夜が明けたら
君の心に伝う雫もきっと飲み干せるから
夜が明けたら
私の心に巣食う恐ろしい獣も
きっと静かになるから
夜が明けるまで ひっそりと息を潜めると
満月がゆらゆら揺れながら輝きを放ち
2人の間にこぼれていった
もし空架ける天の川に願うのなら
明けない夜も眩しすぎる朝も
寄り添う傘ふたつであることを
ー夜が明けたらー
君の生まれた日が
私の心のカレンダーに
赤丸で書き加えられたあの瞬間
モノクロだった私のカレンダーが
彩り鮮やかになっていったよ
2人で初めてデートした日、手料理を作った日、
心のカレンダーに、ポップでカラフルな
ラインマーカーで縁取っていく
哀しい日もあるね。2人で肩を寄せ合って
涙を堪えた日もあるね
涙色のマーカーで昨日を縁取ったら、
明日へ向けて一休み
けたけたと笑う日も涙の日も、どんな日も
心のカレンダーは続くよ
寄り添いながら続くよ
カレンダーの最後の頁には
思いっきりでかでかと
ピンクのラインマーカーで
「ありがとう」
ー心のカレンダーー
暗い暗い螺旋階段を歩いていた
喪失感を抱きながら
薄汚れた私は1人歩く
どこまでも歩く
喪われた夢、記憶….
永遠に取り戻せることはない
目的もなく彷徨い歩いていた時
壁に一つの花が咲いているのを見つけた
恐る恐る懐中電灯で
照らしてみると
鱗粉が光に反射して
眩しく瞬いた
いつの間にか溢れでる涙は
いつまでも続き
手のひらにあたたかく落ちた
「綺麗だね」
ふと振り返ると
いつの間にか君が 君たちが
そばに立っていた
1人で彷徨っていたつもりが
同じ世界に
誰かの息吹があったのか
そう気づくと
手元に持つ懐中電灯の光が
虹色に輝きだし
螺旋階段の通路を
笑い出しそうなくらい
優しく照らし未来へ射した
『喪失感、その向こうへ』
世界で1番優しくて
心地のいい地獄
真綿で締めるように
私を強く抱きしめて
繋いだ手を離さないで
選んできた道は
世界で一つだけの
私の軌跡だから
決して振り返らないで
ねえ
君の流す涙は
美しく暖かかったから
どこまでもどこまでも
この道を….
ーこの道をー
正反対でよく似てるぼくたちだから
胸の鼓動を合わせるように
ひとつひとつリズムを刻みながら
ゆっくり歩んでいくんだよ
ぼくらひとりじゃ生きられないから
君の胸の鼓動が
僕の鼓動と共鳴して
泣いたり笑ったり
やわらかな振動に変わるんだ
ねえ君の鼓動を
内緒話のように聴かせてよ
君がこの世界に在ることの証を
ーあかしー