ひよ

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 暗い暗い螺旋階段を歩いていた
 喪失感を抱きながら
 薄汚れた私は1人歩く
 どこまでも歩く
 喪われた夢、記憶….
 永遠に取り戻せることはない
 目的もなく彷徨い歩いていた時
 壁に一つの花が咲いているのを見つけた
 恐る恐る懐中電灯で
 照らしてみると
 鱗粉が光に反射して
 眩しく瞬いた
 いつの間にか溢れでる涙は
 いつまでも続き
 手のひらにあたたかく落ちた
「綺麗だね」
 ふと振り返ると
 いつの間にか君が 君たちが
 そばに立っていた
 1人で彷徨っていたつもりが
 同じ世界に
 誰かの息吹があったのか
 そう気づくと
 手元に持つ懐中電灯の光が
 虹色に輝きだし
 螺旋階段の通路を
 笑い出しそうなくらい
 優しく照らし未来へ射した

 『喪失感、その向こうへ』

9/10/2024, 10:15:37 PM