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🕊️ Special day:瓦礫の町、弓美と色の記憶
午後3時。陽は傾き始めていて、空の色が少し白んでいた。
弓美は背中のバックパックを持ち直す。地図も通信も頼りにはならない。今日も一人で町を歩いている。崩れかけた家々を巡り、食べ物や電池の残りを探す日々。誰かに会うことは、ほとんどない。
駅跡にたどり着いたのは、偶然だった。
ホームは草に覆われ、壁は半分崩れ、建物の一部だけが辛うじて残っていた。廃材が積まれて、入口は少し斜めに開いている。
「人がいなくても、風は通るんだな」
弓美は小さくそう思いながら、中へ入った。
暗い。埃の匂いがする。でも棚だけは、整っていた。
その奥にひとつだけ、瑠璃色の瓶。蓋は錆びていたけれど、中は澄んでいた。ほとんど奇跡のように。
そのとき、奥から声がした。
> 「……よう来てくれたなぁ。」
弓美は驚いて振り向いた。
店の隅、古い椅子に座っていたおじいさん。痩せていて、顔色も薄かった。でも目はしっかりしていて、優しい光を帯びていた。
肩には酸素のチューブ。息をするたび、かすかに装置の音が響いていた。
> 「もう、誰も絵を描きに来んから……ずっと、ここで待ってたんや。」
> 「食べ物探しに来ただけなんです。ごめんなさい。」
弓美が言うと、おじいさんは首を横に振った。
> 「謝ることやない。描くために来なくても、この瓶を選んでくれただけで、わしには十分や。」
風が窓の割れ目から通り抜けて、吊るされた錆びた風鈴が、静かに鳴った。
その音は弱かった。でも、確かに存在していた。
> 「今日が、あんたにとっての“特別な日”かもしれんのう。
誰に見せるでもなくてええ。空を残したいと思ったら、それだけで、ようけ価値があるんや。」
弓美は瑠璃色の瓶を手に取った。
冷たかった。でも、その冷たさは、確かに生きていた。
> 「ありがとう。描いてみます。」
> 「見つけてよかったです。」
おじいさんは微笑んだ。
それは、誰かに何かを手渡すときの顔だった。
( ´ ▽ ` )ノこんにちわ〜
皆さんはお元気ですか(o・ω・o)?
私は、暑いのでこの物語を室内で書いてます(¯꒳¯٥)
何の話しようかな、でもネタが無いです(*´艸`)
ほんじゃあまた明日書きますね(*´艸`)
7/19/2025, 8:26:13 AM