( ・᷄ω・᷅ )ヌッ
王座の前に翳す者
地の底深く、永遠の闇に沈む城があった。
風も光も届かず、ただ静寂だけが支配する“忘却の王国”。
岩を穿ち築かれたその空間は、誰の記憶にも残らぬまま、長い時を眠り続けていた。
黒鉄の階段の先には、空の王座がひっそりと置かれている。
その周囲には、数え切れぬ鎧たちが整列していた。
皆、片膝をつき、剣を伏せ、盾を抱え、祈りの途中で時を止められたかのように沈黙している。
壁は深紅に染まり、ただの石ではない。
それは、かつてこの城を守り散った者たちの血と誓いが染み込んだ“記憶の壁”。
誰のための誓いだったのか、今となっては誰も知らない。
だが、その色だけが忠誠の深さを物語っていた。
そして――
その静寂の中で、ただ一体だけが膝をついていなかった。
その鎧は、他の者たちよりもわずかに前へ進み、
剣を地に突き立てた姿勢で、永い永い時を過ごしていた。
名を持たぬ守護者。
何を守るのか、誰を待つのかすら忘れられた存在。
だが今は、まだ動かない。
城の奥深くには、かすかな水音だけが響いていた。
滴る音が、遠い記憶を呼び覚ますように、暗闇に溶けていく。
---
来訪者
その頃、地上では、冒険者たちが偶然この城へ続く穴を見つけていた。
洞窟を抜け、崩れた石段を降り、気づけば戻れないほど深く潜っていた。
「……空気が変わったな」
「光が吸われてるみたいだ」
やがて彼らは巨大な扉の前に辿り着く。
扉は開いていた。
誰かが開けたのではない。
“最初から閉じる必要がなかった”かのように。
扉をくぐった瞬間、冒険者たちは息を呑んだ。
果てしなく広がる大広間。
空の王座。
整列する無数の鎧。
「……なに、これ」
「生きてる気配はない。でも……死んでるとも思えない」
そして彼らは気づく。
ただ一体だけ、立っている鎧があることに。
「……やめよう。ここは俺たちが来ていい場所じゃない」
だが、背後の扉はいつの間にか閉ざされていた。
音もなく、気配もなく。
ただ、気づいた時には出口が消えていた。
広間は静寂を保つ。
鎧たちは動かない。
守護者もまた、剣を地に突き立てたまま沈黙している。
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落下の来訪者
その緊張の中で――
突然、天井のどこかから石が転がるような音が響いた。
――ゴロゴロゴロゴロッ……!
「……え?」
次の瞬間。
ドシャァァァンッ!
天井の裂け目から、ひとりの人影が勢いよく落ちてきた。
砂埃が舞い、鎧の列のすぐ横に派手に転がり込む。
「いっっっってぇぇぇ……!」
広間に似つかわしくない、あまりにも人間味あふれる声。
冒険者たちは呆然とし、鎧たちは沈黙したまま。
落ちてきた本人だけが痛みに悶えていた。
「……誰だあいつ」
「仲間じゃないよな?」
主人公はむくりと起き上がる。
服は土まみれ、髪はボサボサ、小石が肩に乗っている。
「……あれ? ここどこ?
さっきまで森歩いてたはずなんだけど……穴……落ちた……?」
完全に状況が飲み込めていない。
そして、よりによって落ちた場所は――
立ったまま沈黙していた守護者のすぐ横だった。
冒険者たちが青ざめる。
「お、おい……そこ……!」
「動くな! そいつの隣は……!」
主人公は振り返る。
黒鉄の鎧。
地に突き立てられた剣。
微動だにしない守護者。
「……でっか……」
主人公は無邪気に手を伸ばし、
守護者の肩の埃をぽんぽんとはらった。
その瞬間、広間の空気がわずかに震えた。
鎧たちは沈黙を保つ。
守護者は動かない。
だが、確かに何かが変わった。
主人公だけが気づかないまま、
「いやー死ぬかと思った……」と頭をかきながら立ち上がる。
静寂の城に、ひとりの落下者が現れた。
それは偶然か、必然か。
まだ誰にも分からない。
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王座の前に翳す者
主人公が砂埃を払いながら立ち上がると、広間の空気は微妙に揺れていた。
冒険者たちは武器を構えたまま固まり、守護者は沈黙を保っている。
ただ、主人公の落下によって生まれた“乱れ”だけが、静寂の中に残っていた。
「……あの、ここって……遺跡? 城?
ていうか、なんでこんなに暗いの……?」
主人公は完全に状況を理解していない。
その無防備さに、冒険者たちは逆に不安を覚えた。
「おい、そこの君」
戦士が慎重に声をかける。
「ここは危険だ。下がれ。そいつの隣は……」
「え? このでっかい鎧のこと?」
主人公は守護者の肩をもう一度ぽん、と叩いた。
冒険者たちが一斉に息を呑む。
だが守護者は動かない。
剣は地に突き立てられたまま、姿勢も変わらない。
「……動かないじゃん。なんだ、ただの置物?」
主人公がそう言った瞬間だった。
――カン……。
広間のどこかで、金属が触れ合うような微かな音がした。
冒険者たちは一斉に周囲を見回す。
「今の……聞こえたか?」
「誰か……いや、何かが動いた?」
主人公だけがぽかんとしている。
「え、なに? なんか鳴った?」
「お前のせいだろ!!」
冒険者たちの叫びが広間に響く。
だが鎧たちは沈黙したまま。
守護者も動かない。
ただ――
主人公の落下と接触によって、
“完全な静止”にわずかなひびが入ったのは確かだった。
広間の奥で、滴る水音が変わる。
一定だったリズムが、ほんの少しだけ乱れた。
まるで、長い眠りの中で誰かが寝返りを打ったように。
冒険者たちは気づかない。
主人公も気づかない。
だが城は、確かに反応していた。
来訪者を認識したのだ。
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王座の前に翳す者
広間の空気が揺れた。
主人公が守護者の肩をぽんぽん叩いた、そのわずかな接触が引き金だった。
――カン……。
再び、金属が触れ合うような音。
今度はひとつではない。
広間の奥、左右、天井近くの影……
あらゆる方向から、微かな震えが伝わってくる。
冒険者たちは青ざめた。
「……おい、嘘だろ」
「まさか……動くのか……?」
主人公だけが首をかしげている。
「え、なに? なんか変な音してるけど……」
その瞬間だった。
ガシャンッ!
ひとつの鎧が、膝をついた。
続いて、隣の鎧も。
そのまた隣も。
ガシャン、ガシャン、ガシャン……!
まるで波が広がるように、
広間に整列していた数百の鎧が、
主人公の方へ向けて一斉に膝をついた。
冒険者たちは叫び声を上げる。
「な、なんでだよ!!」
「お前……何したんだ!!」
主人公は完全にパニック。
「え!? え!? ちょっと待って!?
俺なんもしてないよ!? 落ちただけだよ!?」
鎧たちは沈黙したまま。
だがその沈黙は、もはや“眠り”ではなかった。
敬意。
服従。
そして――認識。
広間の中心で、ただ一体だけ立っている鎧がいた。
最初から膝をついていなかった、あの守護者だ。
守護者はゆっくりと、主人公の方へ顔を向けた。
黒鉄の兜の奥は闇で、表情は見えない。
だが、確かに“見ている”と分かる。
そして――
「……我が主君。」
低く、重く、地の底から響くような声が広間に満ちた。
冒険者たちは凍りつく。
主人公は固まる。
「……え?
……え??
……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」
広間の鎧たちは、膝をついたまま動かない。
ただ、主人公に向けて沈黙の忠誠を捧げていた。
守護者だけが立ち、
主人公を“主”と呼んだ。
静止していた城は、
ついに“選んだ”のだ。
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王座の前に翳す者
鎧たちが主人公へ向けて一斉に膝をついたその光景は、
冒険者たちにとって“理解を超えた異常”だった。
「……やっぱり、危険だ」
戦士が剣を構える。
「このままじゃ、俺たちがやられる」
「待ってよ! なんでそうなるの!?」
主人公が慌てて手を振るが、
冒険者たちの警戒はもう止まらなかった。
「鎧が動く前に、壊すしかない!」
「ここで終わらせる!」
勇者一同は、恐怖と焦りのままに突撃した。
その刃は、最も近くにいた鎧へと振り下ろされる。
だが――
鎧たちは、動かなかった。
動かないまま、ただ静かに膝をついている。
それでも、彼らの周囲には“触れてはならない領域”のような圧があった。
次の瞬間、広間の空気が変わる。
鎧たちは剣を抜かない。
盾も構えない。
ただ、存在そのものが壁のように立ちはだかった。
勇者たちの攻撃は、
まるで“見えない力”に阻まれるように弾かれ、
彼ら自身がその反動に耐えきれなかった。
「な……なんだ……これ……!」
「くっ……身体が……!」
鎧たちは一切動かない。
ただ、侵入者を拒む力だけが働いた。
そして――
勇者一同はその場に倒れ伏した。
静かに、淡々と。
まるで城が“必要な処理”をしただけのように。
主人公は震えながら後ずさる。
「……え、ちょっと待って……
なんで……なんでこんなことに……?」
守護者が、ゆっくりと主人公の方へ向き直る。
「恐れることはありません、主君。
彼らは、ただ“この城に選ばれなかった”だけ。」
主人公は言葉を失った。
広間には、再び静寂が戻る。
ただひとつ違うのは――
この城が、主人公を中心に動き始めたという事実だけだった。
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王座の前に翳す者
広間に静寂が戻った。
ただし、それは先ほどまでの“眠りの静寂”ではない。
今は、主人公を中心に張りつめた空気が満ちていた。
守護者は主人公の前に立ち、深く頭を垂れる。
「……我が主君。」
その声は、地の底を震わせるように重く響いた。
主人公は後ずさる。
「ちょ、ちょっと待って……主君って何……?
俺そんな偉いもんじゃないよ……?」
守護者は答えない。
ただ、主人公の言葉を“否定する必要がない”というように静かに佇んでいた。
そして、守護者の背後で――
ガシャン……
一体の鎧が立ち上がった。
膝をついていた無数の鎧の中から、ひとつだけがゆっくりと動き出す。
冒険者たちが息を呑む。
「ま、また動いた……!」
その鎧は、守護者とは違う。
より軽装で、細身の造り。
だが動きは滑らかで、まるで生きているかのようだった。
鎧は主人公の前に進み出ると、
胸の前で拳を握り、深く頭を垂れた。
「主君の御命に従い、宝物庫へご案内いたします。」
主人公は完全に混乱している。
「え、いや、命じてないし……
宝物庫って何……?」
鎧は答えず、静かに歩き出した。
まるで“ついてくるのが当然”というように。
主人公は戸惑いながらも、
冒険者たちの死角に立つのが怖くて、仕方なく後を追った。
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宝物庫
鎧に導かれた先は、広間の奥にある巨大な扉だった。
扉には無数の紋章が刻まれ、中央には古い鍵穴がある。
鎧が手をかざすと、
鍵穴が光り、扉が静かに開いた。
中は、広間とは違う空気だった。
冷たく、静かで、何かが“眠っている”気配。
宝物庫には、武具、宝石、巻物……
さまざまなものが整然と並んでいた。
だが鎧は迷わなかった。
まっすぐ奥へ進み、
ひとつの台座の前で立ち止まる。
そこには、古びた黒革の本が置かれていた。
鎧は両手でその本を持ち上げ、
主人公の前に跪いた。
「主君。
この書は、あなた様にのみ開かれるもの。
どうか、お受け取りください。」
主人公は震える手で本を受け取る。
黒革は冷たく、
触れた瞬間、微かな脈動を感じた。
「……なにこれ……?」
鎧は静かに答える。
「あなた様の“来訪”を記した書。
そして――
あなた様が何者であるかを示す唯一の記録。」
主人公は息を呑む。
「俺が……何者か……?」
鎧は深く頭を垂れた。
「はい、主君。
あなた様は、この城が待ち続けた“鍵”でございます。」
宝物庫の空気が震えた。
本の黒革が、かすかに光を帯びる。
主人公は、まだその意味を知らない。
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王座の前に翳す者 — 隠された名
主人公は震える指で、黒革の本をそっと開いた。
ページは古びているのに、まるで今書かれたばかりのように鮮明だった。
文字は黒いインクではなく、淡い光を帯びて浮かび上がっている。
「……なにこれ……読める……?」
見たこともない文字なのに、意味が自然と頭に流れ込んでくる。
まるで“思い出している”ような感覚。
そして、最初のページに書かれていたのは――
『───〈名:〖アイリス•ノヴェル〗』
主人公は固まった。
「……え?
いやいやいやいや、待って待って待って……
これ俺の名前じゃないし……!」
ページの文字は淡く脈動し、主人公の胸の奥が同じリズムで鼓動する。
まるで本が“お前だ”と告げているようだった。
鎧は静かに頭を垂れる。
「主君。
それが、あなた様の“真なる名”。
封じられ、忘れられ、そして今、再び記された名でございます。」
主人公は後ずさる。
「ちょ、ちょっと待って……
俺、そんな名前じゃないよ!?
普通に村で育って、普通に……!」
言葉が震える。
胸の奥が熱く、痛いほどに脈打つ。
本の次のページが、勝手にめくれた。
『記録:主は一度この世を離れ、
再び来訪する時、城は目覚める。』
主人公の顔が真っ青になる。
「……離れ……?
来訪……?
いやいや、俺そんな大層な……!」
鎧は静かに告げる。
「主君。
あなた様は“戻られた”のです。
この城が、あなた様を認めたのです。」
主人公は本を抱えたまま、膝が震えた。
「……俺……そんな……
そんな存在じゃ……」
だが本は、淡い光を放ち続けていた。
否定を許さないように。
“真名”を思い出させるように。
広間の奥で、守護者が静かに膝をついた。
「アイリス•ノヴェル様。
どうか……お戻りください。」
主人公は叫ぶ。
「戻らないよ!!
俺はアイリスなんとかじゃない!!
ただの村人だってば!!」
だが城は、もう主人公を“主”として扱っていた。
そして――
本の光は、さらに強くなる。
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王座の前に翳す者 — 鎧が選ぶ者
黒革の本が淡く光り続ける中、
主人公は震える手でページを閉じた。
「……俺が……アイリス・ノヴェル……?
そんなわけ……ないって……」
胸の奥が脈打つ。
本の光が呼応するように強まる。
その時だった。
――カシャン。
宝物庫の奥で、何かが動いた。
主人公と鎧が同時に振り返る。
「……え?」
暗闇の中から、ひとつの鎧が浮かび上がるように姿を現した。
他の鎧とは違う。
黒鉄に金の縁取り、胸には古い紋章。
まるで“王の側近”のような威厳を放っている。
鎧は、誰も触れていないのに――
宙に浮いた。
主人公は叫ぶ。
「ちょ、ちょっと待って!?
なんで浮いてるの!?
なんでこっち来るの!?!?」
鎧は音もなく主人公の前へ滑るように飛んでくる。
まるで主人公を“迎えに来た”かのように。
「主君。
その鎧は、あなた様のために造られしもの。」
案内役の鎧が静かに告げる。
主人公は後ずさる。
「いやいやいやいや、着ないよ!?
絶対重いし怖いし無理だって!!」
だが鎧は止まらない。
胸当てが開き、
籠手が広がり、
兜がゆっくりと主人公の頭上へ降りてくる。
「ちょ、ちょっと待って!!
俺まだ覚悟とかできてないから!!
やめ――」
ガシィンッ!!
鎧が主人公の身体に吸い付くように装着された。
胸当てが閉じ、
籠手が腕に巻きつき、
脚甲が脚を包み、
兜が頭にぴたりと収まる。
光が走り、
鎧が主人公の体格に合わせて形を変える。
「うわあああああああああああああああ!!
勝手にフィットしてくるぅぅぅぅぅ!!」
宝物庫全体が震えた。
鎧が完全に主人公を包んだ瞬間――
黒革の本が強く光り、
主人公の胸の紋章が淡く輝き始める。
案内役の鎧が深く頭を垂れた。
「……主君。
その鎧こそ、あなた様の“証”。
城があなた様を認めた証明でございます。」
主人公は震える声で言う。
「……いや……いやいや……
なんで俺が……?」
だが鎧は静かに告げる。
「あなた様は、戻られたのです。
この城が、ずっと待ち続けた“主”として。」
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王座の前に翳す者
アイリスの胸に刻まれた紋章が、
脈打つように淡く光り始めた。
最初は心臓の鼓動と同じリズム。
だが次第に、光は強く、熱を帯びていく。
「……な、なんだこれ……
胸が……熱い……!」
鎧の内側で、光が皮膚に触れるような感覚が走る。
痛みではない。
けれど、確かに“何かが目覚めていく”感覚。
宝物庫の空気が震えた。
壁に刻まれた古い紋章が、
アイリスの胸の光に呼応するように淡く輝き出す。
案内役の鎧が深く頭を垂れた。
「……主君。
紋章が……応えております。」
アイリスは息を呑む。
「応えるって……何に……?」
鎧は静かに答える。
「あなた様の“帰還”にございます。」
その言葉と同時に――
ドン……!
宝物庫全体が低く鳴動した。
まるで巨大な心臓が鼓動したかのように。
アイリスの胸の紋章が、さらに強く光る。
「うわっ……!
ま、眩しい……!」
光は鎧の隙間から漏れ、
宝物庫の床に紋様を描くように広がっていく。
その紋様は、
まるで古代の魔法陣のように複雑で、
しかしどこか懐かしい形をしていた。
鎧が静かに告げる。
「主君。
その紋章は、あなた様の“真名”と結びついております。
アイリス・ノヴェル様。
あなた様が名を思い出したことで……
城が、完全に目覚め始めました。」
アイリスは震える声で言う。
「……俺……思い出したわけじゃ……
ただ、本に書いてあっただけで……!」
だが紋章は否定しない。
むしろ、光はさらに強くなる。
宝物庫の奥で、
封印されていた扉がひとつ、ゆっくりと開いた。
冷たい風が吹き抜ける。
その奥には、まだ誰も知らない“何か”が眠っている。
鎧が静かに膝をついた。
「主君。
紋章が示す先へ……どうかお進みください。」
アイリスは胸の光を押さえながら、
震える足で一歩を踏み出した。
その瞬間――
城全体が、まるで呼吸を始めたかのように震えた。
---
王座の前に翳す者 — 王国の灯火
アイリスの胸の紋章が脈打つように光り始めた瞬間――
宝物庫の空気が震えた。
光は鎧の隙間から漏れ、床に広がり、
古代の紋様が淡く浮かび上がる。
その光は、宝物庫だけに留まらなかった。
---
王国全土
地の底に広がる忘却の王国。
長い長い時の中で、誰にも見られず、誰にも触れられず、
ただ沈黙だけが支配していた。
だがその静寂を破るように――
ボッ……!
ひとつの街灯が灯った。
古びた鉄柱に取り付けられた、炎の灯り。
続いて、遠くの通路で。
ボッ、ボッ、ボッ……!
階段の踊り場で。
広場の端で。
崩れた城壁の影で。
ボワァァァァッ!!
まるで火の波が走るように、
王国全土の街灯が一斉に灯り始めた。
暗闇に沈んでいた街並みが、
一瞬で黄金色の光に包まれる。
長い眠りから覚めたように、
王国が息を吹き返した。
---
宝物庫
アイリスは胸の光を押さえながら叫ぶ。
「ちょ、ちょっと待って!?
なんか今、すごい音しなかった!?
ていうか……光が……!」
案内役の鎧は静かに跪いた。
「主君の紋章が目覚めたことで、
王国の灯火が再び灯りました。」
「灯火って……街灯!?
あれ全部!?
俺、ただ光っただけだよ!?」
鎧は淡々と告げる。
「主君の存在そのものが、
王国の“起動”にございます。」
アイリスは頭を抱える。
「いやいやいやいや……
俺、スイッチじゃないって……!」
だが宝物庫の奥から吹き込む風は、
確かに“目覚めた王国”の息吹だった。
遠くで、街灯の炎が揺れる音がする。
まるで王国全体が、
アイリスの帰還を祝福しているかのように。
---
そして――
守護者が静かに現れ、
アイリスの前で膝をついた。
「アイリス・ノヴェル様。
王国は、あなた様の光に応えました。
どうか……次の間へ。」
アイリスは震える声で言う。
「……次って……まだ何かあるの……?」
守護者は静かに頷いた。
「はい。
王国が灯った今、
“本当の目覚め”はこれからでございます。」
(⌒ ͜ ⌒)少しお待ちぐだざい
夜には良いのが書き終わってると思うんで(⌒ ͜ ⌒)
ヒラヒラと世にも知られずに降り注ぐ我ら儚い命。
幸せは自分で探し出す物。
幸せは自分が今生きてるって言う事が幸せ。
他人に不幸を願うなら自分の幸せを相手に分けてあげよう
この下はTiktokを見てた時に流れてきてうち個人が思った事です↓↓↓
ぽっちゃりしていようが、すっぴんが少し物足りない日があろうが、言葉がちょっと鋭かろうが、そんなものは本質じゃない。
人を好きになるっていうのは、もっと静かで、もっと深くて、もっと揺るぎない場所で決まる。
一度心が動いたら、その人を守り抜く覚悟を持つのが、俺たち男子の“背中の役目”だと思ってる。
怒りっぽい日があるのも、人間として当たり前だ。
むしろ、怒れるほど心を開いてくれている証かもしれない。
だからこそ、こっちにも至らないところがあったなら、素直に「ごめん」と言える強さを持ちたい。
謝るっていうのは負けじゃなくて、相手を大切にしている証明だ。
その一言が、関係を守る盾にも、未来を開く鍵にもなる。
そして何より、涙は見たくない。
泣かせたくないし、泣かせるような関係にもしたくない。
もし不安になったり、甘えたくなったりしたら、その時はそっと頭を撫でて、
「今日も生きててくれてありがとう。これからも一緒に歩いていこう」
そう伝えればいい。
その言葉は、どんな景色よりも温かくて、どんな宝石よりも価値がある。
嫉妬させてしまった時だって同じ。
「一緒にいろんな景色を見たい」
その想いを、飾らずに、まっすぐに伝えればいい。
正直に言うと、俺は景色そのものよりも、隣でその景色を見ている“君の横顔”の方がずっと好きだ。
光に照らされて変わる表情、ふとした瞬間の笑み、何気ない仕草。
その全部が、俺にとっては世界のどんな絶景よりも心に残る。
恋っていうのは、派手なドラマじゃなくて、
静かで長い物語みたいなものだ。
毎日の小さな想い、小さな優しさ、小さな気づき。
それらを積み重ねていくことで、二人の物語は深くなり、強くなり、誰にも壊せないものになっていく。
守るっていうのは、戦うことじゃない。
寄り添うこと、理解すること、手を離さないこと。
そして、相手の弱さも強さも丸ごと受け止めること。
その覚悟があるなら、どんな嵐が来ても二人は折れない。
俺はそういう関係を築きたいし、
そういう関係を守り抜ける男でありたい。
たとえ世界がざわつこうが、周りが何を言おうが、
「この人を大切にする」
その決意だけは揺らがない。
結局のところ、
“好きになった人を大切にし続ける”
それこそが、生きていく上で一番かっこよくて、一番難しくて、一番価値のあることなんだと思う。