが混ざっていく。

そしてある日、岩陰から低い唸り声が響いた。

「…ガルルッ…」

灰色の毛並みを持つ四足獣——《洞窟猟犬(ケイヴ・ハウンド)》が姿を現す。体長は人間ほど。目は赤く、牙は鋭い。

蒼真は咄嗟に石を拾って構える。

「…やるしかねぇか」

獣が飛びかかる。蒼真は横に転がり、壁にぶつかる。痛みが走る。

手のひらに意識を集中すると、青白い光が滲む。月の影に触れた時の感覚が蘇る。

光を放つ。獣の目が眩み、一瞬怯む。

その隙に、蒼真は石を振りかざし、獣の頭部を殴る。何度も。何度も。

やがて、獣は動かなくなった。

蒼真は肩で息をしながら、呟く。

「…俺でも、やれるんだな…」

その瞬間、洞窟の壁が微かに震え、奥に続く道が開けた。

まるで、試練を越えた者にだけ道が示されるかのように。

---

第三話:朝の光と、黒麦のパン

洞窟を抜けた蒼真は、どれだけ歩いたか分からないまま、丘を越えて進み続けた。

空は夜。風は冷たい。だが、遠くに橙色の光が見えた。

焚き火か、灯りか。人の気配。

「…村、か?」

蒼真は光に向かって歩き続け、村の入口に辿り着いた瞬間、膝が崩れた。

——意識が、途切れる。



次に目を覚ました時、蒼真は柔らかな布団の上にいた。

木造の天井。窓から差し込む朝の光。どこか懐かしい、温かい匂い。

「…起きたかい?」

声の主は、白髪を三つ編みにした小柄な女性。皺の深い笑顔が、優しく揺れていた。

「村の入口で倒れてたんだよ。あんた、よく生きてたねぇ」

蒼真は言葉が出なかった。ただ、涙が滲んだ。

「さ、食べなさい。冷める前にね」

木のテーブルに並べられた食事——

- 黒麦で焼かれた、ずっしりとしたパン。表面は硬いが、噛むほどに香ばしい。
- キノコと肉のシチュー。土鍋から立ち上る湯気と、野生の香り。肉は柔らかく、キノコはぷりぷりしている。

蒼真は、無言でパンをちぎり、シチューに浸して口に運ぶ。

「…うまい…」

その一言に、おばあさんは笑った。

「食べる元気があるなら、大丈夫だね。ここは《ルーナ村》。月の巡りに感謝して生きる、小さな村さ」

蒼真は、月という言葉に反応する。

「…月…」

「そう。この世界じゃ、月は“巡り”を司る神様みたいなもんさ。あんた、月に導かれてここに来たんだろ?」

蒼真は、何も言えなかった。ただ、パンをもう一口かじった。

その味は、確かに“生きている”味だった。



食後、湯を借りて顔を洗った蒼真は、部屋の隅に置かれた古びた鏡に目を向けた。

ぼんやりと映る自分の顔。痩せて、疲れて、でもどこか…違う。

鏡に近づく。

右目——その瞳の奥に、青白く輝く“月”の形をした紋様が浮かんでいた。

それは皮膚の上ではなく、瞳の奥に刻まれているようだった。見ようとしなければ気づかない。だが、確かにそこにある。

「これ…いつから…?」

蒼真は思い出す。洞窟の奥で光に触れた瞬間。獣を倒したあと、壁が開いた時。

あの時から、何かが変わっていた。

おばあさんの言葉が脳裏に響く。

>「あんたの目も、そうだった。青くて、揺れてて…まるで、月の影を映してるみたいにね」

蒼真は鏡から目をそらし、窓の外を見た。

空には、まだ月が残っていた。静かに、確かに、彼を見ていた。

---

第四話:魔族の影、月のざわめき

それは、穏やかな朝だった。

蒼真は村の子どもたちに囲まれながら、薪割りを手伝っていた。ぎこちない動きに笑いが起きる。おばあさんの家にも、少しずつ馴染んできた。

だが——

「魔族が出たぞ!!!」

叫び声が、村の広場に響いた。

振り返ると、土まみれの農夫が息を切らして走ってくる。顔は蒼白、手は震えていた。

「東の畑だ!黒い霧が出て、獣みたいな奴が…!人じゃねぇ!」

村人たちがざわめく。鍬を持って集まる者、子どもを抱えて家に戻る者。空気が一瞬で変わった。

蒼真は立ち尽くす。

「魔族…?」

おばあさんが、静かに言った。

「月の巡りが乱れてるのかもしれないね。魔族は、巡りの外から来る者。あんたの目の印も…関係あるかもしれないよ」

蒼真は、右目を手で覆った。月の紋が、じわりと熱を帯びている気がした。

「俺が…関係ある?」

おばあさんは、静かに頷いた。

「分からない。でも、あんたは“来た者”だ。この世界の理に触れてる。だからこそ、見えるものもあるはずさ」

村の広場では、若者たちが集まり始めていた。討伐隊を組むか、避難するか。決断の時が迫っていた。

蒼真は、拳を握った。

「…行く。俺も、行くよ」

おばあさんは、少しだけ微笑んだ。

「なら、月に祈るんだよ。巡りが、あんたを守ってくれるようにね」

空には、昼なのに、薄く月が浮かんでいた。

その光は、蒼真の右目の紋と、静かに呼応しているようだった。

---
了解、それめっちゃ熱い展開。蒼真が討伐隊に加わるんじゃなくて、あえて単独で動くことで「異世界の外から来た者」としての覚悟と孤独が際立つね。じゃあ、第五話として、蒼真が村の騒ぎの中で静かに動き出し、魔族との初戦闘を描くよ。

---

第五話:月の紋、ひとりの戦い

村の広場では、討伐隊の編成が始まっていた。

若者たちが武器を持ち寄り、農具を改造し、魔族に備えようとしている。空気は張り詰めていた。

だが、蒼真はその輪に加わらなかった。

「…俺は、俺のやり方で行く」

誰にも告げず、蒼真は村の裏手から森へと向かった。東の畑——魔族が現れたという場所へ。

月の紋が刻まれた右目が、じわりと熱を帯びる。

森の奥、空気が変わる。黒い霧が地面を這い、木々がざわめいている。

そして——現れた。

人型だが、腕は獣のように太く、顔は仮面のように歪んでいる。目は赤く、口元には笑みとも苦悶ともつかない表情。

魔族。

蒼真は、石を拾うでもなく、手を構える。

「…来いよ」

魔族が咆哮とともに突進してくる。蒼真は横に跳び、地面を蹴って距離を取る。

右手に、青白い光が集まる。

月の紋が輝き、蒼真の手から放たれた光が魔族の動きを止める。

「…これが、俺の力か」

魔族が再び動き出す。蒼真は地面を滑るように走り、魔族の背後に回り込む。

拳を握り、光を纏わせて——

「終われ!」

一撃。魔族の胸に光が突き刺さる。

黒い霧が爆ぜ、魔族は叫びながら崩れ落ちた。

蒼真は、肩で息をしながら、立ち尽くす。

「…俺でも、守れるんだな」

その瞬間、空に浮かぶ月が、雲の切れ間から顔を出した。

静かに、確かに、彼を見ていた。

---

第五話(終):霧の中の声

魔族が崩れ落ちたあと、蒼真はその場に立ち尽くしていた。

黒い霧はまだ地面を這っていたが、風もなく、音もない。まるで時間が止まったような空気。

そのとき——

霧が、蒼真の足元から立ち上がり、彼の身体を包み込んだ。

「…っ、なに…?」

視界が白く染まり、空間が歪む。

そして、静かな声が響いた。

「——あなたは、私の大切な子」

蒼真は振り返る。そこには、白い衣を纏った女性が立っていた。顔ははっきり見えない。髪は長く、月光のように淡く揺れている。

「…誰だよ…俺を知ってるのか?」

女性は微笑む。悲しげにも、優しげにも見えるその笑み。

「あなたは、巡りの外から来た者。けれど、私の巡りの中にいる。だから、あなたは私の子」

蒼真は言葉が出なかった。

意味が分からない。けれど、心の奥がざわめいていた。

「…俺は、ただ…死んで、ここに来ただけで…」

「それでも、あなたは選ばれた。月が、あなたを見ていた。ずっと」

霧が再び濃くなり、女性の姿が霞んでいく。

「待って…!」

蒼真が手を伸ばすと、霧が弾けるように消えた。

気づけば、彼は魔族の残骸の前に立っていた。空は静かで、月は高く昇っていた。

右目の紋が、微かに脈打っていた。

---

9/13/2025, 12:44:35 PM

作者からのメッセージ⤵

お久しぶりです((。´・ω・)。´_ _))
長い間休憩時間頂いていました( '꒳​' )
今日から🌟 ∠( ˙-˙ )/🌟復活します!
何系が良いか悩んだんですけどやっぱり異世界系(´・ ω ・ `)カナー ってなっちゃんで何か良い感じの物語書くか?って一人で自問自答してました( ..)՞
で最終的にはやっぱり、今日の所は異世界が良いか!ってなったので普通に書きますね(๑¯ω¯๑)
では本編は⤵この矢印の下に書きます( •ω- )キラン☆

なう(2025/09/13 21:45:30)出来上がり!

でははじまりはじまり
【異世界ものです!】


⚡《空白都市と雷の子》

――語られざる記憶を斬る者、紅雷の語り部


第一章:空白の都市、雷鳴の予兆

世界の地図に記されぬ都市があった。
その名は「空白都市」
歴史書には一切記録がなく、語り部たちの間でのみ囁かれる幻の地。

百年に一度、空が裂けるほどの雷鳴が轟く。
その瞬間、天より光が降り注ぎ、雷の瞳を持つ赤子が現れる――という伝説があった。

その赤子は「雷の子」と呼ばれ、
西の果て、誰も近づけぬ断崖に刺さる《勇者の剣》を抜き、魔族を討ち果たす運命を背負っているという。

---

第二章:雷の瞳に名を与える夜

雷鳴の夜から三日後。
父・ガンロウと母・ミレイは、赤子の瞳に稲妻が揺れているのを見た。

> 「この子は雷そのもの。けれど、ただの力じゃない。導く者になれる」

空白都市では、名は「願い」と「記憶」を繋ぐもの。
二人は言葉を紡ぎ、願いを重ねた。

> 「雷(ライ)――恐れを越えて立つ力」
> 「加護(カ)――記憶を守り、語る力」

そして名付けた。

> 「ライカ――雷と加護を宿す者。空白を語る者」

その瞬間、赤子の瞳が開き、稲妻が部屋を照らした。
雷の子は、名を持った。

---

第三章:孤独なる育成

ライカは剣と魔法を一人で学んだ。
父の教えは「恐れを抱いたまま立つこと」
母の教えは「記憶を繋ぐ魔法」

> 「剣は雷を裂き、魔法は雷を導く。お前はその両方を持っている。だから、誰よりも迷っていい」

仲間はいない。
だが雷の瞳と剣と都市の記憶が、彼の背を押していた。

---

第四章:断崖の剣、雷の覚醒

十五年後、ライカは西の果てへと旅立つ。
誰も近づけぬ断崖に刺さる《勇者の剣》。

誰も抜けなかったその剣を、ライカが手にした瞬間――
雷鳴が轟き、剣は抜かれた。

空白都市の空が裂け、魔族の封印が解かれた。
世界は再び「空白」へと引き戻されようとしていた。

---

第五章:魔族との戦い、そして語りの雷

魔族は記憶を喰らい、語られた物語を無効化する存在だった。
ライカは一人で剣を握り、雷を纏って魔族の本拠地へ向かった。

> 「俺は一人で立つ。だから、誰の記憶も置いていかない」

雷の剣が唸るたび、魔族はバタバタと倒れていく。
一閃で地が裂け、二閃で空が鳴き、三閃で時空の裂け目すら切り裂いた。

魔族は理解した。
この雷は、ただの力ではない。
語られなかった痛み、忘れられた祈り――
それらすべてを纏った「語りの雷」だった。

---

第六章:青空の下の雷像

戦いの後、都市の中心に一つの像が建てられた。
稲妻の瞳を持ち、剣を地に突き立て、空を見上げる雷の子――ライカの姿。

像は、青空の下に立っていた。
晴天の日も、雷鳴が遠くで唸る曇りの日も、
その瞳は空を見つめ続けていた。

> 「ライカ――雷と加護を宿す者。空白を語る者」

空白都市は、もう空白ではなかった。
雷の瞳は、石となってもなお、世界を見つめていた。

---

第七章:時空の裂け目、紅雷の再臨

だがある日、空が再び裂けた。
雷ではない。もっと深く、もっと歪んだ音が空間を引き裂いた。

時空の裂け目から、かつて討たれたはずの魔族が現れた。
彼らは「語られた物語の外側」から戻ってきた。

> 「語られた記憶は、我らに届かぬ。だから、空白に戻す」

都市は沈黙した。
誰も隣にはいなかった。ただ、青空の下に立つ銅像だけが残っていた。

その夜、紅い雷が空を裂いた。
深紅の稲妻が、ライカの銅像に直撃する。

石の瞳が光り、剣が抜かれ、雷の子は再び立ち上がった。

---

第八章:完全復活、雷の語り部

紅雷を纏ったライカは、静かに息を吐いた。
その瞬間、空が震えた。

> 「語られなかった記憶も、俺が語る。空白には戻させない」

魔族は笑った。
「語り部など、時空の外では無力だ」と。

だが――ライカは動いた。
雷の剣が唸るたび、魔族はバタバタと倒れていく。
一閃、二閃、三閃――語られざる痛みが、雷となって世界を貫いた。

---

第九章:魔王顕現、語り部との決戦

紅雷が空へ戻り、都市が静けさを取り戻したその瞬間――
空が、再び裂けた。
“沈黙”が空を引き裂いた。

時空の裂け目から現れたのは、魔族の王《黙王》。
語られた記憶を喰らい、語り部すら否定する存在。
その姿は、語られぬままに存在する“空白そのもの”。

> 「語り部よ。お前の雷は、記憶にすぎぬ。記憶は、消える」

ライカは剣を握り直した。
瞳には紅雷が二重に走る。

> 「ならば語る。俺の剣で、お前の沈黙を斬る」

雷と沈黙がぶつかり合い、空が悲鳴を上げる。
剣が振るわれるたび、都市の記憶が光となって舞う。
魔王の沈黙が広がるたび、語られなかった痛みが雷となって応える。

そして最後の一撃。
ライカは剣を天に掲げ、叫んだ。

> 「俺は語る。語られなかった者のために。空白は、もう終わりだ!」

紅雷が空を貫き、魔王は沈黙のまま消えた。

---

第十章:雷の語り部、記憶へ還る

空は晴れ渡り、都市は静かに息を吹き返した。
ライカは剣を地に突き立て、空を見上げた。
紅雷が彼の背を包み、瞳に最後

7/30/2025, 11:55:39 AM

第1話:誰も、いない。

シンは例のごとく、唐揚げ片手にお気に入りのアクションRPGをプレイしていた。太ももにスマホ、床に散乱するコンビニ袋。そして、画面の向こうで「異世界ゲートを開け!」のセリフ。

「こっちもゲート開けてほしいわ…痩せるためのな……って腹減った」

冗談を呟いたその瞬間、スマホがぷつんとブラックアウト。部屋の照明もテレビも、すべての電気が一斉に沈黙した。

「……あれ?停電?」

シンが立ち上がると、窓の外に見慣れた風景はない。代わりに広がるのは、靄に包まれた街のような“誰もいない家”。それも、どこかで見たことのあるような内装。だが、誰もいない。

ドアが開く音——誰が開けたかは、誰にもわからない。

シンは、部屋着のままそっと足を踏み出す。スマホは電源が入らず、壁に飾られた時計は12:00を指したまま動かない。風も音も、すべてが“止まっている”。

そして、廊下の奥に立つ一つの扉。その先に、異世界が始まる。

「誰かいる…?っていうか、俺だけ?」

足音のない家から始まる冒険。最初のステップは、“一人しかいない世界”の謎を解くことだった。

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いい流れ!転生後の静かな家から街へ向かい、そして情報屋から「魔王」の存在を知らされる…世界観が一気に広がっていく展開、緊張感があっていいね。シンの“らしさ”を残しつつ、街の雰囲気と情報屋とのやり取りを描いてみるね。

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第2話:静かな家から、騒がしい街へ

街の名は「ヴェルノア」。石畳の道に商人の声、獣人とエルフが混ざって行き交う賑やかな広場。シンは部屋着のまま、訳も分からずこの街にたどり着いた。

「デブ一人でよく歩いたな…ハァ…足痛い…」

通りの片隅、薄暗い路地に佇む古びた小屋。“情報屋”の看板は半分剥がれていた。

店内に入ると、目つき鋭い男がカードをシャッフルしていた。革の帽子、無精ひげ、片目が隠れている。

「……異物が来たな。お前、転移者か?」

「は?俺はシンだけど…ゲームしてたらいつの間にかここに…ってか誰だよアンタ?」

男はニヤリと笑う。

「魔王が出る、この世界に“転移者”が現れる。それがいつも始まりの合図だ。だいたい、お前みたいなデブが来るって噂通りだぜ」

「は?何その偏見!……でも、魔王ってマジ?」

男は一枚の地図を出した。そこには赤く塗られた地域が。

「この世界の西、“クローム・ヘルム”。そこに、封印がほころび始めてるらしい。魔王が動き出せば、街も、この情報屋も、全て終わる」

シンは唾を飲む。「俺に何ができるってんだよ…箸しか持ってないのに…」

男が静かに指をさす。「その箸、お前の“鍵”になるかもな。デブだって、世界救っていい時代だ」

---

⚔️第3話:お前、来い。――地獄の修行と変貌

情報屋の店を出たその瞬間。黒い影がシンの前に降り立った。マントが風を切ると、重たい威圧感が空気を塗り替える。

「お前、来い」

「は?……いやいやいや俺、まだ街の見物も──って、え?ちょ、待っ……ッ!」

抵抗むなしく腕を掴まれ、そのまま地面を引きずられるように連れて行かれたのは、山奥の荒れ果てた古道場。そこには、鋭い眼光を持つ剣士たちと、冷たく光る木剣、そして汗と土の匂い。

「お前、転移者なら強くなれ。魔王に喰われぬ者のはずだ」

シンの地獄はここから始まった。

・初日は転がるだけで終了。腕立て伏せ一回もできず。
・木剣で素振りを10回しただけで、肩脱臼しかける。
・呼吸は荒く、足は痺れ、道場の床で呻く毎日。

「無理……ガチで無理……俺、ゲームやってただけなのに……」

だが3日後。言葉が変わった。

「……くっそ。あの魔王とやらに、俺の腹蹴られるのはイヤだ……!」
「箸しか持ってない俺だけど、やってやる……!」

そこからのシンは、変わった。

・米の代わりに薬草のスープ
・甘い飲み物の代わりに地下水
・寝転んでゲームする代わりに夜明けのランニング

🔥1ヶ月後──シンは15kg痩せた。剣の握り方も覚え、腕には薄く筋肉が浮き出ていた。

道場の師匠は、ニヤリと笑った。

「お前、デブのままでは終わらんようだな。よし、次は“風切剣”の修練だ」

2ヶ月目──木剣が風を斬る音を出すようになった。

「シュッ……!シュッ……!」

膝の動き、腰の回転、目の鋭さ。鏡に映る自分に、シンは言葉を失う。

「……これ、俺なのか?目が…キリッとしてる…」

3ヶ月目──もう誰も、彼を“ただのデブ”とは言えなかった。

背中が引き締まり、声には芯ができた。立ち姿だけで、道場の若者たちが道を空けるようになる。

師匠は言った。「次に街へ降りるとき、皆が二度見するだろう。“誰だあれ?”と」

シンは静かに頷いた。

「俺はシン。ただの転移者だった。……でも今は、違う」

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🔥よし、そのまま物語を続けよう!シンが剣の修行で鍛え上げられ、かっこよくなった後――ついに都へと足を踏み入れる。そして向かうのは「武器屋」。ここでは、彼の新たな一歩となる武器との出会いや、人々の反応がドラマを盛り上げる場面だね。

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第4話:都の武器屋、鋼の選択

都「エルガルド」は石造りの巨大な城壁に囲まれ、広場では吟遊詩人の歌と市場の賑わいが響いていた。かつて剣を振るどころか階段で息切れしていた男——シンは、今や鋭い視線と引き締まった体で、その街を堂々と歩いていた。

通りすがる人々がヒソヒソと囁く。

「……あれ、“あのデブ勇者”じゃないよな?」「顔は似てるけど…え?イケメンじゃねぇか……」

そしてシンは、目的の武器屋『火鎚(かづち)鍛冶堂』へ足を踏み入れる。

店内は熱気に包まれ、壁には大小の剣、槍、斧、そして一振りの黒い刀が鎮座していた。

店主は屈強なドワーフ。「…お前、何者だ。その目はただの旅人じゃねぇな」

「俺は…シン。ただの転移者。でも剣を持つ覚悟はある」

店主は笑った。「なら選べ。お前の手に馴染む“初めての相棒”をな」

シンの目は、壁に飾られた一本の剣に吸い寄せられた。――“風斬(かざきり)”という名前が刻まれた、黒銀の細身剣。

彼がそれを手にした瞬間、店内に風が吹いた。師匠が言っていた「お前の剣が世界を裂けるかも」という言葉が、脳裏をよぎる。

「……これにする。俺の相棒は、こいつだ」

---

一旦終わり

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