ワクワク、ドキドキというものをいつの間にか失ってしまった。
同じことの繰り返しで、食べて作業して寝て、惰性のように生きている。
立ち止まった展示。
子ども達の自由な絵が並んでいる。
ふと思った。
肩甲骨は翼の名残だという。
あの頃のわたしに羽が生えていたとしたら
きっと名残も残っているのだろうか。
どこまでも続いていく日々の中で
透明な羽はーきっとわたしの中に眠っている。
涙の跡
悲しいこと、苦しいこと、悔しいと思うこと。
涙を流せば流すほど、きっとあなたの痛みに気づける人になれたらいい。
やわらかい布のように、あなただけはどうか傷つけないようにさせて。
何度も流した涙がいつの間にか痕跡のように変わり
パレットの中で滲んでいく絵の具のように複雑な色彩を放って、君の中へそっと落ちていく。
おやすみ、おはよう。素敵な夢を…..
君が半袖の季節になった。
焼けた肌をさらした君は、いつの間にか髪も短く刈り上げ、どこか遠くの先を見ている。
君が見るその先に私はいるのかな?
ねえ、なぜ私は君を追うのだろう。
きっと、君が眼差しで、私を心配そうに、やさしく労わるからだね。
夏の日差しを避けた、テレビの明かりだけが光る部屋で、今日も君の帰りを待つ。
風邪をひきこんで高熱でうなされた。
夜、天へ登っていく感覚があった。
ふと、見下ろすと、君が部屋でぼんやりテレビを見ていた。
その時感じた言い表せない気持ちを自覚した途端、上へ登っていく感覚が終わり、気づいたら朝目が覚めて、涙が頬に流れていた。
君の弱さや脆さに直面して、私が受け止めきれないこともあったね。この現実は誘惑や甘い罪がたくさんあってとても苦しいね。
この世の中はきっと天国なんかじゃない、ゆるやかな地獄に近いのかもしれない。
でもね、ふいにみせる君の、無邪気に笑う顔はとても素敵だから。
それをいつまでも、いつまでも見たいと思うから。
きっと明日も、君と生きていく。
ー天国じゃなくてもー
呼ぶ声が彼方から聞こえる
深い深い彼方から聞こえる
お前はどうしたいか
どう生きたいか
この世界を終えるまで
名前を何度も何度も呼ばれ
必死で掴んだ手は
柔らかくて 静かだった
その手のひらのぬくもりとともに
問われる声から、逃げない
ー声が、聞こえる