最近のことだが、彼女がやるせない表情を見せる時がちょくちょくある。
理由を聞いても「やるせないって思ったことないんだけどな、そうだったんだね。ごめん」
と謝られる。俺は謝って欲しい訳じゃない、理由を聞きたいだけなんだ
彼女は自分を偽る癖を持っている、それは以前言っていた、はずだ。
最近それは減ってきてはいるものの、このことに関してはあまり減っていない
どうしたら理由を言ってくれるのか、俺はそんなことを考えていた
ある日、徹夜でずっと作業していると尋常じゃない程の眠気が襲ってきた
ソファーに座っている彼女の隣に腰掛けて話そうと思った瞬間に瞼がとても重くなって
寝てしまった。
それからどのくらい時間が経っただろうか、俺は目を覚ます
起き上がろうかと思ったが、なにか彼女が喋っているのが耳に入ったからそのまま寝たフリをして聞くことにした。
「あのね、最近貴方もう気づいてると思うけど、私ずっとやるせない、切ない気持ちでいっぱいなんだ。貴方との生活に不満があるわけじゃないの。寧ろとても楽しいよ
だけどさ、いつかこの関係も崩れちゃうのかなって。昔から私達喧嘩はしないと言ってるけど
どこかでトラブルが起きるかもしれない、そしたら貴方は私を幻滅するかもしれない。
こんなことをずっと考えてるから私はやるせない表情、気持ちになってたのかもしれない。
貴方はどうなんだろう。こんな被害者妄想をずっと話してる自分を偽る虚言癖との関係をずっと保ってくれるのかな、」
少し切なそうな声で話す。最後の方は涙ぐみながら話していた。
「俺はそうするつもりだ」
あぁ、声出しちゃった、
「……起きてたんだね、おはよう。よく寝れた?」
「うん、ていうか運んできてくれたんだね、ありがと」
「ううん、全然。あんなとこで寝たら疲れ取れないでしょ、
…さっきの話なんだけど、本当にそうしてくれるの?」
「うん、何年も一緒に話したりしてるんだよ?ならここまできて関係崩す訳にはいかないでしょ
そもそも崩そうと思うことは無かったし」
と言うと彼女は泣いてしまった
「そうだよね、ありがとう、ホント……」
笑いながら涙を零し俺に礼を言う
「どういたしまして、どう?本音聞いて少しは気持ち晴れた?」
「うん!!」
「ならよかったよ、あ、手伝って欲しいとこがあるんだ……」
「いいよ全然、見せて見せて〜、」
彼女のやるせない気持ちが晴れてよかった
君はやっぱりその明るくも子供っぽい笑顔が一番似合ってるよ。
休日。特にすることないし2人とも暇だったから海に行った
私は泳げないから砂浜の貝殻を取るくらいだけども。
お互い日焼け止めを多いくらいに塗って、砂浜に行く。
こんな猛暑だから砂浜は焼けるように暑かった
君は海に入った事ないって言うし、あんまし入りたくない、
と言うから一緒にシーグラスとかを探す事にした
私は探すのに夢中で波なんて気にせずに探し回っていた。
その途中、私は瑠璃のような色のシーグラスを見つけた。
私はそれを大事にポケットにしまって次のグラスを探す
そして見つけたのは、エメラルドグリーンのシーグラス
それを手に取ろうとした刹那。
波が私の足を掬う。
私はそれで転んでしまった
下着までぐっしょり濡れて、最悪だった。
そしてそのシーグラスも見失っちゃったし…
と悲しい気持ちでいると
彼がこっちに駆け寄ってくる
「大丈夫?怪我してない?」
ととても心配してくれた
私は涙目で
「シーグラス見失っちゃった…」
と呟く。それを見た彼は私に優しく問いかける
「じゃあ、俺のあげよっか?」って。
私はパァッと顔を明るくしてコクコクと頷いた
そして私は頬を桜色に染めあげて、「ありがとう」という
どういたしましてと言わんばかりの顔でニコッと笑う
そして彼は私の手を掴む。また波に足を取られないように、腰に手をやる
その時、ぐっしょり濡れた服が手に当たったからだろうか、
「めっちゃ濡れてんじゃん!家帰って着替えるよ!」
という、だけど家に帰るまで、これはどうすればいいのか
胸にまで波がかかって少し透けているのだ。
さっきまでの自分へ、下着は着てくれ、ホント。
そのせいでこっちは酷い醜態晒すんだぞ
とか何とか思ってたら黒いシャツ?みたいなのがかけられた
私の腰くらいまであるそれはちょうど色んなものが隠せるサイズだった
「やっぱり優しいね、ありがとう」と照れながら言うと
「それ見ていいのは俺だけだから」という執着強めの回答が返ってきた
そしてふと思いついたように彼は「そういえば綺麗な貝殻拾ったんだ、後で一緒に見よ?」
と笑いながら言う。その顔が眩しくて私は目を瞑りそうになった
私はその顔が大好きだ
鳥のように
鳥のように翼を広げて何も考えず、自由に空を飛べたらいいのに。
そしたら今抱えてる悩みも少しは晴れるのかな。
…半年前から好きな人がいて、その人と今はとても仲良くさせてもらってる。
でも、少し心配なとこがあるんだ。その人じゃなくて、私の事で。
私は才能に恵まれている、とよく親や友達、塾の先生だったりに言われてる
でも実際は違う。
絵を描いてもあまり上手くない
文を書いても上手くまとまらない
勉強、成績はずっと伸びないまま。
こんな私のどこがいいんだ。どこに才能があると言うの。
なんて、前から思っていた。そして前述した人と出会ってその思いは少しづつ消えかけてた
そして、その人からよく頼られるようになって、一緒に考えることが多くなってて、すごく楽しい
だけど
少し怖いんだ。
もし、その人にした提案でその人が悲しい結末を迎えたら私はどうすればいいのか
もし、あなたの期待に応えられなくて、嫌われたり、冷められたらどうしようか
…とか、考えてしまう
全て私が悪いのに
私の被害妄想が悪いのに
どうしてこんな悩み、抱えなきゃならないの
あ、また悩みが増えた。
あぁ、もう嫌だ。
私はありもしない翼を鳥のように広げ、空を飛ぶ
何もかも忘れてしまえ。
なぁんてさ、そう出来たらよっぽど楽なんだろうなぁ…。
朝、目が覚める、君は隣にいない
また徹夜したな。とか体大丈夫かな?
とか考えながら
私はベッドから出る
白湯を飲んで、スキンケアをする
朝ごはんを作る
前まで不器用だったけど、頑張って作れるようになった
褒めてくれた
嬉しかった。
だから私が作れる時は頑張って作る
君にはしゃけおにぎりを握ってあげる。あとお味噌汁も
君は眠そうにしながらパソコンに向かってる
私も構ってほしい
なんて。
そう考えながら私はしゃけおにぎりとお味噌汁とお箸がのったお盆を机に置く
頑張ってね。
と呟いて
頭を少し撫でる
そして部屋を後にする
キッチンに戻って私のご飯を盛る
いただきます
といって私は鮭を口に入れる
うん、いつもより上手く焼けてる
良かった。
そして他のものも全て食べ終わり、ごちそうさまでした。
といって食器を洗う
そのタイミングでガチャリ、と君の部屋が開く音がした
これ、お願い。あと、ありがと。
と言って君は部屋に戻る
ちゃんと全部食べてくれてる。嬉しい。
そう思いながら私は食器を洗って外に出る
化粧水が切れそうだから、薬局に行って買い足す
君に一言、「今から薬局行くけど、何かいるものない?」と聞く
君は「特にないよ〜、大丈夫〜」と答える
「おっけー」といって私は着替える
そんな遠くないから、半袖パーカーでいいや、と思ってTシャツに半袖パーカーを羽織る
猫耳が付いてるものだったが以前君が可愛いと言ってくれたものだから別に恥ずかしいとは思わない
財布の入ったバッグをもってスニーカーを履いて「いってきまーす」といって外に出る
天気は晴れだ。かっこよさとかで私は曇天の方が好きなのだが
空が晴れていると心も晴れ晴れした感じになって私は好き。
気分も良くなったとこだし、買ってくるか。
私はそう心で呟いてその薬局へ向かった
空模様
私は彼をとても誇らしく思ってる。
彼の絵も、彼の書く独特の世界観でダークな文も
時々見せるあの眩しい程の笑顔も
ベッドの上でのあの顔も
付き合い始めたときから好きだった
そして今。
私は純白のドレスを身にまとっている
前までは着ることがない、着たくないと思っていたこれを
私は貴方と会えて初めて
着たいと思った。
時間だ。
歩き慣れないパンプスで彼の元へ行く
見慣れた顔がぽつぽつと見える
泣いている子もいるし、喜んでいる子もいる
でもみんな私を、私達を祝ってくれているような気がした
彼のところに着いた
私の姿を見てはにかんだ笑顔で
「可愛いね。」と言ってくれた
いつも言ってくれている声なのに
この声は何時もよりも嬉しくて
泣きそうになってしまった
私は溢れんばかりの笑顔で
「ありがと!」という
結婚式は何かトラブルがある訳ではなく、スムーズに進んでいった。
誓いの言葉の時
神父が誓いの言葉を読み上げる
「汝、病める時も健やかなる時も此の者を愛し、此の者を敬い、互いに許し、
互いを助け合い、最後のその時まで愛し合う事を
誓いますか?」
彼は天使のような顔で誓う
「はい、誓います!」
私はその顔と、誓いに涙を流した
嬉しさで震えた声で誓った
「私もっ、誓います!」
その後、指輪交換があった。
シンプルだけど私の好きな青の宝石、恐らくサファイアだろう。それが嵌め込まれた
彼の方は紫の、タンザナイトが嵌め込まれた指輪だった
ー…それでは、誓いのキスを。
神父がそう告げる
私は目を閉じる
唇と唇が合わさる感覚がした
この誓いのキスはとても甘くて、私の大好きな味だった
あのね、君と結婚できて私すごく誇らしいし、とっても嬉しいよ。
私を何億人の中から見つけてくれてありがとう
そう思いながら私達は結婚式を終えるのだった
いつまでも君の事、誇らしく思ってるし
大好きだよ。