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「彩音ちゃんは何でも出来て良いわねぇ。おばさんは腰が痛くてねぇ。」
「彩音ちゃん!美琴ね、彩音ちゃんの事だぁいすき!だってね、何でも出来るんだもん!」
「おお!彩音!一緒に遊ぼうぜ〜!」
「凄いわ彩音さん、テスト満点!体操教室でもしっかり側転出来て天才ね!」
「彩音は優しいのね。これなら“妹”が出来ても安心だわ。」
この一言に私は壊れた。
私が1番、私が先。
誰よりも優先順位が高かったはずなのに。
「まだこんなことしてるの!?貴方の妹の梨々花さんはしっかりしてるのに…」
「最近たるんでないか?妹を見習え!」
「お姉ちゃん!邪魔!私が“1番”なんだから!妹優先でしょ!」
「彩音……妹が出来てもっとしっかりすると思ったのに!お姉ちゃんなんだからしっかりしなさい!」
「嗚呼、彩音?梨々花が妹なのにお姉ちゃん的存在になってるのウケるー。やっぱ彩音いる意味ないんだって。」
「昔は良い子だって言うけどそんなん信じられんよね(笑)」
「お前!提出期限過ぎてるぞ!本当に最近の若者は……」
「君、彩音さんでしょ?梨々花さんにどうせ勝てないんだし、僕と同じ負け組だね……だから…僕の子供産んでよ……?」
「彩音さん、また町内会に参加してないわ!子供も学校へ行かせてないみたいよ!」
「子供が泣いてる声しか聞こえなくて、不便!さっさと引っ越せ!」
なんで?なんで?
私は今まで通りにしただけ……だって。だって。
梨々花が悪いの。私の彼氏奪って……「変わりの男あげる」なんて私をレ○プして子ども産ませて私と子供に虐待&DVして。私は悪くないのに悪人になって。
会社では「今度こそ調べて来たから、ね今までごめんなさい。良い会社見つけたから」ってパワハラ上司押し付けて。期限通りに提出したら梨々花にバラバラに破かれて、私はそれを親に報告しただけなのに我慢しろなんて……私…私……
『も……………無………理……』
病院に行く金も無くて私をレ○プした男は浮気して金を使い果たして。
嗚呼、もう限界なんだ。私もう駄目なんだ。そうだ料理を作ろう。美味しい復讐の味。アイツとアイツとアイツと………いっぱいいるなぁ…大変だけど美味しい味を作るために頑張らなくちゃ………
『っは…ハァ…ハァ………。』
「もう!いつまで寝てるの?いつも早起きだったのに。疲れてる?学校休もうか?」
『まま…こわいゆめみた』
「どんな夢?」
『ママにね、新しい子供ができてね、私に妹ができてね、嬉しかったけどね生きてるうちに何度も虐められてね、レ○プ?されてね子供できてねぎゃくたい受けてね心が限界でね料理しようって妹とレ○プした男とママと先生と生徒を殺して食べようとしてた夢。』
「……………リアルな夢ね……私まで殺されるの……」
『ママ。大丈夫だよ!ママ大好き!』
「ありがとう優しいのね。これなら妹が出来ても安心だわ“彩音”」
『へ?』
これから起こることなんて誰しもがわかってた。
大量殺人事件【材料調達事件】
宮野彩音容疑者 2057年 東京都
妹に人生を滅茶苦茶にされた。
食べようと思った。無様な姿を晒して欲しいと思った。復讐したかった。
伊藤豊和(目が無い)
宮野梨々花(挽肉状態)
宮野有三(焼かれた跡)
宮野雄平(首に縄の跡)
荒谷武(数箇所刺されている)
佐々木雫(口が裂かれている)
佐藤美琴(手が無い)
有馬恋児(手足が頭の横にある)
飯島環奈(首に包丁が刺さっている)
佐藤竜也(頭から心臓まで裂けている)
字木武尊(口が裂けている)
以上11名殺害
入江加奈子(脳を損傷)
水戸光一(首に切り傷)
以上2名重症
外崎綾子(手に数箇所切り傷)
飯村柚綺(目元に切り傷)
分枝優斗(足骨折)
以上3名軽傷
判決死刑
子供の頃は良かったなぁ
ギリギリッ…………
「死刑執行完了致しました。」
「ご苦労-」
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『はい!クリア〜!!次のステージ行っきま〜す!』
私は落木明日香、有名ゲーム配信者だ。
私はVTuberの“キラキラ-”として活動している。
キラキラ-は私がお金を出して作ったアバターで、金色と赤と黒の配色をメインに作って貰った。陽キャ(キラキラ)を狩る(キラー)ので金色のキラキラセーラー服に赤い鎌と黒いニーハイでキラキラーを演じて配信している。
今は“深レイ”をプレイしている。
一見ホラゲーだが、これはClickさんが作ったアスレチックゲームだ。
Clickさんは数々の名作を出している有名ゲーム制作者さんで他にも“ピノピノ大冒険”、“リリオブラザーズスター”等が人気だ。そんなClickさんのゲームを私はストーリー順にプレイしている。“深夜列車レイージの挑戦”は“リリブラS”(リリオブラザーズスタ-)の続編でリリオの弟レイージが活躍するホラーアドベンチャーだ。
レイージはリリオが居なくなったとプーチ姫から言われ、居なくなったとされるある列車に乗るが迷い込んでしまう。レイージは列車に住み着いたオバケをオバシューズで蹴っ飛ばし進んでいくというゲームだ。
私はClickさんの大ファンでずっとClickシリーズを続けているので昔“キラキラーとプーチ姫”とグッズコラボをした事が何度かある。
あ、そうだそうだゲーム配信を続けよう。
『次は…えっと……え!マジ?!待って過去作出てる!!おお!レンジャーだ。』
『じゃ、話しかけてみます。……我らレンジャー!お前はレイージだな。もしかしてリリオの弟か?なら……味方かぁ。あっはははははWWやっぱり過去作通り成長してねぇWWWとりあえずオバケなんでオバシューズで蹴って行きます!戦闘開始!!』
ドカッドゴッ
テッテッテレッテッテッテレッレ!!
成功BGMが流れた。
『オケオケ…あとちょっとだ-これセーブがオートしか無いから今のとこ1列車になるんだよね。鬼畜〜でさでさ-』
グサッ
『へ?』
グチャットスッ
『あ、死んだか……も……』
私は床に倒れた…と同時にアバターが切れて血まみれの壁と私が映った。その光景にファンは沢山コメントしてくれたが意識が朦朧としてきた。
(多分刺したの…ストーカーとか?パラソーシャル現象?も、無……理…)
私はストーカーの荒木秀明に複数箇所刺され死んだ。
折角理想の日常になれたのに……普通の、日常……
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“秋華を連れていかないで”
「貴方は誰、なの?」
ピピピピピッピピピピピッピピピp
「嗚呼……。もう7時?」
私は佐藤三玖、ピッチピチの陽キャ高校3年生!!……といきたいけど私は普通の女子高生。一軍やら二軍やら三軍やらの会話を見たりして友達と仲良くお話してる中立女子。
市立伊ノ丸東高校 3‐A 名簿17 学年31位
私の通知書、昨日みっチー 先生から受け取ったものだ。
「行ってきまーす」
シーンとした家の中に私の声だけが響いた。
「この家……今年でお別れか。」
私はこの馴染み深い家をじぃっと見つめた。
「そういえば夢で誰かが“秋華”って読んでたよね…。ま、良いか!私に関係無いし!」
私は家と秋華を少し頭に入れながら高校へと足を進めた。
数年後-
「未来………。」
『うぁっぁぁっキャハハっ』
「未来…。私の未来……ずっと傍に-…え?」
未来未来前世全部死転生厄災門地獄天国永遠旅公爵家令嬢伝説
「……………………………………………………………………。」
『う?うぁ?』
バチンッ!!
『うっあ…うああああああああんうぎゃああああん!!!!』
「黙れ!私ごときに触るのでは無いわ!下民が!」
『うああああああああん!!まんまぁ!!ぱんぱ!!』
「触るな!お前が触っていい相手じゃ無いんだよ!私は秋華様だぞ!四季を喰ったお方なんだ!!お前は、お前は斬首しろ!」
『あ、う?』
ザシュッ
「ふふふ……やってやった!やった!!!!!…あぁ゛?あぁぁぁっぁぁぁぁぁけっjfhfvfhdっっはdjhしいkj」
ゴキゴキゴキゴキグチっ
ポトッ
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アルペスト大革命とファルティ公爵家歴史
―その時代は1000年も前のシーザイク皇帝時代、ファルティ公爵家はウィングレア皇族の第1皇子ウィングレア・ソルド・アルペストの家臣のファルティ・ド・ラルク卿であった。第1皇子は次期皇帝陛下と皆は期待していた。しかし突然に起こった隣国との戦争“ファーストフレア”その戦争でアルペスト第1皇子は余儀無く皇帝陛下の座をウィングレア・ミラド・シーザイクに譲った。シーザイク皇帝陛下は、民を強制労働に入れ、動物の殺生、富の乱用をした。そこで許せないと革命を起こしたのがアルペスト皇子だ。この革命は後に「アルペスト大革命」と呼ばれた。アルペスト皇子、サリグルト公爵、ペペロン伯爵、そしてファルティ卿等数々の貴族を筆頭に革命と呼ぶ反乱を起こした。その結果は大成功。しかし皇帝との戦いで多くの兵と人を失った。アルペスト皇子はその犠牲者の痛み、苦しみを深く分かり、現皇帝陛下のシーザイクを斬首した。
今残っている貴族はファルティ、サリグルト等少数。そしてペペロン家の消失によりアルペストが皇帝になっても多忙で民の整理をできるか不安の状態であった。そこでアルペスト皇帝が考えたのはファルティとサリグルトの昇格。サリグルトを公爵から大公に、ファルティを卿から公爵にし、政治を回したという。そこから初代公爵家当主「ファルティ・ド・ラルク」の歴史が続いた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――『ファルティ公爵家の歴史かぁ……。』
私は分厚い歴史書を閉じた。
『ミミ〜。』
「なんでしょうかアリアンお嬢様。」
『部屋に戻ろう。』
「承知致しました。そのお手に持たれております歴史書は持って帰るのですか?」
『いや、私が片付けておくよ。魔法で一発だからね。』
ヒュイッ ピューンストッ
私が片手の人差し指を上に向けると歴史書が浮き、横にスライドすると元の場所に静かに戻った。私の指先から青い光がヒュルリとくねり、元に戻った。
『よし、早く帰ってお菓子一緒に食べようか?』
「何度も言っておりますが、私はファルティ公爵家の侍女。仕事を放ってお菓子を食べる等…………」
『そっか……じゃあそろそろじゃあお父様に言おうかな…』
「…………!?ちょ、ちょちょちょ…ちょっと待ってください!当主様だけには…!」
『あははっ!嘘嘘!じゃあ午前のお菓子の準備しといてちょうだい!』
「わかりました!」
私は部屋に戻った。午前のお菓子とは言っているが今は夜中の12時。
私は夜遅くに起きてお菓子を食べながら朝日の光を浴びている。
そういう日課なのだ。
キラキラ…………
おっ、朝日が登ってきた。
私は朝日の温もりを感じた。
『嗚呼……今日もいい天気や。なぁ、ミミ……。』
「そうでございますね。アリアン当主様。」
『その名はよしてくれや。ミミがてつおうとしてくれたから当主にのれたものじゃ』
「私は何時でも貴方をお待ちしておりますよ。お菓子を朝日の温もりで照らしながら。いつものように…………」
ファルティ・ソルド・アリアン公爵家当主
1027年 春聖期 寿命により死去
アリアンはこの国に恵と魔法の文化を取り入れ発展に貢献したことを称する
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「嗚呼〜もう最悪!」
私は美咲。
今“最悪”と言った方は朱音で私の親友。
家族ぐるみの付き合いで、家も近くて幼稚園いや、生まれた病院から隣だった。
私のお母さんと朱音のママは姉妹で、お父さんとパパも兄弟。
偶然大学で4人出会ったそうだ。4人はそれぞれ好きになり、恋人、夫婦まで発展して私、美咲と朱音を生んだ。言わばいとこみたいなものだ。
そんな奇跡は今は置いといて、
私達は今修学旅行で自主見学に行っている。だが、どうしても暑くて暑くて日陰から動けない状況なのだ。修学旅行は3泊4日。明日も自主見学はあるのだが、せっかく2日間取れたんだしと私達7班は予定をつめつめできていたので動けなくてみんなイライラしている。
『しょうがないよ。今日の朝、旅館のテレビで見たじゃない。準備しなかった私達が悪いわ。そんなイライラしてないでポジティブに考えようよ。』
「そうは言ったって、お昼ご飯も食べれて無いし……気分あがんないよ美咲。」
『う〜ん……じゃあ、私スマホで探そうか?』
「うん。そうしよ」
『あっあった!ここから2分だって。』
「どんな店なの?」
『ん?ん〜っと、ハッピーランドだって。』
「嗚呼〜!ここの有名なお店だよね!俺初めて行くわ!」
「班長!そこ行かない?ほらほら!メニュー見てみ?安いでしょ。」
「そうだね!ありがとう美咲。……ほ〜ら、朱音、美咲から離れなさい!あははっ」
『ちょっと朱音〜!』
「いいでしょ( *¯ ꒳¯*)」
――――――――――――――――――
『楽しかったな…また行きたい!』
「若かったナァ…。あの頃はいつも一緒だと思ってたんだナァ…。」
『そうだね。一緒に居たいよ』
「でも美咲はもう会えねぇかんナァ。」
【そうなの?美咲婆は朱音婆ちゃん喧嘩したの?】
『違うよ!私が悪かっただけで……朱音もそう思ってるでしょ?』
「ンな訳ねんだ。美咲と婆はいつも仲が良いてぇね。考えも一緒だったあねぇ…喧嘩なんてぇしてねぇだが。」
【そっか……じゃあなんで会えないの?】
『それは……』
「それは……少し悪い気分になるがァ良いかぁ?」
【……うん。教えて】
「美咲は高校の時、虐めにあって帰り道背中を押されて電車に跳ねられちまった。」
【ッ………………!そんな!酷いよ……!朱音婆ちゃんは居なかったの?】
「嗚呼。丁度委員会で先生に呼ばれててなぁ゛……。」
『違うの!朱音は悪くない!』
【そっか……。】
「その美咲の為にも婆は長生きしてんダァ……」
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