耳を澄ますと
「琴美、3時迄には帰ってくるのよ。」
アタシたちは近くのクズ鉄山(スクラップ置き場)で隠れん坊をすることになった。
「もーいいかい。」
「「まーだだよ。」」
鬼は葵である。
「もーいいかい。」
何たってスクラップ置き場である。かくれる所はいくらでもある。
「「もーいいよ。」」
タイヤ山脈で、みっちゃんが見つかった。悪臭谷で昴を見つけた。
「臭いからこんな所に隠れてないでよ。」葵が昴に文句を言うと、「こんな所だから見つからないと思ったんだけどな。」昴は悔しがっていた。
「あとは、心くんと琴美ちゃんだ。」葵は一生懸命探したがふたりは見つからない。
昴とみっちゃんも一緒に探すことになった。
「「「心くーん、琴美ちゃーん。」」」
「どっかでケガでもしてるのかな?」「どっかに閉じ込められているかもしれない。」3人は必死になってふたりを探した。
「静かに!」昴が叫んだ。「何か聞こえないか?」3人が耳を澄ますと、
“ドンドンドン、ドンドンドン”
と微かに聞こえる。
「あっちだ!」昴が走り出した。そこには冷蔵庫があった。急いでドアを開けると中には大泣きしている心がいた。
「怖かったよー。中からはドアが開かないんだもん。もう死ぬかと思ったよー。」ともかく無事でよかった。
「あとは琴美だけか。」もう3時を過ぎている。みんなは不安になってきた。琴美のお母さんに知らせるために、琴美の家へ急いだ。
「あら、みんな遅かったわね、オヤツ用意してあるから早く上がりなさい。」ぼくたちは訳もわからず部屋へ入っていくと、琴美は大口を開けてケーキを食べていた。
「琴美ちゃん、みーつけた。」
おわり
『二人だけの秘密』
ぼくは深海梶小学3年生、弟の海里は5才の幼稚園児でお父さんの転勤で海辺の街へ越してきた。
父 「ようし、着いたぞ。」
母 「あなた、ここに住むの?栄転で戸建てだって言うから期待してたのに。」
梶 「なんかトトロが居そうな家だな。」
海里 「トトロ〜❣️わーい、マックロクロスケ出ておいでー!」
父 「走り回るな!お前たちは邪魔だから遊びに行ってこい。」
母 「あんまり遠くに行かないでね。」
父 「海には入るなよ!」
梶・海里 「「はーい」」
海里 「お兄ちゃんどこ行くの?」
梶 「海。」
海里 「えー、お父さんが行くなって言ってたよ。」
梶 「お父さんは海に入るなって言ったんだよ。」
海里 「あっ、そうかー。わーい海だー。」
梶 「よーし海里あそこの岩場まで競争だー。」
海里 「待ってよーお兄ちゃん。」
梶 「あっカニがいた。」
海里 「カワイイー。ボクも見つけるー。」
梶 「いっぱい捕まえようぜ。」
海里 「うん。あっ痛い!カニに挟まれた!」
梶 「大丈夫だ、兄ちゃんが取ってやる。」
海里 「お兄ちゃんあっちに洞窟があるよ。」
梶 「よし、入ってみよう。」
海里 「お父さんに怒られてちゃうよー。」
梶 「大丈夫だよ。海に入るなって言ったんだから洞窟は大丈夫。」
海里 「お兄ちゃん怖く無い?」
梶 「天井に穴が空いてて日差しも入ってくるし平気だから海里も入っておいで。」
海里 「うん、わかった。」
梶 「なんかカッコいいな。」
海里 「秘密基地みたいだね。」
梶 「ようし、ここは俺たちだけの秘密基地にしよう。」
海里 「やったー、わーいわーい。」
梶 「今度は、お菓子持ってこような。」
ーーしばらくしてーー
海里 「お兄ちゃん、お水が入ってきた。」
梶 「大変だ満ち潮で入り口が塞がって出られなくなってしまった。」
海里 「お兄ちゃん、どうしよう?」
梶 「天井の穴に向かってお父さんを呼ぼう。」
海里 「お父さーん、助けてー、お父さーん。」
ーー その頃 ーー
父 「疲れたなー、だいぶ片付いたかな。」
母 「お父さん、梶たちがまだ帰ってないのよ。」
父 「ちょっとその辺探しに行ってくる。」
ーーしばらくしてーー
父 「どこにも見当たらない。近所の人に話したら、一緒に探してくれるそうだ。」
母 「すいません、よろしくお願いします。」
村人A 「困った時はお互い様だ。コイツは息子の源太です。源太、都会の子供が行きそうな所に心当たりはないか?」
源太 「あるよ、引き潮の洞窟だよ。」
父 「じゃあすぐそこへ行ってみよう。」
村人A 「今は満ち潮だから入り口は塞がっている。」
母 「そ、そんなぁ。」
源太 「天井に穴が空いている。」
村人A 「そうか、そこからロープで引っ張り上げられる。」
父 「よろしくお願いします。」
ーー引き潮の洞窟へ向かうーー
母 「梶と海里の声が聞こえる。」
父 「梶、海里そこに居るのか。」
梶 「父さんだ。」
海里 「お父さん早く助けてよー。」
母 「ケガはないの?」
梶 「大丈夫ケガはないよ。」
村人A 「今ロープを下ろすから体に縛って、上から引っ張り上げるからね。」
ーようやく二人は救出されたー
源太 「お前たち、引き潮の洞窟から入ったんだな。」
父 「海に行ってはダメだって言っただろう。」
梶 「違うよ、あの穴から落ちたんだよ。」
海里 「お兄ちゃん?」
梶 「海里、二人だけの秘密な。」
『優しくしないで』
わたしと葵は同じ病院で3日違いで生まれた。ちなみにわたしがお姉さんである。母親同士が友達だったので双子の様にして育った。幼稚園に入ってからは昴とも仲良くなった。家も近かったので3人はいつも一緒にいた。
葵はおとなしい性格で後から付いてくるタイプだ。
昴は活発でスポーツ万能タイプである。
わたし[琴美]はお姉さんタイプで何かを決めるのはいつもわたしだ。
昴は他の男の子と遊んでいても、声を掛ければすぐに飛んでくる。オママゴトもイヤイヤながら(半強制的ではあるが)付き合ってくれる。
夏休みには、親同士が話し合い2日交代でわたしたち3人の面倒をみることになった。2日間は嵐のようだが4日間は夫婦水入らずで落ち着けたのだろう。特に葵の親は出来ちゃった婚だったので新婚生活を味わっているようだった。
当然いろいろなエピソード(
事件・事故?)が勃発したが、それはまたの機会に...。
小学校3年生の時に響が転校してきた。席が隣り同士になったわたしたちはすぐに仲良くなった。
歓迎会(単なる3時のオヤツ)を開きクラスが違う葵と昴にも紹介した。昴は男友達が加わったので大いに喜んでいた。響はどちらかと言うと内向的な性格で自分から意見を言いタイプでは無いが4人の中では1番頭が良かった。
響は、誰にでも優しく、そして何かと暴走しがちなわたしを抑えてくれるのも響であった。
中学生になると、昴はバスケットボール部、響は吹奏楽部、葵は美術部、わたしはテニス部に入り4人ではなかなか会えなくなっていた。
中3の3学期それぞれの進路が決まった後、葵と響が一緒にいるのをよく見かけるようになった。もしかしてふたりは付き合っているのかな?と思った瞬間何かが弾けた!。葵は姉妹同然だ。葵に彼氏ができるのはとっても嬉しい、でもどうして響なの?響は...響はわたしにとって...その時やっと気がついた。いつもそばにいた響が、いつも優しかった響がわたしは好きだったんだ。
卒業間近にテニス部伝統の卒業生vs在校生の試合が行われた。
琴美は試合に集中出来なかった。響の事が頭から離れないのだ。
ガキ大将とケンカになった時、助けようとして、代わりに殴られて鼻血を出した響。
高い場所ではしゃいでいて脚を滑らせて落ちた時、助けようと下敷きなった響。
テストで0点を取った時、一緒に怒られてくれた響。
お母さんの化粧品をかってに...
「危ない先輩!」
あっ!っと思ったときにはもうおそかった。後輩のサーブが顔を直撃してわたしの意識は飛んだ。
わたしは、保健室で目を覚ました。周りには葵、昴そして響がいた。
響 「琴美ちゃん大丈夫?痛く無い?。」
琴美 「痛いに決まってるでし
ょ。」
響 「代わってあげられなくてごめんね。」
琴美 「何言ってんのよ。そんなことできる訳ないでしょ。」
響 「分かってるけど、でも、でも、ごめんね。」
琴美 「わたしの事なんてほっといてよ!優しくなんかしないでよ!あんたは葵の事が好きなんでしょ!。」
葵 「えっ、コトちゃん何いってるの?」
琴美 「だって、最近はいつも一緒にいるじゃない。」
葵 「コトちゃん勘違いしてるよ。わたしは響の相談にのってただけだよ。」
琴美 「相談ってなんのよ?」
葵 「それはちょっとわたしの口からは...。」
響 「だって、だって、高校生になったらみんなバラバラになっちゃうんだよ。琴美ちゃんに2度と会えなくなるなんて、ぼく、ぼく、死んじゃうよ〜!」
葵 「ね、わかったでしょ。響が好きなのはコトちゃんなんだよ。そうだよね響?」
響 「うん。」
昴 「お前は、相変わらず人騒がせなやつだな。」
琴美 「てへっ。」
おわり
カラフル
カラフルとは色彩豊かな、色鮮やかな、派手なという意味である
綾乃 「みんな、オヤツ持ってきたわよ。」
紀信 「ありがとう、お姉ちゃん。」
翔・メイ 「いただきます。」
綾乃 「あれっ、咲は?」
紀信 「咲はトイレだよ。」
綾乃 「あんたたち、ゲームばっかりやってないで、それ食べたら少しくらいお日様のパワーを充電してらっしゃい。」
翔 「みんなでサッカーやろうぜ。」
メイ 「アタシは咲ちゃんとお砂場でオママゴトする。」
紀信 「お姉ちゃん宿題は終わったの?」
綾乃 「宿題じゃなくて課題ね。
テーマがない自由課題だから、なに描いていいか迷うのよね。あんたたちも何か考えてくれる?」
翔 「どんなのがいいの?」
綾乃 「そうねぇ、夏だから明るくてカラフルな感じがいいな。」
メイ 「わかった咲ちゃん一緒に考えようね。」
咲 「うん、でも大変そうよ。」
メイ 「大丈夫だよ。アタシに任せて。」
綾乃 「ありがとう。じぁよろしくね。」
***翔と紀信はインターネットで画像検索してカラフルな鳥やビー玉・お菓子などを教えてあげた。***
綾乃 「この珊瑚はとってもキレイでよさそうね。ありがとう。咲たちはどこ行ったのかしら?」
咲 「ねェメイちゃん、なんか変じゃない?」
メイ 「そんなことないよ。とってもカラフルでしょ。」
咲 「なんか違う気がするんだけどな。」
メイ 「お待たせ〜。」
***メイちゃんはとんでもない格好で現れたのである。
黄色いボウシ
水色のシャツ
赤いスカート
緑色の靴下
紫のマフラー
ピンクの手袋 ***
メイ 「どう?とってもカラフルでしょ。」
綾乃 「アハハ メイちゃん€☆〆^$♪×...」
おわり
楽園
流星 「ただいま。」
美月 「あっ帰ってきたね。」
明里 「きたきた、おばあちゃん
いらっしゃーい。お父
さん、おかえり。」
祖母 「明里〜大きくなったね〜
お菓子食べるかい?」
明里 「ヤーダーアタシもう16才
だよー。」
美月 「お母さんお久しぶりです
夕食は、山菜おこわと、
だんご汁を作ってみまし
た。お口に合うといいで
すけど。」
流星 「おいおい、寿司でも取っ
た方がいいんじゃないの
か?」
祖母 「何言ってんだい流星、わ
たしは山菜おこわが好物
なんだよ。」
明里 「はい、お父さんの負け〜
おばあちゃんこっち来て
我が家からの景色をご堪
能あれ〜。」
祖母 「わーホントだ周りの家が
ちっちゃく見えるね。」
明里 「でしょう、25階ザッと
75mですからね。」
祖母 「へぇー、内の裏山より高
いんじゃないのかい?」
ーーー夕食後ーーー
流星 「もうそろそろ、一緒に
くらさないかい?母さん
の為に和室を空けてある
んだよ。」
祖母 「またその話しかい。わた
しは田舎の方がいいんだ
よ。」
流星 「俺が高校を卒業するまで
は、都会に住んでいた
じゃないか。そういえば
あの時、どうして田舎に
越したんだい?」
祖母 「田舎の方が空気が美味し
いんだよ。」
ーーー翌朝ーーー
美月 「あらっ、お母さんもう
起きたらしたんです
か?。」
祖母 「おはよう美月さん。」
美月 「すぐに朝ごはん用意しま
すからね。テレビでも見
ていて下さいね。」
祖母 「ありがとう美月さん。」
草木に水をあげられないけど、
大丈夫かねー。小鳥たちに餌も
撒いてあげられないし、富さん
の足はだれが揉んであげてるの
かねー。
ーーー3日後ーーー
祖母 「美月さんお世話様になり
ました。」
明里 「おばあちゃん、夏休みに
遊びに行ってもいい?」
祖母 「いいよ、友達も連れてお
いで。」
ーーー2週間後ーーー
プルルルル、プルルルル、ガチャ
美月 「はい、もしもし、三ヶ月
です。」
叔父 「ああ、美月さんかい。
大変なんだ、お宅のばあ
さんが倒して救急車で運
ばれて行った。」
ーーー病 院ーーー
流星 「先生、母の容態はどうな
んでしょうか?」
医師 「少し疲労が溜まってだけ
のようです。2〜3日で
良くなるでしょう。」
流星 「一緒に暮らそうと言って
るんですけどね。」
医師 「東京にお住まいですよ
ね。お母さんから病気の
ことは聞いていません
か?」
流星 「何のことですか?」
医師 「お母さんは若い頃の仕事
が原因で肺を患っている
のです。」
流星 「母さんどうして話してく
れなかったんだよ。」
祖母 「話したってどうにもなら
ないだろ。心配かけるだ
けじゃないか。」
流星 「出来るだけこっちに来る
ようにするから。」
祖母 「わたしは大丈夫だからお
前は、自分の家族を大事
にしなさい。」
流星 「母さん。」
祖母 「ここには、幼馴染み
だって居るんだ、みんな
でのんびり暮らすよ。こ
こがわたしの楽園なんだ
からね。」
おわり